星界の紋章 1 (ハヤカワ文庫 JA モ 1-1)

著者 :
  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150305475

作品紹介・あらすじ

惑星マーティンの平和は突如襲来した宇宙艦隊によって破られた。侵略者の名はアーヴ、遺伝子改造によって宇宙空間に適応した人類の子孫だという。彼らの強大な軍事力の前に全面降伏の道を選んだ惑星政府主席の決断は、その幼い息子ジントの将来を大きく変えた-運命のいたずらでアーヴの星間帝国の貴族となった少年の冒険行を、SFマインドあふれる設定と、息もつがせぬストーリーで描いた気鋭のスペースオペラ超大作。

感想・レビュー・書評

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  • SFが苦手な私でも読めた作品。
    世界観や言語は、読んでいくうちに自然と頭に入っていくので大丈夫…どちらかというと、シリーズものなのでその知識を持続させておく方が難題です(笑)

    私的には、ジントとラフィールの掛け合いが魅力の一つでもあるのですが、紋章から戦旗になるにつれて少し魅力が色褪せてしまっているような気もします。

    読み始めたきっかけは、アニメ化の番宣だったのですがアニメは一話も観ることなく終わってしまいました。
    時間があって、何かどっぷり違う世界につかりたい気分の時に読むとよいかもしれません。
    ただ、中学?高校?時代に読んでいた作品なので大人になってどんな感想を持つのか…少し不安でもある作品です。

    個人的には、『紋章』シリーズの方が好きでした。

  • ある日突然、《アーヴによる人類帝国》の貴族となったジント。
    だから、ジントは純粋たるアーヴではない。

    ある事件を期に、ひょんな事で乗り合わせた王女ラフィールとの逃避行を開始する。
    アーヴの秘密。ジントの葛藤。ふたりの冒険。

    アーヴ語を始めとする、森岡浩之により構築された世界観。

  • ★「ラフィールと呼ぶがよい!」(p.62)
    3つの魅力(1)ボーイ・ミーツ・ガール。ラフィール一六歳、ジント一七歳。生物としても文化としても異なる背景を抱く二人がどう絆を深めていくか?(2)そしていま、「四ヵ国連合」との長きにわたる戦争と二人の逃避行が始まる。(3)シンプルなスペース・オペラかと思っていましたが、設定がかなり細かいです。この巻はストーリーに組み込みつつ設定を説明している巻のようです。書きながら設定を試行錯誤しはったのかもしれません。・・・あとがきによると三巻分まとめて書いてはったようです。

    ■簡単なメモ(アーヴ流の呼び方はめんどうなのでなるべく書かないようにします)

