私が殺した少女 (ハヤカワ文庫 JA ハ 4-2)

著者 :
  • 早川書房
3.53
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  • (22)
本棚登録 : 2084
感想 : 229
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  • Amazon.co.jp ・本 (439ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150305468

作品紹介・あらすじ

まるで拾った宝くじが当たったように不運な一日は、一本の電話ではじまった。私立探偵沢崎の事務所に電話をしてきた依頼人は、面会場所に目白の自宅を指定していた。沢崎はブルーバードを走らせ、依頼人の邸宅へ向かう。だが、そこで彼は、自分が思いもかけぬ誘拐事件に巻き込まれていることを知る…緻密なストーリー展開と強烈なサスペンスで独自のハードボイルド世界を確立し、日本の読書界を瞠目させた直木賞・ファルコン賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりにじっくりとサスペンスを堪能しました。
    ハードボイルドミステリーでしょうか。

    感傷や恐怖の感情に流されない探偵・沢崎が誘拐殺人事件の犯人を追います。
    将来を嘱望されたヴァイオリンの天才少女が誘拐される。要求された身代金は6千万円。
    沢崎は、その身代金の受け渡しに 巻き込まれてしまう。
    身代金受け渡しに失敗した彼は、彼女の生存に責任を感じながらも、冷静に犯人を絞り込む。多くの関係者が絡み、ストーリーが緻密で繊細。
    結末には、違和感が残りますが、関わった人達の心情を描きながら核心に近づく魅力的な作品でした。

    作家原尞氏も直木賞受賞の本作も 全くノーマークでした。本とコさんご紹介、的確で素敵なレビューありがとうございました。

    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      「木原音瀬」沼の話、皆さん愉快で、掛け合いは
      読んでて楽しいですね。
      私は臆病者で、沼に(意図的に)ハマらないように
      してます。
      「機が熟す...
      「木原音瀬」沼の話、皆さん愉快で、掛け合いは
      読んでて楽しいですね。
      私は臆病者で、沼に(意図的に)ハマらないように
      してます。
      「機が熟すのを待つ」派です(ウソつけ!)。
      2023/07/21
    • おびのりさん
      はっ恥ずかしい。。。
      はっ恥ずかしい。。。
      2023/07/21
    • ひまわりめろんさん
      ほんとに恥ずかしい奴らやで┐⁠(⁠ ⁠˘⁠_⁠˘⁠)⁠┌
      ほんとに恥ずかしい奴らやで┐⁠(⁠ ⁠˘⁠_⁠˘⁠)⁠┌
      2023/07/24
  •  今月4日、作家の原寮さんが逝去されました。2018年発表の『それまでの明日』しか読んだことがなく‥、えっ、これがまさかの遺作!
     本作は、1989年刊行の直木賞・ファルコン賞W受賞作品です。優れたハードボイルドという証なんでしょうね。

     本書は、探偵の沢崎がシリーズ化された第2作とのことで、沢崎が「私」という一人称で語る、ヴァイオリンの天少女の誘拐事件を軸にした物語です。
     なるほど、沢崎の特定の感情に流されず、強靭で時に冷酷な言動の描写や、天候、実在の街並み、家屋周辺や室内に至る詳細な表現から〝硬派〟という印象を受けます。
     読み手は、探偵である沢崎視点で事件と様々なエピソードに触れ、緻密な新展開が続くスピード感があり、飽きさせません。

     誘拐犯は誰? 事件の真相は? と最後のギリギリまで焦らされながら、突然解決に向かう終末の展開に‥。ん? (読み手の私は)沢崎に置いてかれた? と若干の「狐騙されモード」もありました。
     タイトル『私が殺した少女』の「私」に、いろんな人を当てはめられる意味合いを感じ、そこにも著者のねらいがあったのかなと考えました。

     巻末の(あとがきに代えてー敗者の文学)「ある男の身許調査」、原尞さんによる「私がはじめて原尞に会ったとき〜」で始まる文章は、寡作である著者の半生を語るもので興味深かったです。
     心よりご冥福をお祈り致します。 合掌‥

  • 再読。直木賞。少女誘拐事件の身代金受け渡し役に指名された沢崎。悪漢に襲われ、身代金は奪われ、少女は死体で発見される。
    少女の叔父から金に困った自分達の子供達が誘拐に関わっていないかの調査依頼を受けるが、関係なく無軌道に事件の解決に迫る。
    誘拐ものかつこの結末は、擦り尽くされている感がありますが、プロットの緻密さと登場人物の魅力がよいですね。予定調和的と感じますが。

  • 前作を読んだのが、もう10年ぐらい前。内容なんて、全然覚えてない。でも、14年ぶりに新刊が出ると言うので、続きを読んでみることに。
    作品は1988年に書かれており、いろいろ現代とは違う部分も多いが、最初からレイモンド・チャンドラーの影響をもろ受けたような展開に古さよりも渋さを感じる。昔ながらの「ザ・探偵小説」と言う感じ。沢崎の一匹狼感もいい!
    この後、6年の時を経て発表された第3弾は時代背景がどうなっているのか?沢崎の活躍もだけど、それが一番気になる…

  • 前から読んでみたかった探偵沢崎シリーズです。
    登場人物のだーれも携帯を持っていない、そんな時代の話。
    本作で沢崎氏は、誘拐事件に巻き込まれて右往左往させられるのですが、
    電話で連絡をとる場面が多々あって、それが全部公衆電話で、沢崎氏は
    テレカにすら、なんとなく拒否感を持ってて。
    どうしても、今読むと陳腐なかんじは否めない。中途半端な時代ものみたいで。
    今更ながら携帯電話の起こした変化の凄まじさを実感します。

    そんで、ハードボイルドですよ。探偵っすよ。今読むと陳腐なところもあるけど、
    文句なしにカッコいいんですよね。酒と煙草と車。
    探偵って、警察からも依頼人からも、いいように利用されたり
    スケープゴートにされたり、めっちゃ弱い立場なんだけど、沢崎氏は矜持を失わず
    警察に脅されようがヤクザに邪魔されようが、殴られ蹴られされても自分の進むべき方向を見失わないんです。んで、彼の日常は一切、語られない。心情も、思いも。
    タフでなければ生きていけない。
    おすすめです。古いですけど。

  • 様々なことが回りくどく語られていくが、結局は兄弟喧嘩の弾みで死んでしまった少女、殺してしまった少年を庇うためのことだったとか、ちょっと感情移入はできなかった。

  • バイオリンの天才少女身代金誘拐事件に巻き込まれた私立探偵 警察や暴力団にも物怖じしない沢崎がかっこいい 昭和の匂い漂うキャラクター ブルーバードの連呼 公衆電話 そして煙草の吸いすぎ! 結末はどんでん返し的な やり切れない家族だなぁと 

  • 爽快感はゼロだった。

  • 1989年の直木賞作品なので、30年以上前。時代は否応なく感じる。電話とか、煙草とか、今では使えないような表現とか。

    生粋のハードボイルド作品の割には、暴力的ではないので、読みやすいし、なかなか真相を読むことはできず、面白かった。
    真相は悲劇的で、救いはなさすぎ、と思ってしまった。

  • 私立探偵沢崎シリーズ2作目

    テーマは誘拐

    今回はテレフォンカードが登場した。
    車でぶっ飛ばすシーンが最高でした。


    分厚い本ながら、余計なこと考えず、一気読みできる作品に感謝します。

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