ヴィーナス・シティ (ハヤカワ文庫 JA マ 2-2)

著者 :
  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150305369

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  • 仮想現実空間に住まうのは羨望の群れ

    (以下抜粋)
    ○バットは、キーボードレス・インターフェース時代の先兵のひとつだった。
     掌と五本の指の各関節、そして手首の関節の各々の、
     相対的な位置関係を磁気で検出することで、各種このコマンドを発生させる装置だ。(P.67)

    ○ただ、あたしには、なんとなく卑猥な感じがして仕方がないのだ。
     口の中に、各種の刺激を分泌するソフト・プラスティックの棒状の器械を含んだ上で、
     データ・スーツに身を包み、シティのシステム接続するなんて。
     なんだかとてもいやらしい感じがする。(P.78-79)

    ○トー結線というのは認知科学の用語でね。
     トーは<実在性の場所(トポス・オブ・リアリティ)>という意味。
     その頃の大問題は、人間はどうして、
     物理界の現実だけを唯一の現実として認識するようになるのか、ということだった。
     どうして夢は現実から区別されるのか。
     どうして仮想現実は現実とは違うものとして処理されるのか。(P.264)

    ○人間の脳には、原始的な脳幹部と大脳皮質とを結ぶ特殊な情報の経路がある。
     ある情報インプットが物理界の現実のものかそうでないかは、
     脳幹部で判断される。
     しごく原始的な体性感覚を判断の基準に使っているらしいわ。
     物理界の現実の中で進化してきた生き物には、
     それが物理界の現実であるか別の現実であるかが、いわば『肌で分かる』らしいの。(P.264)

  • ・ジェンダー意識の融解。
    ・サディズムとマゾヒズム。
    ・世界の日本化。これは面白い着眼点。
    ・いわゆる集合的無意識の問題。結局はそこに行き着かざるを得ないのか。
    ・インターフェイスの進化。
    などなど諸々の考えるべきテーマがあるが、語りの問題がやはり気にかかる。
    映画や漫画は描写が即時説明になるが、小説では描写の次元と説明の次元が混在している。
    説明的すぎるSF。
    ただし、筋は言ってみれば教科書的な流れ。

  • サーバーパンク?なのかな?パンクではない?とにかくサイバーものです。

    かなりエロい。古い小説にしてはなかなか衝撃的です。

    サイバー空間で視覚が拡張されきったら、その次はやっぱり触覚になるのかなぁ?SFだからちょっと怖い展開もあるんだけど、実際に実用化されたらもっとほのぼのとした利用のされかたなんだろうなと思ってみたり。遠恋の恋人が手をつないだりとかね。

  •  バーチャルリアリティ小説の代表的作品。某氏が「仮想現実の描き方が普通の世界と同じでおかしい」と言っていたが、とにかくエンターテイメント性が高い面白い作品だった。
     バーチャルリアリティ小説の先駆的なものに岡嶋二人の「クラインの壷」という作品があるのを最近知り、今度読み比べたいと思う。

  • (2002)
    (2011.2)

  • 今では仮想現実も、そこでの自己やコミュニティの形成も身近なものになりましたが、その世界を8年も前に描き切っている作者の先見の明が、秀逸過ぎる。

  • 性別とジェンダー 現実の世界とバーチャルの世界
    混乱の話が好きなのだと、思い知らされた一冊

  • 近未来、人々は「ヴィーナス・シティ」という仮想現実空間で自由に「自分」を作り出し楽しんでいた。しかしある日ビーナス・シティに異変が・・・。
    全体に漂うフェティシズムがたまりません。あとバーチャルリアリティの世界観とか。確実に現実になりそうな感じの世界観が好き。

  • 曖昧な境界線に何処まで縛られますか?

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