象られた力 kaleidscape (ハヤカワ文庫 JA)

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著者 : 飛浩隆
  • 早川書房 (2004年9月8日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (423ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150307684

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象られた力 kaleidscape (ハヤカワ文庫 JA)の感想・レビュー・書評

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  • どれも素敵だった。
    <象られた力>は、まるで長編を読んだ後のよう。
    中短篇集だからといって、休憩に読めるなんて思っちゃだめだ。
    時間をかけて、音楽もかけず、ただじっくりと、飛さんの表現する世界に、ひたすら絡みつくのが最高だ。
    やっぱり飛さんは素敵だ。
    たぶん、飛さんの文章は過剰に映像的だし、色彩と音の描写がものすごく装飾的で、それが美しくてたまらない。
    これは、テーマから考えたら目くらましかも知れないけど、これだけ美しく、そして凝りに凝って作られた設定に酔えるのが、飛さんの素敵さでしょ?と思っている。

    (だいたい、こんなテーマを現実の不安として抱えたり理解する人間なんて、病的か、さもなきゃオクスリ的だと私は考えている。
    少なくとも私の乏しいSF系本棚の中で、こんな思考と世界の捉え方に近くて優しくしてくれるのは、徹底的に矯正してくれようとする神林さんか、とぼけていてくれる円城さんか、美しさに溺れさせてくれる飛さんか…ってとこである。)

    <デュオ>は音・音楽の描き方が本当に豊かできらびやか!!
    それだけでも素敵だけど、「人が生きているかどうかは微妙な問題です。」
    人々の記憶の合間に、情報の渦の中に、まるで誰かが存在するように振舞う何かを、感じる時のことを考える。
    見えない敵と戦っている、みたいなものかもしれない。
    その怖さについての話。だとおもう。

    <呪界のほとり>は、大好物メタフィクション。
    こんなに明るく書いてくれていいのかしら!
    とっても好き。

    <夜と泥の>
    未知の世界で、考えもしないウイルスを、知らぬ間に取り込んでいて、その世界の共感場に抗えなくなること。
    人類の希釈化。
    「新たな環境で、新生活で、あのヒトは変わってしまった、私は変わってしまった?」そんな陳腐な話にすり替えたって良いのかも知れない。
    でもそれを良しと出来ない、自己と他者の境界で恐怖に佇む者には、こういうお話じゃなきゃ救われないのだ。

    <象られた力>
    ちからとかたち。
    私という形を保つ、内側からの力と外側からの力、内側の思考と外側の思考のぶつかり合う、この身体の表面。
    わたしという形を保つ、私という形を作るために、適切適当なエネルギーと思考と他者の関わり。
    その不安について。
    この日常的な恐怖について。
    ものすごく凝った設定で、映像的に装飾的に描いて酔わせて、最終的に消滅という退廃的な甘美さに引き連れて行ってくれる飛さんの優しさったら、とんでもないなぁと思う。

    大好き。

    【読後追記】
    消えた星<百合洋>ユリウミの、図形言語。
    そしてやはり消えたはずの星シジックから発信される“シジックの歌”。
    百合洋のエンブレムが表す文脈と情動。情動は人間が環境に最適化するために作ったツール。そのツールを制御するコマンド。言語と…そして図形。
    読後も頭が<象られた力>で溢れる。次になにを読むのが適切なのか、わからない。
    『世界の野生ネコ』でも眺めるしかないか。

  • イマジネーションの奔流、理性ではなく肌で理解する物語。

    鴨が飛浩隆氏の作品を初めて読んだのは、2年前に読んだ「日本SF短編50 V」に収録されていた「自生の夢」。正直言って、まったく訳が判りませんでした。でも不思議と気になって、海外での評価が高いというハロー効果もあってか、この短編集を手に取ってみました。

