火星の人 (ハヤカワ文庫SF)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (592ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150119713

作品紹介・あらすじ

予期せぬ事故で不毛の星・火星に取り残された一人の宇宙飛行士。彼は救助船が到着するまで、残る物資、知識と技術を駆使して生き残れるのか!?

感想・レビュー・書評

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  • ユーモアがあって良かった。シューッという音がするのに対して、「エアロックから空気がもれているか、ヘビがいるかのどっちかだ。どっちにしろまずい状況だ」(⌒-⌒; )

  • 有人火星探査で事故にあい、火星に一人取り残されてしまう。
    食料は?水は?空気は?あらゆる知識と技術を駆使して、あるときは農家、あるときは建設屋、あるときは運転手となって1年以上火星でサバイバルを続けるのです。

    震災で水が少なくなって、頭も洗えない状態が続いて3日目、かゆいし気持ち悪いし、心底嫌になったものですが、これが1年以上・・・こういうちょっとした不快感・ストレスがが積み重なって、ミスやパニックにつながってくるはずなのですが。訓練をつんだ宇宙飛行士といえども、ここまでいけるのかと思うほどユーモアたっぷりに生き延びていきます。

    恐怖を感じるのは正しい状態、でもパニックにつなげてはいけない。正に生き延びる条件はこれに尽きるなぁ。
    ディックだったら、発狂していく姿を描いていくんだろうなぁ、と思ってしまうのは最近PKDに侵されてきている証拠か・・・。

    映画化の話も進んでいるそうで楽しみ。本当に監督はリドリー・スコット?
    独特の青い光を火星でどのように使うのかも気になります。

  • ☆5つ

    これはもうどこからどう読んでも「海外小説翻訳作品」です。
    文体というよりもジョークの内容が西洋西洋しています。
    ”まったくどうやったらそんな風にうまくやれるのかね”とか ”そんなバカげたことをするぐらいなら・・・” など、そこらじゅうが西洋(米英?)独特の言い回しだらけです。

    で、正統派? SF小説です。算数の得意な人は「ふむふむ」と読めるかもしれません。

    でもそんなことより一番大事なのは、この本はシーナ兄いのおすすめ本だということです。
    みなさん心して読んでくだされよ。すまぬ。

    で、すごい作品です!
    この物語は近く映画化されるそうですが、そうなったらわたしは絶対に観に行くでしょう。

    DVDになるまで待つ、なんてみみっちい事はせづに大枚をはたいて映画館へ見に行くでしょう。それほど興奮するくらいこの物語は面白い。

    但しですよ、充分に楽しむためには少し科学の素養は必用です。子供が観ても面白くわないだろうということです。こういう発言に気分を害さなかった人だけ読んで観てくれればいいと思います。

    誠にすまぬ(-.-)

  • プロジェクト・ヘイル・メアリーが面白すぎたので読んでみた。一人きり火星に取り残された男のサバイバル。正直私には理解が難しい科学描写もあり、読み進めるのが遅くなるところもあったけど、ゆっくりでも良いから全部読むに値する本でした。いやー、まさかガン泣きするとは思わなかった。あの場面で語り手変わるの反則でしょう。
    映画(オデッセイ)も見てみたいと思ったけど、これ、宇宙兄弟の小山宙哉マンガ挿絵はさみながら3冊くらいのジュニア文庫にしてくれないかなぁ。頭の中でマンガになってるの想像しちゃったよ。

  • ここ最近読んだ中で間違いなく一番面白いSF小説。この作品のおかげで会社に通えてたようなもの(主な読書時間が電車通勤の時間のみ→会社行きたくないけど電車の中で続きが読めるぞ!→会社行こう)。

    火星に一人取り残された男の生き残りを賭けた戦いーーというあらすじを聞き、悲愴感漂う重厚なSFは今の自分には荷が重いかもと思って読むのを躊躇していたのだけれど(物凄く分厚いし)、全く予想を裏切られた。か、軽い……!ギャグ盛り沢山!まるでTwitterやブログを読んでいるかのような主人公の語り。楽しい。

