魔法 (ハヤカワ文庫FT)

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制作 : Christopher Priest  古沢 嘉通 
  • 早川書房 (2005年1月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (526ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150203788

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魔法 (ハヤカワ文庫FT)の感想・レビュー・書評

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  • テロに巻き込まれて記憶の一部を失ったカメラマン・グレイの元にスーザンという女性が尋ねてくる。
    彼女はグレイの恋人だというのだが、彼にはその記憶が一切なく…。

    というわけで、グレイとスーザン、そしてスーザンに付きまとう元恋人だというナイオールそれぞれの目を通して語られる三角関係。
    言ってしまえば『藪の中』。
    最初に『グレイが思い出したこと』が語られ、それは記憶障害だと『スーザンが本当のこと』を語る。
    ここまででほとんどの頁を使っている。
    ラストに『ナイオールがすべてを仕組んでいた』と告白して終わるのだけど…。
    不可視になれる能力を持った(透明)人間って言う設定はすんなり受け入れることができたし、ナイオールのパートまでの内容は非常に面白くて、特にスーザンがグレイの記憶を修正して語るパートは引き込まれた。
    で、あのオチ。
    ナイオールは神であるのか。
    あるいはグレイとスーザンは小説家志望のナイオールが生み出した物語の登場人物なのか。(もっともその場合もナイオールは二人にとっての神ということになるのだけど)

    だとしたら残念なのが、ナイオールがスーザンに渡した物語。
    現実の出来事が起こる前にそれについて書かれた『予言の書』のような扱いになっているのだけれど、能力の手ほどきをしたスーザンからもその姿を隠せるほど卓越した魅力(グラマー)の持ち主だと繰り返し語られることにより、スーザンに渡したあとでいくらでも『物語』を書き換えることができたのではないか、と思ってしまった。
    それゆえ、スーザンの恐怖、グレイの戸惑いが今ひとつ体感に落ちてこないというか…、突っ込みを入れたくなってしまってそこまでの緊張感台無しw
    いや、コレ、私が勘違いしているだけなのかもしれないんだけど。この辺を読んだ方はどう解釈しているのか、聞いてみたいところではあります。
    物語の構成とかは面白かっただけに、ここだけ引っかかるんだよなぁ。

  • 映画「プレステージ」を観て、プリーストの衝撃は それなりに知ってはいたつもりですが…

    いやーとんでもないわ。
    途中で告白される、ある大きな要素「グラマー」。
    これで完全に世界観がひっくり返る。

    ふつうはグラマー=魅力=魅する力と考えますが、
    個人的にはまったくの正反対の印象。
    あなたがどちらの印象を受けるか
    そしてこの力を欲しいと思うかはともかくとして、
    前半の恋愛モノが一変しまくる事は保証する。

    ラストの一行でまたひっくり返す手法も見事。
    結局冒頭の、途中の、ラストの章は誰のものか?
    頭ぼーっとさせてくれること請け合いです!

  • 5/20 読了。
    すべてのエンターテイメントには、今見ている/聞いている/読んでいるものは現実ではないと、提供する側もされる側も分かっていながらそれを一旦受け入れ、そのうえで<まるで信じているかのように>幻想を楽しむ、という大前提がある。不信という前提があるから安心して楽しみに身を委ねることができるのだ。プリーストは、その黙認契約を中心テーマに据えて物語るスペシャリストである。「奇術師」ではこの<エンターテイメントの大前提>を早々と登場人物に語らせ、手の内を晒しながらもトリックを仕掛けるというまさにタイトル通り奇術のような語り口をとっていた。「奇術師」より先に書かれた本作では、<エンターテイメントの大前提>が中心テーマであることは終盤までの隠されている。読者は物語内リアリティを巡る問題に翻弄され続けた結果、遂に謎を解き窃視愛好者を断罪するつもりが自らが他ならぬ窃視愛好者であることを発見させられるのである。エンターテイメントにおける観客とは物語に参与することなく一方的に<見る>者であるが、その<見る>者が無意識的に<見られる>者に対して行使してしまう生殺与奪権の恐ろしさを体感させてくれる傑作。

    ラストがあまりにも周到かつ巧妙なので、なるほどねー!と早合点してしまうのだが、スーザン視点の中盤とかめちゃくちゃ変な話w なんでこんなこと思いつくんだろう。「奇術師」の方がエンタメ性は高いけど、その代わり仕掛けも早い段階で分かってしまい(わざとだろうが)あまり上手くないなぁと思っていたら、本作は断片的な情報の出し方や話し手の人称の切り替え方などとてもスマート。なのに変な話具合では断然「魔法」の方が上なので、遅ればせながらプリースト恐るべし、と思わされた。

