- Amazon.co.jp ・本 (552ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150118945
作品紹介・あらすじ
コロンボの大学に通う青年、ランジット・スーブラマニアンの熱烈な興味の対象は数学だった。なかでも夢中だったのはフェルマーの最終定理で、彼はその新たなる証明方法を日々追究していた。いっぽう宇宙の彼方では、超知性をもつ異星人たちが強力な破壊兵器を生み出す人類を憂い、地球へと艦隊を発進させていた…。巨匠アーサー・C.クラークが、フレデリック・ポールとともに自身の愛するものすべてを詰め込んだ遺作。
感想・レビュー・書評
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読みながら劉 慈欣の「三体」を思い起こしました。 いずれも日常と宇宙のつながりが紡ぐ物語で、人類が危機を迎え、克服する話です。
本書はクラークの遺作で、クラーク90歳、ひきとって書きあげたフレデリック・ポールは89歳だったそうです。
前半部の描きこみに比べ、後半からスピードが上がっていくというか、急展開だったり、細部を意図的か飛ばす部分に難を感じる部分もあるかもですが、小野田和子さんの訳がよいのか、文体はリズムがあり読みやすかったです。 -
最終定理 (ハヤカワ文庫SF)
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アーサー・C・クラークの遺作。フェルマーの最終定理を解くスリランカの少年が成長していく物語。SFだし宇宙人も登場するけど人類との時間と空間のスケールの違いがゆっくりと全体ストーリーの関わっていく。
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SF界の巨匠ふたりがタッグを組んだ長編。正直言ってびっくりする。
中身は、ちょっと寓話っぽいすてきなSFである。フェルマーの最終定理に挑戦する主人公が、なかなか魅力的だ。
ハードなSFを期待して読んでいるとびっくりはする。ちゃんと、異星人による地球侵略とかになってきて、その宇宙人の感じなどは、それこそ「スターウォーズ的」である。巨匠の茶目っ気かな。どちらかというとほほえましく読める。
SFとして目新しいものがあるわけではないのだけど、重力エレベーターだったりプログラムとしての生物だったり、さまざまなアイデアが上手く組み合わさっている。新しいアイデアと言うよりも、巨匠たちがそれぞれの名作で創作し、「SF的現実」となったものを持ち寄って組み合わせ、ひとつの世界を作っているという感じだ。しかも、そういった点については、実にがっちりとハードSFである。
一番心に残るのは、この作品に込めら得たテーマである。タイトルの最終定理というのは、もちろん主人公の人生に大きな影響を与えるフェルマーのものだろうけれど、もうひとつ大きな作品中の意味があると思う。それが、最後の方になってグンと心にしみてくるのである。
アーサー・C・クラークの遺作になるという。彼のメッセージをちゃんと受け止められる人類でありたいものだと思う。 -
久しぶりのクラーク。
数学の定理には疎く、どうかと思いながら読んでみた。
一人の数学者の生涯としては、恋愛もあって興味深く読めた。
数学や宇宙の話がもっとよく理解出来たらよかったな -
ザ・クラークという話
宇宙エレベータ、スリランカ、坊さん、地球人を監視する宇宙人、ソーラーセイル、海水の温度差による発電etc(ここまでくると、イルカは出てこないの?と思える)
ただし、懐かしさがある分、新しさは薄いし、その割には色々と詰め込みすぎている(同性愛、海賊、嫌な中佐、ロバート、大学の講義etc)
情報だけになって永遠に生きるマシン・ストアドというアイディアは、名称含め、さすがに古すぎるし、話のサゲで使うほどではない。
構成も、いきなり裏話的な事情を明かし、終わりも事情を喋りすぎ。フィクションにしても、一線を越えないようにして欲しい
肝心の最終定理は、あまりストーリーに絡まない。話したいストーリーがないのではないかと思う。(この話を要約すれば、地球で核が炸裂し、粛清する必要ありと思った宇宙人が地球に向かったところ、サイレント・サンダー(ネーミングがださすぎる電子機器無効化装置)によって地球の社会情勢が落ち着きだしたので、粛清やめました。最終定理関係ない)
数ページ読めばクラークだと分かるので、クラーク好きな人は楽しめる -
クラーク爺さんの最終作。
前半はだるいけど後半面白かった。
ただ、ワイルズに謝ったほうがとか思ったwww