    【一行目】よく晴れた夜空。

    【アーヴ】元は宇宙をまたにかける武装商人だったが都市船「アブリアル」内ですべて自給自足できていたので武家の商法のようだった。《アーヴ、その性、傲慢にして無謀》紋章Ⅰp.140と言われる。ある時期の研究により「門」を開くことができるようになり、無用の争いを避けるためにもその技術を独占することにし、「アーヴによる人類帝国(フリューバル・グレール・ゴル・バーリ)」略称「アーヴ帝国」を設立した。おそらく拠点となる決まった星を持たず宇宙船内で生きていると思われる。
    【アーヴ人】青い髪で若々しく美しい。地球人の遺伝子をいじってそうなっているそうだ。宇宙とともに生きる民族。自分たちのことを「星たちの眷属(カルサール・グリューラク)」と呼ぶことを好む。《いまでは宇宙が故郷だ。》紋章Ⅰp.132。
    【アーヴによる支配】一五〇〇ほどの有人星系と二万以上の半有人星系を支配している。政治はおおむね被支配惑星の自治に任せるが「皇帝」を立てたとしても帝国の書類上は「領民代表」となる。帝国への反抗、離脱は許されない。制限は二点のみ。(1)恒星間飛行が可能な宇宙船の建造は認めない。代官である領主が認めれば保持はできるが武装は不可能。もともと「門」の無制限な利用により戦争が起こることを避けるのがアーヴ帝国設立の理由だったようなので当然と言える。(2)帝国星界軍の募集事務所を置く。星界軍に所属したり領主の配下になったとき被支配惑星の領民ではなく帝国の国民となる。応募者の妨害は許されない。
    【アブリアル】ラフィールの姓の元になった大昔の都市船。まあ、イメージ的にはマクロスかなと。当時の戦闘は戦闘機(高機動戦闘ユニット)によるもので、菱形の編隊、これもやはりマクロスのダイヤモンド・フォースな感じを組んでいた。指揮官が先頭の機体に乗り、それが前衛翔士、次席が後衛翔士、左右の機体の操縦士は列翼翔士。その編隊が二つ集まり、二部隊を指揮官機と同僚機が率い、計十機になるので指揮官は十翔長と呼ばれた。都市船アブリアルの時代、戦闘ユニットは全部合わせても一〇〇機から二〇〇機だった。その総指揮官が百翔長。それらの呼称が現在の軍の中にも残っている。
    【アブリアル司令長官】マーティンに最初に現れた侵略艦隊のトップ。友好条約には応じなかった。外交官でもあり、皇太子でもある。
    【遺伝子操作】アーヴでは遺伝子操作はアーヴという芸術作品を作るための技術のようなもの。美的見地からそれを行う。
    【エルフ耳】『星界の紋章』第一巻の表紙カバー絵はラフィールを描いているが、エルフ耳をしている。これはアーヴ全般ではなく「アブリアルの耳」と呼ばれアブリアル家の家徴らしい。これでも家の中では耳が小さく若干の劣等感を抱いているらしい。
    【階級】軍では軍の階級のみがすべてであり宮中での序列は関係ない。
    【技術系四科】造兵科、造船科、造機科、光子科。
    【ギュムリュア】軍匠十翔長。ゴースロスの整備・点検の総責任者。機関士長という感じか。女性。
    【教育】アーヴは貴族制であり、幼少時の教育は家風を叩き込むためにも家庭内で行われる。人格が定まっていないうちに他者に教育をほどこさせる学校のような施設は問題外。
    【空識覚/フロクラジュ】アーヴ特有の能力。空識覚器官を使い宇宙船の感じること、宇宙船の周囲の様子がすべてわかる。空識覚器官はふだんは頭環で隠されている。
    【クー・ドゥリン】ジントのデルクトゥーでの友人。
    【クランドン市】惑星マーティン唯一の都市。三つの複合機能建築からなり、オムニⅠ、オムニⅡ、オムニⅢと名付けられている。ジントが暮らすコリント家はオムニⅢにあり、首相官邸はオムニⅠにある。
    【血縁】アーヴは遺伝子をいじくりまわしたり、遺伝子のやりとりをしたりするので貴族といえど血縁をまったく重視しない。重要なのは家風の継承であり遺伝子の継承ではない。
    【光子科/ファズイア・ダテュークリール】技術系四科のひとつ。思考結晶を扱う。
    【皇族】アーヴ皇帝は世襲だが、継承者の資質を考慮できるようアブリアルの姓を共有する八つの王家から選ばれる。①スキール王家②イリューシュ王家③ラスィース王家④ウェスコー王家⑤バルケー王家⑥バルグゼーテ王家⑦スュルグゼーデ王家⑧クリューヴ王家。ラフィールは最後のクリューヴ王家に属する。必ず軍役につかねばならない義務がある。ドゥネー星界軍大学に他の階級の者より早く入学でき十翔長までは半年で昇格できる特権があるがその後には特権がなく罰則等も普通に受ける。順調に飛翔科翔士の十二階を昇り帝国元帥に達すると帝国艦隊司令長官に親補される。平時には一兵も指揮しない職だが次期皇帝になることがほぼ約束される。それが決まれば年上の皇族や二〇歳と離れていない年下の皇族は予備役編入を願うのがならわし。一代限りの皇族になることもできるが「ボース」姓となり身分も貴族と格下げとなりアブリアル姓は名乗れなくなる。ほかあれこれややこしい。
    【ゴースロス】ジントがデルクトゥーから乗り込んだアーヴの最新鋭巡察艦。練習艦隊に属している。が、訓練生が乗っているわけではなく、新鋭艦なので、こなれるまで練習艦隊に属して訓練する。戦艦として特に巨大なわけではないが、帝国その他の人類世界の中で現在最強と思われる戦闘力を持つ。
