- Amazon.co.jp ・本 (494ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150119331
作品紹介・あらすじ
バイオテクノロジーによる文明と、機械工学による文明が拮抗する第一次世界大戦下、少年と少女の絆と成長を鮮やかに描いたローカス賞受賞の冒険スチームパンク三部作、開幕篇
感想・レビュー・書評
-
1914年、オーストリア=ハンガリーの皇位継承者であるフランツ・フェルディナント大公とその妃がセルビア人青年により暗殺される。大公の息子アレックは、暗殺者から身を隠すべく、故国からの脱出を図る。一方、空への憧れから男装して大英帝国海軍航空隊に志願する少女デリンは、士官候補生の試験中に発生した不慮の事故により、鯨の遺伝子から造られた巨大水素呼吸獣リヴァイアサンに乗船する。奇妙な運命を持ち合わせた少年と少女はやがてめぐり合い、未曾有の大戦に巻き込まれることになるが…
遺伝子操作された鯨が大英帝国の大空を飛び、機械仕掛けのディーゼル駆動兵器がドイツ帝国の大地を闊歩する…バイオテクノロジーを基盤とする英国ら<ダーウェニスト>と機械工学を発展させたドイツら<クランカー>の二大勢力が拮抗する世界で繰り広げられる極上の冒険スチームパンクは、ローカス賞受賞の本書「リヴァイアサン」と「ベヒモス」、「ゴリアテ」からなる三部作!
いや~とってもおもしろかった!
遺伝子操作された獣たちと機械兵器との対比が斬新。なかなか独創的な世界観ですが、作中で挿入されるちょっとレトロなイラストのお陰でイメージしやすく、アレックやデリンと一緒に第一次世界大戦下の世界を冒険している気分になってしまいました。「ベヒモス」で登場するオスマン帝国や「ゴリアテ」で立ち寄る大日本帝国なんかも、欧州とは異なる文化様式となっており、冒険らしさがより高ぶる感じ。
そんな魅力的な舞台ですが、本書は何だかんだいってボーイミーツガールもの。だからといって陳腐というわけではなく、終始、アレックとデリンの物語に引き込まれることに。アレックは真面目ながらも、ちょっと理想主義的で突っ走ってしまう性格。一方のデリンは男装しているからかガサツな素振りだけど、現実的でしっかりもの。そんな二人がお互いを大切に思って信頼しあう姿は心温まるものがありました。終盤、デリンの秘密を知ったアレックの対応はある意味少年らしい振る舞いでしたが、どうなることかハラハラしながら、とにかく二人を応援するような気持ちで没入。お互いの思いを認め合う大団円に至っては、読んでよかったな~としみじみ。
とかくむさぼるように読み進めた作品は久しぶりだったので、2018年を代表する読書作品になりました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
歴史改変ものでYAでスチームパンクってやつ。
第一次大戦の時代を生物工学と機械工学で戦ってる -
面白い!
-
「スチームパンク」というジャンルを始めて知りました
(なるほど、これがスチームパンクか…)
それにしても、どうしてハヤカワ文庫はちょっとでかいのか… -
スチームパンクとのことで購入。両親が暗殺されたことで祖国から逃亡することになったオーストリア=ハンガリー帝国大公の息子・アレクサンダーと、飛ぶことが大好きで男と偽って英国海軍航空隊に入隊したデリンが主人公。史実を含みながら、ダーウィンの進化論から生まれた人造獣を使役するダーウィニストと、それを神への冒涜とし機械工学を発達させたクランカーの対立という設定が斬新だった。戦争の最中出会った二人の交流とそれぞれの決断。…文庫化してから知ったから3部作全て出るのが待ち遠しい。いっそ買いなおそうかと思うくらい面白かった!
-
これ宮崎駿がアニメにしてくれたらいいのに。
-
「クジラと蒸気機関」というサブタイトルに表されるように良いスチームパンクYA小説(少年少女空想冒険活劇とでも呼びたい)だった。
遺伝子工学を発展させたイギリスの<ダーウィニスト>が創り出した軍事用獣たちも魅力的だし、機械工学を発展させたドイツの<クランカー>のメカメカしい機械たちもいい。挿絵がまた古き良き少年少女文学の系譜に連なる雰囲気なのもよかった。
アレックとデリン、二人の今後の成長が楽しみ。 -
スチームパンクということで購入
-
機械工学の発達した国と遺伝子工学の発達した国のそれぞれに主人公がいて,やがて二人は出会い……というところで終わっていて続きが気になる.