    宇宙の知識に乏しく、理科や算数数学が苦手な自分にも「これはリアルだ」と思わせるところがすごい。それは主人公含め問題解決に臨む人物たちの思考の道筋がよく見えるからだ。だから失敗した時もなぜ失敗したのかがよく分かる。こんなに火星を身近に感じたのは初めて。今後じゃがいもをレンジでチンするたびにこの「火星の人」を思い出すだろう。映画が楽しみ。

  • 面白かった!
    SFにも翻訳物にも向かない頭で、カタカナやアルファベットだらけの名前をなんとなくで覚えて、水素がどうした酸素がどうしたとかいう化学な話題もなんとなくで眺め、とにかくいろんな「?」が頭を飛び交っていくのを見てみぬふりして読み進めた。
    時間はかかったけど、じっくりちゃんと読みましたとは口が裂けても言えません。
    それでも、問題解決に向けて一つ一つ着実にクリアしていくのが気持ちよかった。
    主人公のマーク・ワトニーはとにかく冷静で、どんな不測の事態にも驚く程的確な処置を施していく。
    ただただ感動の一言です。
    物語の終わりまでそれは一貫していて、キレたり、投げ出したり、諦めたりしないんです。本当に。
    すごい忍耐力だなと思う。
    素晴らしい能力です。

    そして、不運な事故で離れ離れになってしまうワトニーの仲間も。
    『宇宙兄弟』を読んだ時も思ったけど、宇宙飛行士になる人達って本当に素晴らしい人格の持ち主です。
    私には何をどうしたって無理。
    物語の最後の場面を読んでいる時に、この人達は生きるために命をかけているんだなと感じた。
    私自身は長生きなんてしなくていいから穏やかに生きていたい、なんて言ってきたけれど、言い換えるとそれは、命をかけるのが怖いから生きられなくてもいいと言っていたのと同じだったんだ。
    それは心の弱さ以外の何でもないということに気付かされました。
    この物語の中の人達は生きるために命をかけられる強さを持った人達です。
    彼らの輝きにただただ感動しました。

  • 事故で火星に一人取り残された人のサバイバル。ハードSFであり、エンジニア小説であり、エンターテイメント。ものすごく面白かった。
    何と言っても、主人公の性格、語り口。明るさとユーモアと、時々覗かせる本気のバランス。現実を受け止めつつ、絶望しない。これはある意味で「ビジョナリーカンパニー」なんかの事業のサバイバルにも通じる条件。囚人のジレンマと着実な歩み、ってやつ。
    また、翻訳が素晴らしい。ここに使われているのは、今の言葉だ、と思った。
    最後に、エンジニアとして感動したのが、砂嵐の場面。仮説を立て、データでこれを実証して、実行の判断をする、それを可能にする技術を選ぶ。素晴らしいです。この人はきっと優秀なエンジニアに違いない。

  • 3度目の有人火星探査は、その6日目に発生した猛烈な火星砂嵐によりミッションを中止せざるを得なくなる。退避の最中、不運にも折れたアンテナが主人公マーク・ワトニーを襲う。砂嵐の中に姿を消したワトニー、脈拍ゼロを告げる生命信号。苦渋の決断で火星を去るクルー一行であったが…なんと、ワトニーは生きていた。
    本書は、奇跡的に一命を取り留めたワトニーが荒漠たる赤の惑星で、地球への生還に向けて生き延びる姿を描いた傑作ハードSFです。