    【子育て】《子の遺伝子を彫琢して育てる。それで親になるんだ》紋章Ⅰp.88
    【サリューシュ】前衛翔士。ゴースロスの先任砲術士。鋭い目付き。由緒ある姓を持つ男性。操舵士でもあるようだ。戦闘隊長といったところか。
    【時空泡群】細かな理屈はともかく、宇宙空間で時空泡群があったらそこには艦がいると思えばいいようだ。
    【思考結晶/ダテューキル】まあ、コンピュータみたいなもんかと。
    【ジムリュアの乱】かつて星界軍と地上軍に分かれていた頃、地上人主流の地上軍が大規模な反乱を起こしたが、それを首謀者の名前を取って「ジムリュアの乱」と呼ぶ。鎮圧後即座に地上軍は解体された。
    【主計科】ジントがアーヴ軍で就く予定の事務方の役目。食料や備品の点検で日が暮れる。ある意味最重要部署。
    【主計修技館生活諸規則】ジントが頭に刻み込むようにと渡され格闘した。古い規則は削除せず様々な補足をつけることで矛盾点を回避している。そのせいで膨大なデータとなっている。古代ローマの法律ようなタイプか。
    【出生の秘密】アーヴでは「出生の秘密」がある場合が多い。成人するまでは自分の出自(遺伝子)がわからなかったりする。成人すると遺伝記録を閲覧できる。《出生の秘密があったほうが、子どもの人格は豊かになる》という考え方がある(紋章Ⅰp.90)
    【翔士/ロダイル】深紅の腰帯を身につけている。
    【人口】アーヴの人口は二五〇〇万人ほど。ほとんどが士族(リューク)で(スイーフ)は二〇万人程度。ジントはアーヴ人種でないにもかかわらず、閣下(ローニュ)の称号を持つ一六〇〇家ほど、家族を含め二万人もいない「諸侯(ヴォーダ)」の一人となった。なお、アーヴ人以外も含めると国民は一〇億人、領民は九〇〇〇億人ほど。
    【ジント・リン★】視点役としての主人公。惑星マーティンで暮らしていた茶色い髪を少年。政府主席ロック・リンの息子。母は鉱山監督だったが事故で死亡、ジントは母の面影も覚えていない。コリント家で育てられティルの妻リナに対しては母親として愛情を抱いている。アーヴ帝国侵略艦隊来訪時に父ロック・リンがおこなったある取引によって波乱の人生が始まる。帝国貴族になった後の正式な名前は「リン・スューヌ=ロク・ハイド伯爵公子・ジント」。
    【人類統合体】かつてスーメイ星系でアーヴが発見したのと同様、平面宇宙を利用する技術を発見し、アーヴとは異なりその技術を充分な対価を支払えば広く公開した。アーヴに言わせるといたずらに争いを広げるだけだと思われ、実際にそうなった。そうして分かれていった星間国家のひとつが「人類統合体」で人口は六〇〇〇億あまり。「ノヴァシチリア条約」の中心国。民主主義を標榜しすべての災厄はアーヴによるものと考えている。
    【星界軍/ラプール】アーヴの軍。
    【制御籠手/グーヘーク】アーヴは左手にはめた制御籠手と音声入力で操船する。合成皮革製と多くの金属パーツで構成されており、肘まで覆う長さがあり、小さなディスプレイがあるようだ。
    【性別】アーヴの性別は外見からはわかりにくい。男女ともに同様に美しいので。
    【セールナイ】フェブダーシュ男爵の家臣のひとり。
    【造機科/ファズイア・セール】技術系四科のひとつ。機関を設計する。
    【造船科/ファズイア・ハル】技術系四科のひとつ。船体を意匠する。
    【造兵科/ファズイア・ロウボン】技術系四科のひとつ。兵器を考案する。
    【地球】人類の故郷。
    【ディーシュ】主計十翔長。ゴースロスの書記長。男性。人間の面倒を見る責任者。そのままだったらジントがその配下についたと思われる。
    【帝国貴族/ルエ・スイーフ】ジントは父のせいで帝国貴族になった。
    【ティル・コリント】ロック・リン主席の秘書官。妻はリナ。ジントはコリント家で育てられたようなもの。
    【デルクトゥー】惑星。宇宙港はお祭り騒ぎ。《デルクトゥー人は時間のつぶし方を知っている。》紋章Ⅰp.34。人名は姓名の姓の方が先に来るのでマーティンなどとは異なる。
    【特殊兵科】主計科、空挺科、軍医科、技術科、警衛科、法務科、看護科、軍匠科、造兵科、造船科、造機科、光子科、航路科、軍楽科がある。
    【年齢】アーヴの年齢は見た目からはわからない。十五歳くらいまでは先祖と同じように成長し「成長」と呼ぶ。その後二十五年ほどかけて外見的には十歳ほど加齢し「成熟」と呼ぶ。その後は死ぬまで老けない。不老だが不死ではない。知性が破壊される前に生命活動を止めるようデザインされており、寿命はおおむね二〇〇歳から二五〇歳。
    【ノヴァシチリア条約】アーヴ帝国以外に星間国家は四つある。「人類統合体」、「ハニア連邦」、「拡大アルコント共和国」、「人民主権星系連合体」。四つ合わせた人口は一兆一千億ほど。いずれも民主主義を標榜している。長期にわたり戦っていたがアーヴに対抗するため対立をやめ軍事同盟の条約を結んだ。ジントとラフィールが出会った十二年前のこと。自分たちは「民主主義諸国」を名乗ることが多く、アーヴは「四ヵ国連合」と呼んだ。
