敵は海賊・正義の眼 (ハヤカワ文庫 JA カ 3-37)

著者 :
  • 早川書房
3.61
  • (34)
  • (49)
  • (84)
  • (5)
  • (3)
本棚登録 : 448
感想 : 36
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150308933

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  聖なる悪と
     純なる悪の
     俗なる闘い

    ひさしぶりに敵は海賊を読んで、もう一度最初のシリーズから読み返したくなった

  • 敵は海賊・正義の眼 (ハヤカワ文庫JA)

  • 思い返せば、神林作品の虜となったのが、このseriesでした。

    「敵は海賊・海賊版」という、なんとも人を食ったnaming。
    そして、幻想的な雰囲気を持つ黒猫の表紙。
    お、と興を引かれて手に取り、その圧倒的な世界へと、見事に引き込まれました。

    雪風や火星三部作など、様々な側面を見せてきてくれた神林氏。
    だけど、ぼくの原点は、やっぱり「敵は海賊」seriesにある。
    続編が出る、という噂。
    SFマガジンなる雑誌に、ちょくちょく連載されている、という話。
    そういう風の噂を聞きながら、いつ、新作が読めるのかな、と思ってました。

    ついに、本当についに、10年ぶりの新作です!
    いやー、待ったなー。

    そして、つい先ほど読了。
    うむ!余は満足じゃ!

    この、凄まじいまでの没頭感はなんなんだろうか。
    きっとね、文体や語り口調というのは、きっとそれほどすごくない。
    どことなく、ぎこちなさがあったりして、親切ではない。
    けれどね、そんなのは本当に些末なことなのです。
    ただ、世界観の強固さが、強烈な説得力を持っているんだと思う。
    そしてそれこそが、SF作品のキモとなるべきものだと思う。

    「観念」という存在を、見事に描ききったなぁ、と思いました。
    神林氏は、「言葉」や「生命」など、言語化が難しいものを描くのが本当に上手い。
    直接的なものじゃなく、なんというか、浮き上がらせる。
    周りを丁寧に潰していくことで、その存在を際だたせる感覚。
    狡猾にして繊細、それでいて大胆。

    そして驚嘆すべきは、その卓越した娯楽性でしょうね。
    ラジェンドラ vs カーリー・ドゥルガーのシーンは、本当に息を呑む。
    頁にすればあっという間なんですけれどね。
    読者に、本当に、ゾクゾクするほどの緊張感を感じさせる。
    筆力、なんていうものを越えてるんじゃないかと思います。

    一つ一つの台詞の格好良さも健在。
    独特のhumor senseも健在。
    見事なまでの切れ味も健在。

    やー、満足満足。
    次は、どんな作品を届けてくれるのかなー。

  • おもしろかったが、匋冥があまりにも強力、万能な存在になってしまったような気がする。アプロはまだかろうじて対抗できそうだが、ラテルもラジェンドラも、匋冥とカーリー・ドゥルガーの敵ではなさそう。最近、ふと思い立って「正義の眼」を買ったので、それを読む前に、昔読んだ「海賊版」から「A級の敵」までを読み直した。

  • 海賊課に縁のない地域というのが新鮮。
    リジーの無意識の傲慢さや、古式ゆかしい感じの恋文が。
    素敵なスケール。
    カーリー内には色々なものが納められてますね。

  • 今回はなんだかミステリ風味?各惑星衛星都市の市警から見た海賊課(海賊とは無縁の生活を送る人たちから見た海賊課)の視点が新鮮!ラテルが尋常じゃない精神的タフネスを持ってまともでいるんだってのがよくわかった。精神的タフネスにちょっと近寄れたような気持ち。うむ、ラテルかっこいい!ヨウメイが純粋な悪であることを考えてもかっこよく思えるのは、甘さや綻びや適当なとこが一切無いその在り方とやり方なんだよなぁ…とも。あー…おもしろかったぁ。

  • シリーズ第7作目。全体として読みやすくまとまっているが、初期よりテンションが下がった気がする。
    海賊が残虐に殺される事件が続出。ラテルたち海賊課チームも捜査に加わるがそこにはヨウメイの影が…
    久しぶりに読んだが、海賊課は相変わらずで面白い。
    しかし今回はタイタン市警とリジーに比重を置いているせいで、ラテルやアプロの活躍があまりなく残念。
    モーチャイがヨウメイの逆鱗に触れたツボは何だったのか、今ひとつわからなかった。

  • 読了。相変わらず格好良い作品だが、分からん!