  • 読み終わりにかけて雲行きが怪しくなり、最後数ページは常時頭に?が浮かんでた。
    映画プレステージを面白いと思って筆者の小説に手を出したけど、期待してたSFミステリとは違ってて正直戸惑った。

  • 再読したら、解釈や感想も異なるのかもしれない。
    これまたネタバレさせずに感想を書いたり、
    あっさりとした最終章と、
    語り手を明確にしないため書き直したという
    そのひとつ前の章により、ネタバレさせず
    自分自身の解釈を書くのも難しい。
    がっかりする人もいるだろうが、のめりこんでいき
    やられたと思う人もいると思う。

    「双生児」を読んだ後だけに、
    記憶の食い違いから平行世界の話しかな?
    と疑わせながら、見えないがそこにいる、
    どこにでも現れるナイオールとははたして何者か、
    そしてどういう結末が待っているのか、
    と思い読めていったが、これまた鮮やかなラスト。

    純文学的アプローチでI.マキューアン『贖罪』、
    (厳密には異なるが、騙しの面で)
    サスペンス、サイコスリラー的アプローチで
    P.ルメートル『悲しみのイレーヌ』あり、
    ある者が持つ絶対的な力とそれを目にする第三者
    そして登場人物の関係をSF,FTの舞台で表現すると、
    こうなるのではないかと。
    登場人物が映画に対する考察で触れているのも
    そういうことなのかも。

  • 自分の理解能力を上回る作品やった。面白いんやけど。

  • あまりおもしろくなかった
    ん?
    んん…?

    うーんんんんん…   って感じ。
    気持ち悪い、すっきりしない

  • 記憶をなくしたカメラマン。恋人を語る女。彼女は元恋人との問題を抱えていた。とてもグラマラス(魅力的)な男。

  • 超能力ものという情報で読み始めたけど前半は恋愛ミステリ的で、あれ?と思っていたら後半は異能者の話になっていった。

    爆弾テロに巻き込まれ記憶を無くしたグレイ。
    療養中の彼のもとに、かつて恋人だったというスーザンが現れる。
    記憶の中で欠けている期間に交際していたのかとグレイは半信半疑だったが、思わせぶりな言動を取るスーザンに惹かれていく。

    記憶を取り戻すため、グレイは催眠療法を受ける。
    ここで章が変わり、時間を遡ってグレイ目線でスーザンとの出会いからの日々が語られる。

    幸せなカップルだった頃を思い出したグレイだが、スーザンはその記憶は真実ではないと語る。
    スーザン目線で明かされるグレイとの関係は、グレイ自身の記憶(前章で語られた内容)とは全く異なるものだった。

    スーザンが語る真実にグレイは混乱し、ふたりの記憶のズレをすりあわせて行くところで物語は佳境へ。

    最後の最後まで面白かったのだが、正直オチがよくわからなかった。
    これはメタフィクションなのか?

    長い物語で、グレイの回想あたり、ここは必要か?と思うほど長い旅の描写などダレる部分もあったのだが、
    スーザンの特殊能力の話が出てからは一気に面白くなった。
    ”人に見えない”という能力の定義、それを活用したエピソードが新しくて巧妙。
    そしてスーザンの恋人であるナイオールが恐ろしく、人間ドラマとしてもよく出来ていた。
    終盤まで、何が真実がわからずどんな種明かしがあるのか期待したのだが、その分結末には肩透かし感が。
    そこだけが残念。

  •  1984年発表。クリストファー・プリースト著。爆弾テロに巻き込まれて記憶を失ったグレイの元に、かつての恋人を名乗るスーザンが訪ねてくる。記憶は回復していくように見えたが、ナイオールという男が入り込んでくると発生する三角関係、そして二人の記憶のずれがストーリーを掻き乱す。
     面白かったがいまいち物足りない感があった。文体はあっさりしていて簡潔で読みやすい。少し複雑なストーリーも割と分かりやすく書いてあるし、ミステリー的な面白さがあると思う。男女関係のずれみたいな部分もよく書けている。
     ただ、結末だが、ああいうオチにしたならしたでもっと哲学的に突っ込んでほしかった。犯人を示してそれでおしまい、というのは味気ない。この小説は中盤の旅の描写がやたら長いのだが、そこを削ってオチの描写を徹底してほしかった。
     もし、そうできないのであれば、メタ的な結末をやめて、もっと幻想小説寄りに振りきってしまってもよかった気がする。私個人はそういう印象で読んでいたので、結末は肩透かしといった感じがした。
     それに、爆弾テロ、記憶喪失、記憶のずれ、存在の希薄性など、どのエピソードをとっても、どこかの漫画で読んだような既視感があった。大衆小説だなあ、と感じて少し冷めてしまう。

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