    【ハイド伯爵家】《ハイド伯爵家の創設物語は英雄譚じゃなくて、犯罪劇なんだよ。マルティーニュの人たちは、みんな、ぼくと父を憎んでいる》紋章Ⅰp.41。紋章旗の図柄は緑地に赤くレズワンという、鳥のように見えるがじつはマルティーニュの海を泳ぎまわる有毛魚類の一種が縫いとられている。実物はけっこう間抜けな感じの動物だが旗にするとそれなりの威厳がある。
    【平面宇宙/ファーズ】理屈はともあれ、われわれの宇宙とは完全に独立し別の物理法則が支配する一次元の時間と二次元の空間からなる宇宙で、要するに「門」を通るとそこに入り、超光速移動が可能になる。まあ原理は異なるだろうけど「ワープ」できるようになるくらいに考えておけばよいかと。この宇宙にいる限りは通常宇宙で起こっていることは何もわからないし、自分たちの位置もわからない。
    【フェブダーク男爵】アーヴにも俗物はいる。辺境に小さな領地を持ち反物質燃料の製作で利益を得、自分ではアーヴだとイメージしている小さな王国を築き地上人の女性たちに君臨していた。ゴースロスを脱出したジントとラフィールが最初に到着した星系。成金趣味だからか、なんらかの保身のためか、王女であるラフィールを軍務中であるにもかかわらず強引に引き留めようとした。
    【フェブダーク男爵の父】先代男爵の父は地上人だったようなので現男爵の成金趣味はうなずける。母親が成り上がり、自身も造船翔士まで昇った。なかなか老獪で楽しい人物。《おお、少年よ、負け惜しみということばをきいたことは?》紋章Ⅰp.245
    【星たちの眷属/カルサール・グリューラク】アーヴはよく自分たちのことをそう呼ぶ。
    【マーティン】惑星。ハイド星系の宗主惑星と思われる。恒星間移民船「レイフ・エリクスン」で移住してきた人類の末裔が暮らす。惑星改造技術に頼らなくてすむ酸素大気惑星だった。奇妙な動植物が繁殖していたが移民たちは惑星の生態系を壊さないよう慎重に人口を増やしていった。
    【マルティーニュ】惑星マーティンが帝国に併呑された後の名称だと思われる。
    【ミンチウ】デルクトゥーでもっとも人気のある球技。
    【門/ソード】ユアノンの第二形態。簡単に言えば超光速航行のための出入り口となっている。
    【ユアノン】謎の粒子。正体は不明だがエネルギーとして利用は可能。外宇宙に出ようとしてた人類にとって燃料を積載しなくてもかまわなくなるので福音となった。
    【ユーンセリア】前衛翔士。ゴースロスの先任通信士。原色の青といえる髪の女性。しっとりとした落ち着きのある物腰。
    【与圧兜/サブート】宇宙服のことかと。
    【ラクファカール】アーヴの帝都。
    【ラフィール★】主人公。惑星デルクトゥーにいたジントを迎えに来た翔士修技生。アーヴ皇帝ラマージュの孫娘。正式な名前は「アブリアル・ネイ=ドゥブレスク・パリューニュ子爵・ラフィール」。「ラフィールと呼ぶがよい!」(星界Ⅰp.63)というのは特別なことなのかも?
    【ラフィールの父】ユーモアセンスはあるらしい。お気楽な言動をラフィールは回想している。そのせいでラフィールは自分が猫の遺伝子を持って生まれてきたかもと心配していた。
    【ラマージュ】アーヴ皇帝。ラフィールはその孫。
    【領主】アーヴ帝国が被支配惑星に差し向ける代官。交渉の窓口でもある。その惑星の産物等による貿易の権利を唯一持つ。
    【レイフ・エリクスン】恒星間移民船。マーティンを発見後記念碑として惑星軌道上に係留されていたがあるとき謎の爆発をし、それが現在の「マーティン」の月となっている。
    【レクシュ】百翔長。ゴースロスの艦長。女性。ラフィールの遺伝子提供者。ジントの感覚では母親。
    【恋愛と結婚】アーヴは結婚しない。永遠の青春の中で生きるアーヴに結婚という制度はそぐわない。《狂おしいほどに激しく燃えさかり、跡形もなく燃えつきる》のが典型的なアーヴの恋愛。まれに長続きしたり、死ぬまでいっしょに過ごしたりすることはある。必然的に親は基本的には一人しかいないことになることが多い。「父の娘」とか「母の息子」と呼ばれる。「そなたの遺伝子が欲しい」というのはもっとも真剣な愛の告白。ラフィールは自分が「愛の娘」かどうか心配していた。いっときは父親と自宅の飼い猫の遺伝子からつくられた子どもかもしれないと考えていた(アーヴの技術では可能)。
    【レリア】十翔長。ゴースロスの副館長。兼先任航法士。水色の口ひげの男性。親しみやすい感じ。
    【ロック・リン】帝国艦隊が来たときの政府主席。ジント・リンの父。妻は鉱山監督だったが事故で死亡。侵略艦隊来訪時にアーヴとある取引をし、そのせいでジントの人生は難しいものになった。ロック自身は自星の利益を最大限護るためにそうしたが、全国民からは裏切り者と思われている。帝国貴族になった後の正式な名前は「リン・スューヌ=ロク・ハイド伯爵・ローシュ」。
    【惑星改造技術】要するにテラフォーミング。ユアノン推進の研究は始まった頃すでにこの技術は確立されており金星や火星で実践されていた。

