ミストボーン―霧の落とし子〈3〉白き海の踊り手 (ハヤカワ文庫FT)

  • 早川書房
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感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (415ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150205027

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で。
    体内で金属を燃やし、超能力を使えるという設定が面白い!能力を使えるのが支配階級に多いという設定から、虐げられている層が蜂起できない理由になっているとかなかなか考えられているなぁと。

    貴族は嫌いだけど貴族の生活は好き、と気づいたときのヒロインのジレンマとか、仲間同士の葛藤もそうだろうなぁと読んだし、なかなか成功しない革命にはハラハラさせられました。それにしてもお兄ちゃん!そうだったのか!と。

    個人的に貴族の坊ちゃんとヒロインがどうなるかはわからないですが、続編は読みたいな~と思いました。面白かったです。

  • ミストボーン・シリーズ第1作の完結編です。
    ヴィンとエレンドの恋の行方、ケルシャーの本当の計画、支配王との対決とその真実と、読み応えがありました。
    後半の展開が早すぎて、ちょっと都合がよすぎる部分もありましたが、全体としては散りばめられてきたピースがぴったりと収まり、とても満足できる内容でした。(^^)

  • まだまだ続くからといって中途半端な終わり方
    主人公の活躍と架空戦記の両輪という
    エンタメてき仕上がりは良いのだが
    事の大きさに対して登場人物のうすさが印象的
    せまいでもかるいでもなく
    主人公が活躍する舞台のファンタジーとしてうすい
    テレビゲームの「RPGゲーム」みたいな「シナリオ」だ
    翻訳も会話分周りが直訳ぎみだったり読みやすいが
    文章としては平板
    元をしらないからなんともいえないが

  • <終の帝国>では、スカーと呼ばれる民が蔑まれ差別されていた。スカーの反乱一味に仲間入りした少女、ヴィンは貴族の子女と偽り、密偵の仕事にはげむ。三部作中の一部の完結編。
    半分まで読んでおもしれー!と思っていたのですが、それどころぢゃないよ!なんだこの怒涛の展開な後半。ブランドン・サンダースンおそるべし……!「エラントリス 鎖された都の物語」でも、後半の巻き返しがものすごいと思ったのですが、これ、もっとすごくなってる……!しかもアクションがいいスパイスになっていてよりよくしている。二巻まででふってきた伏線もごっそり回収しまくるし。なんだこの構成力。すげえ。
    登場人物としては、反乱一味のカリスマリーダーであるケルシャーが、ヴィンによって変わっていくのがとても面白かった。ただのガキ大将だったケルシャーが、少しずつ責任感と重さを理解して学びとっていくのが目に見えてわかって……そしてケルシャーが今回しでかすことといったら……誰も想像つかねえよ!そんなの!いや、伏線あったんだろうけど……。
    またヴィンたちの活躍もものすごく燃える。私が個人的に好きなのは、執事っぽいキャラクターのセイズド。常に「お嬢様」を守ることを誓ったのに、言うことは言う、そしてちゃんと考えることができる、知識がある。かっこいいじゃないですか。今年のファンタジー殿堂入りは間違いないです。おすすめ。一巻よりは二巻、三巻と面白くなっていきます。

  • 上巻で期待したものとは大きく違いオーソドックスな物語だった。
    物語に大きなひねりが欲しかった。そんな雰囲気で始まった気がしたのに…

    各キャラが持ち味を生かすのはたんに会話の時だけ。
    各キャラの特性を生かして物事を解決したり作戦練るなりを期待しただけに残念。
    上巻の訳者あとがきにあったこの物語を「オーシャンズ11」のようにしたかったってのはしたかっただけで終わったようだ。
    支配王の強さもラスト以外では見せ場がなかったので今イチ対峙したときの絶望感を感じられず緊張感なし。
    設定は法則や社会構造等細かくなされてあるが物語についての細やかさはなし。