    おおんもろい!!
    面白い理由を事細かに記してしまうと、反って面白くなくなってしまいそうですが、魅力は大きく2つ。
    1つは、水、酸素、食料、その他もろもろの問題に対して、徹頭徹尾、科学的なアプローチを行っていること。これが、本書がハードSFと評される所以でしょうが、こんなにも読みやすいハードSFは中々ないだろうなぁ(といっても、その科学的な描写はほぼ理解できてません…)。物語は後半、ワトニーが砂塵風に直面するところ、「さすがにここは運頼りだよなぁ」と思っていたら、太陽光パネルの発電量により砂塵風の輪郭を測定する方法で問題を退ける姿をみて、「すっすげぇ」と思ったのは自分だけではないはず。「複雑きわまる問題と解決のひとつひとつを検討しているうちに、そうでなかったら気がつかなかった些細なディティールが、マークの解決しなければならない重大な問題になった。」とは、解説で引用される著者の言葉ですが、よくここまで思いつくもんだ…

    魅力の2つ目は、ユーモアたっぷりなワトニーの造形。ぶっちゃけ、このユーモアのおかげで最後まで楽しめて読み進められたものです。
    「いやもう、すこぶる順調!生きのびられる可能性が出てきたぞ」→次頁「最悪だ。もう死ぬ!」
    「アイイイイイー!」
    「委員会の連中全員に、おまえらの母親は娼婦だと伝えてください。」
    「なにゆえディスコ!?」
    うーん、すばらしい。20世紀FOXが映画化するみたいですが、頼むからこのユーモアさは削らないでおくれよ。

    ワトニーの魅力をもうひとつ。ワトニーは幾度も「こりゃダメだ」な状況にぶち当たるわけですが、きまって次のようなフレーズを発します。
    「状況はきのうほど絶望的ではないような気がしてきた」
    「事態は見た目ほどひどくはなさそうだ」
    「解決できそうな気がする」
    これは、わが身を振り返ってみて、ちょっと考えさせられるぞ。こういうフレーズは、解決に向けて頭をフルに搾らないと出てこないだろうなぁ。これから意識していこう。

    ところで、2012年8月に火星探査機キュリオシティが火星に到着し、アメリカのオバマ大統領が2030年代半ばまでに火星の有人探査を表明するなど、なんだか火星に対して拓けた話題が垣間見られる昨今なだけに、(本書のような事故は決して起こってほしくはありませんが)火星をテーマにした本が注目されるのは嬉しいことですね。

  • 主人公の極限状態の中でのユーモアセンス、プラス思考は感動的ですらある。紙の本で600ページ近い長さにもかかわらず緊迫感は途切れることがなかった。
    ※2015/11/3読了

  • これほどジャガイモの栽培ばかりしているSF小説がかつてあっただろか。

    火星探査ミッション中に災害に巻こまれ、幸か不幸か生存してたった一人、火星に取り残された主人公。
    助けもこないし、水も食料もおまけに酸素までもそんなにない。
    確実に人が来るであろう次の火星ミッションは4年後。
    彼はその日まで生き延びることはできるのか?

    手に汗握る宇宙サバイバルが描かれているます(主人公のキャラと文章はユルいけど)
    こりゃもう一巻の終わり、といった中で、限られた資源を最大限生かして、生存の道を探ります。
    先述のジャガイモ栽培に始まり、酸素の確保、水の生産etc
    一見、「趣味の園芸」っぽいストーリーが続きますが、それ以外はいたってハードSF。
    特に、地球との通信手段を確保するために彼がとる行動は、現代の宇宙ファンにとっても拍手喝采です。

    物語が進むにつれ、主人公だけでなくNASAのスタッフの奮闘も強調されます。
    「限りある資源を最大限生かす」がサバイバルものの醍醐味ですが、主人公だけでなくNASAスタッフまでも、ありとあらゆるものをいたるところからかき集めて彼の救出に取り組む姿が、映画「アポロ13」を超えるスケールで繰り広げられます。

    新しい星でうまくやっていけるかな。
    遠い空の向こう、君は何を思うの。
    たぶんできはずって思わなきゃしょうがない。

    どこかのワンルームのディスコみたいになっちゃいましたが、チャレンジ精神とあきらめない心に感動する、宇宙ファンのための作品です。
    マッドデイモンって誰?って人にも、かなりおすすめ!

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