    で、読んでみた感想ですが、正直なところ、やはりよく判らない、と思います。例えばSFを読み慣れていない友人にこの作品を判りやすく紹介せよ、と言われたら、鴨にはできないと思います。ポイントを押さえて巧いこと言語化して要約することが難しい作品だと思います。
    元々言語で記述されている小説なのだから、「言語化が困難」というのは言い訳に過ぎないということはよく理解してるつもりなんですが、本当にこの世界観、言語だけでは押さえきれないんですよ。「絵になるSF」の極北、音や視覚や嗅覚といった五感を駆使して読み解くワン・アンド・オンリーな世界観です。表題作の視覚的なカタストロフィは特筆モノですね。この作品を母語で読めるということは、日本人SF者としての至福のひとときかもしれませんね。

    こうした「認識のパラダイム・シフト」を前提としたSFは、実は日本SFの得意とするところなのではないか、と鴨は感じています。SFという文学フォーマットでこそ挑戦可能な分野だと思いますし、今後もより先鋭的な作品を期待しています。

  • 理想の文体かもしれない。
    憧れは山尾悠子氏、それはこれからも変わらないが、自分が目指すとしたら。

    肉体は五感を支配しているだろうか。
    あるいは、五感が肉体を支配するのだろうか。

    文字を読むということが、ここまでの体験をさせてくれるのだ。
    そんな満足感をもたらしてくれた一冊。
    しばらくは余韻を引きずりそうだ。
    五感が、騒ぎすぎて。

  • 図書館で。
    グラン何とかってのは読んだ記憶があるような… それにしても不思議な経歴をお持ちの方なのですねぇ。

    デュオはピアノの話でちょっとホラーな感じ。死んでしまった3人目の意志というか意識がちゃんと勉強しているのが面白い。強い生への自我とかじゃないのねぇ。

    竜と主役と老人、というスラップスティックな感じの短編は面白かった。そのうちコレシリーズになりそう。

    夏至の日に機械仕掛けの妖精たちが争うってなんかシェイクスピアか神話みたいな話で面白い。ウィルス最強。

    アイコンが作用しあい、一つの意志というか力を発動するというのは…なんかうん、ちょっと受け入れがたくもあり怖いなぁと素直に思ったり。百合洋をユリウミと読ませるのがカッコイイ。

  • 最初の「デュオ」はSFっていうよりミステリでしょ。シャム双生児の天才ピアニストに死産した兄弟の意識が入り込んでるって設定だけでイカす〜。表題作はがっつりSF。意匠や文言が感情感覚に直接作用して果てには物理的な力を持つ。。。「図形テロ」って面白いけど、だいぶ"虐殺器官"的だし、「自生の夢」と被ってない?違うネタを希望。

  • 「デュオ」★★★★
    「呪界のほとり」★★★
    「夜と泥の」★★★
    「象られた力」★★★★

  • 以前読んだときはデュオばかりにキャーキャー思ったのだけど、今回は断然表題作がキました。
    なんでだろう面白い、また数年後に読まなくちゃって思う。
    ああ、でも、あの瞳孔は私の記憶にもくっきり穿たれていて、そえそうこれこれってなった。

    いずれにしても、最も麗しくかつ巧みな文章だという私の感覚は変わらない。

  • 表題作が抜群。長編グラン・ヴァカンスといい著者の描く滅びは絶望的でありながらとても魅力的。

  • 生徒のビブリオバトル候補本。
    SFは嫌いではないと思っていたけど、この作品は観念的というか、小難しい感じがして読むのが大変でした。
    個人的には苦手な部類。

  • SFともファンタジーともホラーともとれる短編集。文章が綺麗。映像が浮かぶ様だ。
    「夜と泥の」の情景描写に感動した。

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象られた力 kaleidscape (ハヤカワ文庫 JA)の作品紹介

惑星"百合洋"が謎の消失を遂げてから1年、近傍の惑星"シジック"のイコノグラファー、クドウ円は、百合洋の言語体系に秘められた"見えない図形"の解明を依頼される。だがそれは、世界認識を介した恐るべき災厄の先触れにすぎなかった…異星社会を舞台に"かたち"と"ちから"の相克を描いた表題作、双子の天才ピアニストをめぐる生と死の二重奏の物語「デュオ」ほか、初期中篇の完全改稿版全4篇を収めた傑作集。

象られた力 kaleidscape (ハヤカワ文庫 JA)のKindle版

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