    可もなく不可もなしってとこ。

  •  先日読んだ「<a href="http://mediamarker.net/u/ikedas/?asin=415020537X
    " target="_blank">空の都の神々は</a>」に続き、一級品のファンタジィだった。
     素晴らしい作品を続けて読めるというのは、本当に幸せなことだなー。

     本作の魅力は、かなり多岐に渡る。
     まず、なんと言っても、その壮大で確立された世界設定。
     コアとなっているのは中世ヨーロッパのそれ。
     この舞台設定は、ファンタジィの王道とも言える。
     何度も使われているため、安定した「異世界感」を醸し出せる、優れた設定である。
     本作は、そこに本作の最大の特徴でもある、「合金術」を投入する。

     簡単に、「合金術」についての概略を記す。
     これだけで、本作がいかに奥深い作品なのかは垣間見ることができると思う。

     この世界には、身体の中で金属を「燃やす」ことができる、特殊な人たちがいる。
     「燃やす」というのは比喩であり、実際に火を付けて燃やすわけではない。
     (これは、訳のせいもあるのかも)
     例えて言えば、「化学変化」に近いイメージと思う。
     金属を「燃やす」ことによって、使い手は魔法のような力を得ることができる。
     力を得ることができる金属は、基本となる8種類に、特殊な金属が2種類。
     それぞれの金属は肉体と精神に分かれる。
     そしてそれぞれが「内向き」と「外向き」に、さらに「押す」と「引く」へと分かれる。

     鉄は、付近にある金属の場所や大きさを指し示すことが出来、その対象を「引く」ことができる。
     鋼は、同じく金属の場所や大きさを指し示すことが出来、その対象を「押す」ことができる。
     錫は、5感を鋭敏にすることができるようになる。
     白鑞は、身体能力を増幅させることができるようになる。
     真鍮は、対象の感情を「なだめる」ことができるようになる。
     亜鉛は、対象の感情を「かき立てる」ことができるようになる。
     青銅は、合金術を使用している存在を検知できるようになる。
     銅は、青銅による検知を無効にできるようになる。

     「霧の使い」と呼ばれる能力者は、このうち1種類のみを「燃やす」事ができる。

     鉄は「肉体」に作用し、「外向き」に「引く」。能力者は「動かし屋」と呼ばれる。
     鋼は「肉体」に作用し、「外向き」に「押す」。能力者は「コイン打ち」と呼ばれる。
     錫は「肉体」に作用し、「内向き」に「引く」。能力者は「錫の目」と呼ばれる。
     白鑞は「肉体」に作用し、「内向き」に「押す」。能力者は「殴り屋」または「白鑞の腕」と呼ばれる。
     真鍮は「精神」に作用し、「外向き」に「引く」。能力者は「なだめ屋」と呼ばれる。
     亜鉛は「精神」に作用し、「外向き」に「押す」。能力者は「かき立て屋」と呼ばれる。
     青銅は「精神」に作用し、「内向き」に「押す」。能力者は「さぐり屋」と呼ばれる。
     銅は「精神」に作用し、「内向き」に「引く」。能力者は「けむり屋」と呼ばれる。

     そして「霧の落とし子」と呼ばれる能力者は、すべての金属を「燃やす」事ができる。
     「すべて」とは、基本の8種だけではなく、あらゆる金属を指す。

     これが、合金術の基本。
     作中では、この基本を踏まえた様々な応用が展開されていく。

     余談ではあるが、この設定は「マルドゥック・ヴェロシティ」に通ずる、と思う。
     向こうは、マッドサイエンスによる人体改造なのだけど。
     一芸に秀でた異能者集団による一大活劇、という点が似ているかな、と。
     ま、それも、古くから何度も使われ続けているモチーフではあるのだけど。
     日本の有名どころで言えば、風魔小太郎作品とか。
     そういう意味で言えば、活劇シーンも、ちょっとそれっぽい感じだったりして。
     特に、「霧の落とし子」同士の戦闘とか。