  • 高校生の頃SFを読み始めたきっかけがスペースオペラだったので、とにかく楽しい読書でした。
    しかも30年くらい前の作品。
    今っぽく尖ってなくて、ほんと好きだわ。

    『星界の紋章 Ⅰ』なんていうから、一話完結のシリーズ化と思ったら、話の途中で続く。
    上中下巻の上ってことでした。

    惑星マーティンで穏やかに子ども時代を過ごしていたジントは、ある日現れたアーヴ帝国に故郷の星を侵略され、父の決断により、あろうことか帝国貴族となってしまった。
    故郷を裏切った父への思い。
    アーヴの見た目と大きく違うために貴族としては生きにくく、だからといって地上人として生きるわけにいかないジントの屈託。

    貴族は一定期間軍隊に所属することが義務付けられるので、ジントは軍の事務官を養成する学校へ向かうために宇宙艇に乗船する。
    ここでジントが出会うのが、帝国の孫娘であるラフィール。
    二人はそれぞれに運命と戦っているのだが、ジントにとってラフィールは帝国貴族の教科書でありお手本。
    読者にとっても、ラフィールの説明で帝国のありようがわかるシステムになっている。

    ところが突然宇宙艇が襲われる。
    帝国の独裁に異を唱える勢力に攻撃され、ラフィールとジントは艇を脱出し、早急にこの異常事態を帝国に知らせなければならないのに…!

    50ページくらいで次々に場面転換するので、テンポよく読めるのもいい。
    そして猛烈に次巻が気になる。
    よい本に巡り合えました。

    ”けれども、彼らは誠忠と隷属の区別をちゃんとつけていたものだ。”
    これ、大人として大事なことだよね。

  • 文体が独特

  • 星界の紋章〈1〉帝国の王女 (ハヤカワ文庫JA)

  • 星界語(?)のルビがやや鬱陶しいが、話自体はスペースオペラ&ボーイミーツガールで惹き込まれる。数奇な運命で貴族になってしまった主人公も面白い。

  • アニメの商材を扱っていたときに気になっていたタイトル。アニメも未鑑賞。図書館でふと本を見つけて読んでみようと思ったのが動機。1巻目はふとしたきっかけで貴族となったジントと帝国の王女でありながら、兵士として軍艦に乗っていたラフィールとの出会いが主な話の筋。SF小説らしく、ルビの入った単語は始め非常に読みずらいが、慣れてくると読みやすくなった。脱出中に立ち寄った貴族の館(惑星)で思わぬ足止めをくらったジント達。どう惑星から脱出するのか?。続きも読んでいきたいと思う。

  • ジント meets ラフィール。からの、スペースオペラ!生きている間に完結して欲しいわ。

    半分くらい読んだけど、今はこういうファンタジーを楽しむ気分ではない。
    子どもの頃は私もこの物語を楽しんだけど、兄への義理のためにこのシリーズを持ち続ける必要は無いわ。

  • 久々に読む。
    世界観の作り込みが凄い。

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著者プロフィール

1962年、兵庫県生まれ。SF作家。92年、短編「夢の樹が接げたら」でデビュー。アニメにもなった『星界の紋章』シリーズや、日本SF大賞を受賞した『突変』など、著書多数。

「2023年 『夢のまた夢 若武者の誕生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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