カエアンの聖衣〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)

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制作 : 大森 望 
  • 早川書房 (2016年3月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150120597

カエアンの聖衣〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)の感想・レビュー・書評

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  • あぁ、これは僕が読みたかったSFだ。後半は少し失速する部分もあるが、このアイデアの量、質、ともに素晴らしい。イメージが絵として浮かぶSFってのは、本当に楽しくていいな。

  • 相当変、だけど好き、な世界観。いいのか「服」で、まさか「服」が、と戸惑う私を力ずくで持っていく剛腕。この無茶苦茶で風呂敷広げすぎな世界を大いに真剣に不真面目に書く、この世界観、何かに似てると思ったら、かつて大ファンだった劇団★新感線の作家中島かずき氏が解説してた。やっぱり(笑)。何でか宇宙で全裸の集団率いるヤクーサ・ポンズ、ジャドパーとマストの交渉の場面、ふざけすぎて逆に意味があるのかと思ってしまったし、ザイオードの秘密結社の秘儀の場面の描写とか、もう新感線でした。アマラとエストルーとウィルス船長のトリオも味があるな…。後半やや失速した(というか、カストールと蠅の惑星の場面がさすがにきつくてそのあたりからついていけなくなった)ところもあるが、満足感高いSFでした。

  • むちゃぶり最高!!
    すげーわ、これ。

  • 読む前は、服のSFって何だ!って感じだったが、読み進めて納得し、センス・オブ・ワンダーに震えた。確かに、服を着ると気分が変わるし、いつもと異なるテイストの服を着れば、他人が受けるその人の印象が変わる。服を着た本人も(一時的なものかもしれないが)性格が変わったかのように錯覚することもあるだろう。気づいているようで気づいてない状況を、あわや星間戦争なところまで物語を膨らましているのはさすがである。読む前の期待がそれほど大きくなかったこともあり、余計に心と脳みそにガツンときた。

  • 人類が宇宙の星々へ飛び出し、新たな文明を切り開いた時代の話。カアエン人という服飾文化を奉る人々がいた。彼らの存在を異端および脅威とみなしたザイオード星団の人間は、カエアン人を仮想敵とみなし、弱点を探るべく調査団を送る。そのいっぽうで、高価格で闇取引されるカエアン製の衣装を密輸するザイオード人の悪党。彼らの陰謀に巻き込まれ、さらにカエアン製の衣装の秘密にせまることになるひとりの「服飾家」。

    衣装が人を操るという発想だけでも面白いのに、さらに踏み込んで衣装の材料となるとある植物に知性があって、彼らが人類の制覇を狙っているという設定がぶっ飛びすぎている。

    アイデアの面白さはそれだけではない。カエアン製の衣装を満載した船が墜落したという惑星は「インフラソニック」恐竜(強力な低周波で敵を粉砕する)がいるため、専用の防護服が必要だとか、一生をロボットスーツの中で過ごし、ロボットのボディを本物の体だと認識するソヴィヤ人、彼らの敵として登場する、肉体を改造してサイボーグ化することで宇宙に適応した種族。他にも使い捨ての面白すぎる小ネタ満載で、湯水のようにネタを使い捨てにしながら力強く本筋が展開してゆく。この手の小説を「ワイドスクリーン・バロック」と呼ぶという。

    アイデアの展開が主眼になっているせいか、キャラクターはあまり作りこまれていない。主役級の服飾家ペデルにしても、社会学者のアマラにしても、話をすすめるための駒のような扱いだ。あたかもフラショナール・スーツに操られた人々のように。
    かろうじて人間臭さがにじみ出ているキャラクターといえば、悪党の頭のマストと、これはある意味皮肉かもしれないが、ロボットスーツの肉体を持つソヴィヤ人のアレクセイぐらいだったりする。

  • 人類がこの先幾多の分岐を経て宇宙に拡散していく前提で、古地球の文明がどのように伝播されていくのか。また異星の知的生命体との関わり。そのアイデアの1つを切り出した作品。いい感じ。

  • 他のレビューにもあるように、とにかくアイデア満載の作品。身に着ける物に支配されることを良しとするカエアンの文化も面白いし、冒頭に出てきたきりだが、物体の持つ固有の振動数に同調した音波を出して敵を破壊する生物の星等か、もっと発展させてほしいアイデアがたくさんある。カエアンの人々には何も身にまとわないことがタブーで、裸になることで倒錯的な快楽を味わうとか面白すぎる。ただあまりにも突拍子もない話ばかりでちょっと無理めな部分があるし、後半はリーダビリティが落ちる感じもした。でもラストにプロッシムの繊維が自生する世界に広がった景色は、あまりにばかばかしすぎてこの作品にふさわしいと思う。

  • 意表を突くアイデア満載のSF小説。人間のアイデンティティーを服が支配して行く過程を描いている。キルラキルの脚本家つながりで読んだが、もともとSF小説を読みなれた人からすると、十分楽しめるし、ふだんなかなかSFを読まない読者でも読みやすい一冊。ワイドスクリーンバロックなどと言うジャンらしいのだが、ブラックユーモアの効いたコメディ(いい意味で)感覚で読めてしまう。脳内で映像化しやすい文章と、イケイケドンドン!!な展開のためサクッと読めてしまう。が、正直ツッコミが追いつかないw個人的にMIBを見たような感じ。純粋に面白かった。

  • 2016/05

  •  もう記憶が定かではなくなっていたが、解説を見ると、本書はバリントン・ベイリーの初翻訳長編だったようで、『禅銃』なども翻訳はこのあと。ワイドスクリーンバロックなどといって、なんだあ大したことないじゃないかと思ったのは、短銃で恒星を破壊してしまうような『禅銃』の突拍子なさと比べると、『カエアンの聖衣』のアイディアはちょっとスケールが小さい気がしたのだ。
     服を着ることによってその人の潜在能力が開化して別人のように力を発揮できるようになるというアイディア。そしてそのような服飾文明を発展させたカエアン人。物語はカエアン星系と対立するザイオード人の視点から描かれる。原題は「カエアンのガーメント」。ガーメント・バッグのあのガーメントであって、「聖衣」などという宗教がかった特別な意味はない。これは初訳のなごりであり、新訳の本書でもそれを踏襲している。問題となるカエアンのガーメントは伝説の服飾家フラッショナルの仕立てた5着のうちのひとつだが、見た目は単なる地味なスーツであり、それを手に入れたザイオードの服飾家ペデル・フォーバースはザイオード社会でのし上がっていく。
     他方、カエアンとの戦端が開かれるまえの情報収集にカエアン星系に密かに調査にはいった文化人類学者の調査団一行が話のもうひとつの軸。人類が銀河に広がって千年、日本人の末裔ヤクザ坊主とソヴィエト・ロシア人の末裔が戦っている宙域を発見し、カエアン文明がこのソヴィエト・ロシア人の末裔からさらに発展したのではないかと推測する。
     知性を持った線維というアイディアをアニメ『キルラキル』で使った脚本家のエッセイも巻末に。『ど根性ガエル』みたいな『キルラキル』の服はやはりアニメ的にわかりやすいが、ベイリーが知性を持った線維を考えたときにそれは喋る服ではない独特なアイディアが投入されている。

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