     閑話休題。
     合金術だけでも、これだけ奥深い設定が用意されている。
     そして本作の魅力は、もちろんこれだけではない。
     むしろ、あくまでも物語に華を添えるエッセンスに過ぎない、と言ってもいい。
     それはちょうど、ミステリィにおける「トリック」にも似ている。

     本作の最大の魅力は、なんといっても、その巧妙かつ繊細なストーリィテリング。
     重厚で奥深い世界を、魅力溢れるキャラクターたちが縦横無尽に駆け巡る。
     それは、紛う方無きヒロイックファンタジィのエンターテインメント。
     と言っても、主人公は完全無欠のヒーローではない。
     一方の主人公、ケルシャーに関しては、完全無欠のヒーロー像に近い。

     しかし、もう一方の主人公であるヴィンは、完全無欠とはほど遠い。
     彼女は虐げられしスカーの、さらにその最底辺の存在である。
     常に怯え、周りを警戒し、いつも目立たず、陰のようにして日々を過ごしている。
     しかし彼女は、ある事件を切っ掛けにその能力を開花させ、少しずつ成長を始める。
     そう、こちらの物語は、少女の成長譚であり、ジュブナイルファンタジィでもある。

     ヒロイックファンタジィとジュブナイルファンタジィの融合。
     それを極めて高い次元で成功させた本作が、つまらないはずが無い。
     極上のエンターテインメントであり、最上級のハイ・ファンタジィである。
     ひとたび読み始めたら、もうページを繰る手は止まらなくなる。
     次から次へと、息をつかせぬほどに畳みかける、怒濤のごとき展開。
     それは、ページを繰るたびに勢いを増し、クライマックスまで一気に駆け抜ける。

     少女の淡いラヴロマンス。
     宮廷の華やかな面に潜む、醜悪な駆け引き。
     青年の苦い過去と、そこから引き出される限りない希望。
     冷静で英知に富む、ミステリアスな執事。
     正体が分からない謎の生物。
     残虐で強大な力を持つ「尋問官」と、それを統べるさらに強大な「支配王」。
     徐々に明らかになっていく、あまりにも多くの「謎」。
     そして、胸を打つ様々な「愛」の数々。

     すべてのシーンが印象的で、すべてのシーンに感動がある。
     ただただ、名作とはこういうものかという驚異に圧倒される。

     いくら言葉を尽くしても、尽きることはない。
     とにかく、本当に面白い作品が、ここにはある。
     小説を読む悦びに浸りたいのであれば、ぜひ。

     いまはただ、続刊を読むのが本当に楽しみ。
     はやく本屋さんに駆け込みたい気分。

  • 遂に支配王との直接対決。色々な人たちの思惑が明らかになっていく、中盤以降の盛り上がりが熱い。ヴィンの成長が眩しくて覚悟が切なくて、胸がつまった。第1部完だけど続きが読みたい!

  • 世界観も練り込まれているし、キャラも多彩で面白かった。
    3部作の1作目としてのオチはついたのだと思いますが、お気に入りのキャラはどうやらここで退場のようなので、続きは読まなくてもいいかなという感じ。

  • 出口がないような展開になっていたが、猛烈な勢いで最後に向かって進んでいく。支配王の謎解きやルサデルの開放と立て続けにイベントが起きていく。こんなに最終巻に盛らなくても、というくらい盛ってあります。でも、この先どうなるか気になる感じですね。ごちゃごちゃになったルサデルがどうなるのか、読みたいですね。展開もよかったので、次も楽しく読めそうですね。

  • いやー、おもしろかった~。
    ケルシャー死んじゃうところはあっさりしすぎじゃ?って思ったけど、神(あるいは救世主)になるために死ななければならないってのは鳥肌。
    やっぱり、キリストとかぶらせてるんだろうねー。
    無敵の支配王に勝てたのも違和感なし。
    ただ、細かい疑問はまだまだあるので、それらは今後明かされるんだろうね。
    まだまだ楽しみですな(・∀・)

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