世界の誕生日 (ハヤカワ文庫 SF ル 1-11) (ハヤカワ文庫SF)
- 早川書房 (2015年11月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150120375
作品紹介・あらすじ
『闇の左手』と同じ宇宙を舞台に描く〈ハイニッシュ〉ものなど全8篇を収録する傑作集
感想・レビュー・書評
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SFが苦手でル・グウィンさんの本はファンタジーしか読んだことがなかったが、彼女はSF界での評価も抜群なのは知っていた。
アニメ作品でいくつかSFに触れる機会があり、チャレンジしてみようという気になりようやく手にとった。
子供向けファンタジーに比べて生々しく、衝動や緊迫に息を飲む機会も多くあったが、ジャンルは違えど彼女の文化人類学的な視座や思想から紡がれる小説はやはり秀逸。神話や古代壁画を見ながら、ヒトや文化の起こりを見つめ直す感覚。4人の婚姻制度や神々の掟、宇宙旅行など、前提のない世界である時はヒトらしく、ある時は理解しがたい場面にも感情移入させる筆致には唸らされる。短編集で、もう少し続きを見届けたいと願うところで呆気なく途切れるものも多かった印象。読者の心に引っかかり、ついつい頭で続きを描いてしまう尾の引き方が、どの作品にも愛着を沸かせる。
エクーメンとか何の何年とかは正直よくわからなかったのだが、ハードSFは見切りをつける姿勢を身につけなければ笑。不思議な文字列に遥かさと、果てない宇宙の文化史に思いを馳せる素敵な時間だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「求めぬ愛」「山のしきたり」で描かれる惑星Oでの結婚は、二つの半族(朝と宵)の男女二組で成立するため、構成員は四人。
異性とも同性ともペアになれるが、同じ半族同士がペアになることはない。
四人はそれぞれ独立した部屋を持つことができ、部屋の主の許可なしにそこへは入れない。
とても自由なようにも、ひどく不自由にも思える。
「孤独」のレンが実践したように、私が私であるために自由が必要なのは明白なのだけれど。 -
何もしたくない冬の1日に読むのが良いかも、、、
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「闇の左手」でも思ったんだが、どっか伊藤計劃っぽい、ってか、伊藤計劃がル・グィンっぽい、なんだけど。
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2017/3/10購入
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『闇の左手』時代の宇宙を描く叙事史的作品集。エンターテイメント的な作品ではなく、男女比が極端に違う世界、男女4人で「結婚」する世界など性のあり方の記述が多いのは読むのに少し抵抗があった。その点地球の近未来(?)SF「失われた楽園」は読みやすく、好きな作品として心に残った。
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作家の創りあげた世界がここにある。宇宙のどこかにある星の上に。色々な星に住むヒトたちの話、そして長い旅をしてその星にたどり着き住み始めた一部のヒトたちの話。一緒に想像しながら読む。ここではない星に住むヒトたちの話を
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ホントにル・グィンは唯一無二だなと思う。ぶつぶつ途切れるような文体はなかなか頭に入ってこないし、彼女の作り出す世界はぶっ飛んでいてとてもすんなり理解はできない。解説に「思考実験」とあるけど、まさにその通り。それでも一生懸命理解しようと読むせいか、どれもあとを引く。特に「セグリの事情」は衝撃的だ。男女の比率が1:16だと、こんな凄まじい世界になってしまうのか。「失われた楽園」は、ラストが少し楽観的過ぎるように思えたが、何世代もかかる恒星間旅行で起こりうる出来事が興味深い。久しぶりに「風の十二方位」も読みたくなった。