トータル・リコール (ディック短篇傑作選)

  • 早川書房
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本棚登録 : 1014
感想 : 71
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150118631

感想・レビュー・書評

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  • どれもフィリップKディックワールド全開。
    SF大好きマンからするともう堪らなく楽しい…!

    全体的にそうだけど、特に「地球防衛軍」なんかはプーチンはじめ世界中の戦争おっぱじめる奴らにぜひ読んでほしいお話だった……

  • 短編それぞれの不思議さと驚きがとても楽しめました。

  • 2024年になっても新鮮な読み心地と生々しい迫力を備えている。時代を超えて読み継がれるとともに、実現可能な時代になりつつあることの恐怖も沸き起こる短編集。以下は個々の作品の備忘録


    ・トータルリコール
    経験の記憶を販売する会社で記憶の植え付け施術失敗と思いきや、政府の要人というか機密を持っている重要参考人的な立場だった人の話。映画も見てみたい

    ・地球防衛軍
    人類が始めた戦争を、人類が作ったAIで代理戦争をさせるも人間より遥か上の知能を持ったAIによって管理下に置かれていたことに気が付く愚かな人間の話。

    ・訪問者
    核戦争後、人間が住めなくなった地球で生き延びるために細々と息をしている様を描いた作品。地球も生きていて、人間が滅びるのも地球の歴史の一部になり得る。人間が最後の地球の支配者だなんて考えは傲慢…。

    ・世界をわが手に
    ラスト数行で察してしまう世界の真実と創造者。破壊衝動に限らず「本能的欲求・衝動」と括ってしまうが、それは理解を簡素化するための言葉だった。溜まったエネルギーの発出。何かを使役したい、力を持ちたい、強さを自覚したい。神になりたい。残酷な世界の成り立ちは残酷な人間のエネルギー衝動によるものだったかもしれない。

    ・フードメーカー
    頭の中を他人から読まれてしまう恐怖。政府に対して不都合な思想ややましいことがあれば即刻逮捕。まさにディストピア!

  • フィリップ・K・ディックの短編傑作集。
    どの作品も短いので読みやすいとは言え、それでも、SF初級者の私には難しかった。いつか、すらすら理解できるようになりたいものだ。
    「ミスター・スペースシップ」と「マイノリティ・リポート」が良かった。
    未来の物語の中に人間の本質、社会の歪みを突いて来るので、気づきが多い。SF小説の深さなんだろうな。

  • 現実と虚構の境界が曖昧模糊となる世界を描いたトータル・リコールや予知により犯罪者を未然に取り締まる世界を描いたマイノリティ・リポートを始めとした10篇の短編集.いずれの世界も,人間やその創造物へのアンチテーゼであり,現在のAIにも通じるSF世界を含め,全ての近未来をディストピアとして見事に提示していることに驚きつつ,ディックにとって近未来だった現在が,まるでディックの掌に乗っているような印象から逸脱できない.

  • 表題となるトータル・リコールを含む短編集。

    一番面白かったのはやはりトータル・リコール。
    映画で観たなぁと思って読んだら全然違う話でびっくり!でも面白い。
    なんというか落語にもなりそうだし「世にも奇妙な物語」にも出てきそうな、ありそうでありえない、子どもが夢想しそうなことを一流作家が書いたらこうなる、といった感じの短編小説。

    他の映像化作品もぼちぼち面白いのでファンの方が読む分には良いと思う。

  • マイノリティー・リポート良かった。
    トータル・リコールも悪くない。けど映画と結構違う…

  • 本書はフィリップ・K・ディック短編傑作集ですが、有名なところではトータル・リコール、そしてマイノリティ・レポートが掲載されています。もちろんこれらの有名な話も面白いですが、私はむしろそれ以外の短編を堪能しました。

    ネタバレになりますので深く書きませんが、「地球防衛軍」「訪問者」は立場の逆転という視点を、「世界をわが手に」はいまでいうシミュレーション仮説につながる話です。「ミスター・スペースシップ」はBMI(ブレイン・マシン・インターフェース)、「フード・メーカー」は、デジタル監視社会といった形で、むしろ2023年に読むほうが、リアリティを増しているという作品もあると思います。私は個人的に「世界をわが手に」が特に印象に残りました。この短編の中で、世界球という玩具を作っている会社の社長が、「人々は倫理観だけでは動かないんだよ、そうではなく・・・・」というシーンがあり、これは現代のSDGsへの大いなる警句だと思いました。つまり「サステナブル」「持続可能な社会」と倫理だけに訴えていても、一部の人は従うがマジョリティは動かないだろう、ということを想起させるわけです。SFのストーリー展開が卓越しているだけでなく人間心理を深くついた作品集だと思います。

  • 藤子・F・不二雄みたいな世界観だった。
    なんか、映画みたいな壮大なSFを想像してたんだけれども、藤子・F・不二雄とか、星新一とかに近い感じ。
    原作がある映画は絶対に小説読んだ方が面白いって持論なんだけれど、SFに関してだけは創造力が及ばなすぎて、映画の方が分かりやすい。
    決して、面白くなくはないのだけれど、映画のイメージが強すぎて、ちょっと物足りない感じはある

  • “彼はめざめた——そして火星を恋い、その峡谷を想った。一歩一歩、足を踏みしめてその谷間を歩くのは、どんな気分のものだろう。意識がはっきりしてくるにつれ、しだいしだいに大きくその夢はふくれあがっていった。その夢、その憧憬。自分をとりかこんでいるその世界の存在さえ、実感できるような心地がした。(『トータル・リコール』より、p.9)”

     ハマっていると言うほどでもないが、ここ数ヶ月ディックをよく読んでいる気がする。短編集初収録の3篇を含む、全10篇を収録。
     表題作『トータル・リコール』が良かった。火星に行くことに憧れる会社員クウェールは、ある日リコール社を訪れる。夢が到底叶いそうにないことを悟り、それならばと偽の記憶を植え付けてもらうつもりだったのだが・・・。若干バカSFっぽい、とても愉快な作品だった。「現実と非現実」というディックが好むテーマも見える。

    トータル・リコール/出口はどこかへの入口/地球防衛軍/訪問者/世界をわが手に/ミスター・スペースシップ/非O/フード・メーカー/吊されたよそ者/マイノリティ・リポート

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