みるなの木 (ハヤカワ文庫 JA シ 2-1)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 109
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150306373

感想・レビュー・書評

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  • さっそく「みるなの木」を読む。
    期待通りのシーナワールド全開の作品集で、この手の作風が好きな人にはたまらない味付けになっている。

    出だしからこんな感じだ。

    「喉袋の中央通りにある宝貨転々ストアーに勤めていた相原という男が、根卵の殻噛み職人を二人殺して金を奪い、山へ逃げたので、百舌とおれは武器を持って山に入ることになった。
    行く前に殺された二人を検分して行ってくれ、と根卵屋の女主人が恐怖と怒りで荒い息をざあざあ吐きながら百舌やおれの服の袖を掴んで離さないので、あまり気がすすまなかったが根卵屋の仕事場に入った。
    二人は寸毫刀らしい凶器で胸や腹を突かれ、むごたらしい姿で殺されていた。殻噛み職人は仕事柄、下あごの周囲に補筋帯をつけていたが、寸毫刀で刺されたときのあまりの痛みさのためか、もしくはその叫び声でいっぱいに口をあけたためなのか、頑丈な撞背革でつくられている補筋帯の二重ベルトが左右ともぶつぶつに切れている・・・・」(1頁目より抜粋)

    「根卵の殻噛み職人」って何なの?
    「寸毫刀」って?
    というような説明を一切省略して、いかにもみなんさんご承知のとおりといった感じで不思議な世界の話がすすんで行くのがシーナ流なのだ。

    椎名誠はただのエッセイ作家と思っている人は、一度彼のSF作品を読んで欲しい。
    作者もあとがきの中で書いているように「読む人選ぶ」ジャンルかもしれないが、一度ハマってしまうと独特の文体でつむぎだされる、おかしおそろしあやしの世界に酔いしれるハズだ。

  • 不気味短編

    「走る男」の元ネタもあって中々読み応えがありました。
    それにしても椎名誠の考える世界には生きたくない。

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著者プロフィール

1944年生まれ。作家。1988年「犬の系譜」で吉川英治文学新人賞、1990年「アド・バード」で日本SF大賞を受賞。著書に「ごんごんと風にころがる雲をみた。」「新宿遊牧民」「屋上の黄色いテント」「わしらは怪しい雑魚釣り隊」シリーズ、「そらをみてますないてます」「国境越え」など多数。また写真集に「ONCE UPON A TIME」、映画監督作品に「白い馬」などがある。

「2012年 『水の上で火が踊る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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