- Amazon.co.jp ・本 (417ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150305017
感想・レビュー・書評
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さすがに原尞、処女作から読み応えあり。推敲を重ねただけあって文章は練れていて、いかにもハードボイルドという味わいが漂う。古い本なので、今となってはユーモアのセンスは古めかしいかなとは思う。でも、それでいい。主人公の探偵の沢崎、錦織警部、ヤクザの橋爪という常連になる登場人物の造形も実にいい。事件自体も二転三転として飽きさせない。うーん、佐伯名緒子の心理だけは、ちょっと分かりにくいかな。
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正統派ハードボイルド作品。都内で探偵業を営む「私」こと沢崎が資産家の娘の夫を探す事件から大きな陰謀に巻き込まれていく。プロットとしてはこの手の作品にありがちな展開。しかしながら沢崎の減らず口と数多な登場人物たちを使い切る手立てが上手い。なおかつ緩和した部分というか作品に遊びが無いため緊張した場面がずっと続く。普通なら読んでいるうちに疲れてくるが、沢崎が軽妙に語るためにしんどさが現れてこない。終盤が駆け足すぎるのがもったいないのと風呂敷を広げすぎているように思える点が気になるが、完成度はピカ一の傑作。もうめちゃくちゃ面白い。
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途中離脱。どうやっても最後まで読めんかった。。。
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あまりに、チャンドラーのエピゴーネンで、その潔さが却って清々しい位。
一人称の視点・短い文章・気の利いた(風に見える)科白回し等々。
「私が殺した少女」をかなり前に読んだから詳細を忘れていたが、ああそうなんだったなと思い出した。 -
初・原作品。
面白いとは聞いていたけど、それ以上に遅筆で有名な作家なので、読み出したら、すぐに全作品読み終わってしまいそうなので、今までなかなか手を出しにくかった。
しかし、読んでみると、本格的なハードボイルドで、時代背景に古さを感じるものの、十分楽しめる。
沢崎の人間味を感じさせないキャラクターが、さらに今後を期待させる。
あ〜、やっぱり一気に読んでしまいそう・・・ -
ハードボイルドだ。レイモンド・チャンドラーの描く主人公フィリップ・マーロウのような探偵 沢崎が主人公。緻密な描写と粋なセリフで物語をぐんぐん引っ張っていく。文体に慣れるまでは読みづらいけれど慣れると快感に変わる。面白かった。
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「沢崎シリーズ」第一作。まだ肩に力が入った感じだけどシリーズが進むにつれてこなれてくる
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自分をバカと思う理由には事欠かない
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行方不明になったルポライターの調査に乗り出した私立探偵沢崎。事件はかつての都知事狙撃事件へと繋がっていく。歯切れのいい文章、洒落た会話、手に汗握るプロット。アメリカの本格ハードボイルドの翻訳を読むような、日本のハードボイルドではかなり質が高い正統派のデビュー作だ。これで十分なのだが、今後本家を超える作家の登場を期待させる記念碑的名作。