カリスト―開戦前夜 (ハヤカワ文庫JA―航空宇宙軍史 260)

著者 :
  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150302603

感想・レビュー・書評

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  • 昭和六十三年三月十五日発行の初版。一気に読んでしまったわりには、あまりおもしろいとは思わなかったが、「航空宇宙軍史」シリーズの作品にたびたび登場するタナトス戦闘団の誕生の経緯が分かる。後にタナトス戦闘団の隊長になるヘロム・“ダンテ”・フェルナンデス大尉が上官の山下智行准将について、「――ひょっとしたら、あのうわさは本当かもしれない。この日系の准将は、本当にあのジェネラル・ヤマシタの子孫かもしれない。」と考える場面がある(89ページ)。「自分の父祖の土地で、一五〇年以上も前に天才的な戦いぶりを見せた伝説の名将と、准将は同じ姓をもっていた。」と言及されている山下将軍は、この物語が2098年の太陽系を舞台にしていることを考えると、「マレーの虎」と呼ばれた山下奉文(ともゆき)陸軍大将のことに違いない。なんだ、姓だけじゃなく、名前の読みも同じだ。

  • 航空宇宙軍の過剰なる宙域干渉に、
    外惑星連合が憤慨していた時代。
    しかしながら、彼らには防衛の要になる
    強大な艦というものが存在しませんでした。

    そんなさなかに起きた航空宇宙軍による
    強制的な査察行為。
    これらを阻止するためにさまざまな人々が
    さまざまな思惑で、動いていきます。

    共通する部分はあまりないのですが、
    途中からスパイである「鳥」の存在の調査に
    追われることになります。

    しかも、これ、おっかないことにね、
    しれっと登場人物に彼はまぎれているのですぜ。
    本当にしれっと。
    判明したときに「え」となるレベル。

    で、全ての思惑は
    彼らが望んだものにはなりません。
    しかし、それを望まないものたちは…

    静かだけど、熱い駆け引きドラマだな。
    こういうの好きだぜ。

  • 第2次外惑星動乱勃発記念?! 一人「第1次外惑星動乱」祭り、第1弾。
    「コロンビア・ゼロ」を読んで、昔の航空宇宙軍史が読みたくなり、事件順に振り返る。
    まずは、開戦前夜。外惑星の自治と惑星開発局による統制の齟齬がつみ重なり、不穏な空気に・・・

    地味ながらじわじわと高まってくる緊張感!まさにエンジニアの観点からの歴史へのアプローチ。いいなぁ。無頼のダンテ隊長は次のタナトス戦闘団につながる。

    著者も言ってるではないか。「歴史って面白い。自分が当事者でない限りは。」

  • 真面目系軍事SF。舞台は太陽系でけっこう未来だけど、ディテールはほぼ現代なのがちょっと残念。技術的にはもっと弾けていいんじゃないかな。

  • 「航空宇宙軍史」シリーズ第4段。
    航空宇宙軍との開戦を目前に控えた、外惑星連合軍の緊迫した雰囲気を描く1冊。
    やはり絶版になっており(以下略)

  • とにかく、ダンテ中佐以下の面子が面白すぎ。

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著者プロフィール

1951年兵庫県生まれ。青年海外協力隊などを経て作家デビュー。SF小説、冒険小説、山岳小説など広い分野で高い評価を得ている。96年「白き嶺の男」で第15回新田次郎文学賞を受賞。主な著作に「航空宇宙軍史」シリーズ、「覇者の戦塵」シリーズ、『白き嶺の男』などがある。

「2019年 『硫黄島航空戦線』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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