さらば長き眠り (ハヤカワ文庫 JA ハ 4-4)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 678
感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (588ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150306540

作品紹介・あらすじ

400日ぶりに東京に帰ってきた私立探偵沢崎を待っていたのは、浮浪者の男だった。男の導きで、沢崎は元高校野球選手の魚住からの調査を請け負う。11年前、魚住に八百長試合の誘いがあったのが発端で、彼の義姉が自殺した真相を突き止めてほしいというのだ。調査を開始した沢崎は、やがて八百長事件の背後にある驚愕の事実に突き当たる…沢崎シリーズ第一期完結の渾身の大作。文庫版書下ろし掌編「世紀末犯罪事情」収録。

感想・レビュー・書評

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  • 渡辺の最後が、すごくあっさりしていて良かった。百合の正体にはえーっ!!てなりつつも、全体的にはぬるぬると解決していって、「仮説が核心に変わっていく」スタイルが斬新、かつ完成されていた。いい後味だ〜

  • 正統なレイモンド・チャンドラーの後継者と言えると思う。
    レイモンド・チャンドラー+ロス・マクドナルドだな。
    何とも言えないけど、読み応えが有り、素晴らしい作品だ。
    煙草が無性に吸いたくなる。今の時代は煙草の扱いが厳しいような。

  • 探偵沢崎シリーズで、「私が殺した少女」の次に書かれたものです。
    沢崎氏は渡辺探偵事務所の探偵なんですが、所属しているのは彼一人。
    なんで「渡辺」?なんですが、主宰者でありパートナーでもあった渡辺は
    元刑事なんですが、おとり捜査の最中に取引のブツと金の双方を持ち逃げして
    警察とヤクザの双方から追われている、という身の上。

    前作でも、その渡辺氏は絶妙に現れては消えて、深い印象を残していたんですが
    今作でついに、彼に関しては決着ついてしまいます。
    けっこうなエピソードだと思うのに、全くの傍流扱いで。

    そして本流の方も、圧巻というか息をもつかせぬ展開で。
    なかなかのアクションシーンが随所にあって、コレ、映画化されないかなって。
    沢崎シリーズの第一期完結となる渾身の大作だそうで。

    いや、全く。タイトル含めて非の打ちどころのない傑作だと思います。
    全く語られないのに、いやだからこそ、香るように、ゆらめくように
    沢崎の思いや感情が、行間から沁みだしてくるような気がします。

    オススメです。

  • ハードボイルド、私立探偵沢崎シリーズ第三作。
    11年前に義姉が自殺した真相を突き止めて欲しいとの依頼を受ける。
    原尞氏の著作には、妙なリアリティが存在している。それは、そこかしこに、原尞氏自身が潜んでおり、ある種の私小説的な迫力があるせいかもしれない。

  • YM館長の一箱図書館で借用。

    タイトルは知っていたが読んだことのなかった本。
    探偵沢崎シリーズの第3作。

    甲子園賭博の話から、途中で能の宗家の話が出てきて、どうなるのだろうと思った。

  • 沢崎が相変わらずハードボイルドにキメる。
    高校野球の八百長の謎について辿っていくと、沢崎は能を見ることになるのだ。なんのこっちゃ。
    アウトローな探偵を気どりながらも、なんだかんだ人の情に繊細さを見せるシーンが多く、いかにも日本風チャンドラーといったところ。

  • 一年以上東京を離れていた沢崎が最初にしたことは、まず連絡の取れない依頼人を探すことだった。
    浮浪者に事務所を見張るよう頼んでいた依頼者は、10年以上前、高校野球の選手として注目を浴びたあと八百長疑惑をかけられた。
    疑惑が晴れる直前に自殺した姉の、死の真相を探ってくれと頼む依頼者・魚住は、その後何者かに襲われ重傷を負う。

    唐突に出てくる能の世界。
    『花よりも花の如く』を読んでいてよかったな。
    なんとなく能の世界のイメージができる。

    この事件には二組の父と娘が出てくるが、どちらの父親もある意味毒親。
    娘を憎んでいるのならまだしも、かわいいと思っていると言いながら、最終的には保身に走るのだ。
    タイトルの「長き眠り」の意味が分かった時、本当に長い間無為に眠りにつかされた娘たちを思って、怒りが込み上げた。

    さて、シリーズ最初から沢崎の周辺に出没する「渡辺」について、ひとまず片が付いた。
    作者はこれでシリーズを終了するつもりだったのだろうか。
    それとも、「渡辺」については些細なことなのか。

  • すべてのネタ振りがきれいに回収される展開が気持ちいい。探偵は自分ルールに縛られて、苦労が多い。

  • 姉の自殺の真相を調べる。
    依頼されるまでと真相に関して若干こねくり回し過ぎやなーって感がした。今読むと全体的に古いなー。
    だから、事情の分からん海外ものが好きなんかな。
    でも、やっぱり沢崎シリーズ面白い。

  • 久しぶりの沢崎。皮肉っぽいきざなセリフは沢崎だから似合う。こんなセリフ現実には言えない。
    魚崎という青年の姉の11年前の自殺の真相を追う。
    少しづつ真相に近づきそうで、それを覆すように事件が起きる。最期は、意外な事実が判明する。
    ラストの真相は驚かされた。
    そして渡辺を巡る因縁も終わりを迎える。

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