  • いつものシリーズとは違って外部から見た海賊課、ラテルチームでなんだかかっこ良さ3割増ししていた!笑
    ラテルがちゃんと刑事をしていてこんなのラテルじゃない!と思ったけども、アプロとラジェンドラが関わるといつものラテルだった。元々はまともなの、かも?
    モーチャイの幼児性をどう処理するのか期待したけれども、結局は矯正出来ないという結論でちょっと残念だった。モーチャイの幼児性はネットやSNSで見かける、言葉は悪いがキチガイの様な人のことかなぁ、と思っていたから特に対処法がないという結果で残念に思った。
    しかし、ラテルはかなり描写されていたけれども、アプロとラジェンドラが少なくて寂しい。外部から見た時、理解可能なのがラテルだけだからクローズアップされるのかしら。

  •  いや、もうほとんどあきらめていたというのが本音ですが、やっと出てくれました。シリーズ10年ぶりの第7弾。この10年の間に過去のシリーズを何度読み直したことか。ラテルはもちろん、アプロもラジェンドラも健在で、それだけでも感激もの。

     ある星の生物の保護運動をしている男モーチャイと匋冥との対決シーンから始まる。  対決とはいえ、言葉の上でのやりとり、最後には匋冥がその生物を絶滅させることで、モーチャイの保護運動に対する意欲をそぐ。その結果、モーチャイは海賊退治を行うようになる。という話の展開と思わせておいて、二転三転、作者のトリック・レトリックに振り回されてしまっていることに気がつく読者になっていく。

     神林長平お得意の題材といえるかもしれない。
     一見、悪だ正義だという話の中に、観念とか信念というものが実はなんとひ弱なものであるかをあらわにしている。

  • 「敵は海賊」シリーズのファンながら見落としていた作品。なにごとか。
    神林長平の思弁小説は小松左京の域に達しているか。
    でもちょっと淡白な感じがしたな。

  • んー。
    個人的にはそんなに好きになれなかった話。

  • 新書購入

     SF。ファンタジー。
     海賊課のおそらくは有能な刑事さんたち、アプロとラテル。そしてラジェンドラ。
     最強の海賊、?冥(ようめい。陶の、偏なし・でない。しょうがないから、冥で)

     シリーズもの。十年目の新刊。
     アプロが表紙。まあいつものことですが。ラテルが表紙になったことってあったかな?(ないだろう、たしか。
     冥が……人間らしいです。
     可愛いとか生命への愛しさについて語ってます。
     観念で遊べる冥と、観念で遊ぶ気がない海賊課。
     活動を立ち上げる天才、モーチャイ。
     女王のような学者、リジー。

     今回のお話は……。
     リジーを気に入った冥が、リジーと遊びたさにしでかしたような気がしてならないが……。
     そしてリジーとその恋人だったモーチャイを弄り倒し、海賊課のあり面々も巻き込んで。
     リジーへのラブレターを置いて去る冥……。最後に「ラヴ」ですか。
     なんだか。違う人です。
     
     そういえば、オールド・カルマが出てきません。
     だから余計、なんか違う感じ。

  • -

  • これが出た時には、久々の「敵は海賊」シリーズが出た!と喜びました。
    海賊課コンビ達が出てくるのは嬉しかったけれど、ちょっと物足りなかったのが残念です。

  • 久しぶりの敵は海賊シリーズ最新巻。前作でシリーズ終りのような気がしていたので、嬉しいです。
    海賊課の活躍はあまりありませんが、「正義」についてちょっと考えさせられました。

  • にゃんこ好きのおいらが大好きな敵は海賊シリーズ。

    にゃんこ型宇宙生物・アプロの活躍が少なくて寂しい~!!


    そんなこんなで話の粗筋が飛びました(マテ)。


    ただ、テーマとしてはテロ社会にある現実の中、示唆に富んだものでしたよ。


    時代劇みたいに「悪即断」とは行かないので~頭には良い刺激になります。

    笑って読めるのにね~。

    流石は神林氏だ。

  • 話自体は中編のような感じで割とサクッと読める。逆に言えば少々物足りない面も。とは言え久しぶりなので読んでいて楽しかった、というのがホントのところ。しかし相変わらず匋冥というのは謎の人物だ。

  • ダイジェストというか、これからはじまる物語の序章というか…物足りない。

  • 帯によると“10年振りの傍若無人”10年振り!に出たシリーズ7作目
    土星の衛星タイタン上にあるドーム都市・メカルーク。海賊を殺した、との犯行声明を受け現場に向かった警部ネルバルと実習生サティ。
    海賊課刑事のラテルとアプロは、同僚刑事セレスタンからの応援請求に応え、貨客船ハウバウアー号へ。
    各所で海賊が惨殺される事件が頻発…しかし、それは目障りな環境活動家を駒にして、海賊・ヨウメイが仕掛けた世間に海賊課の存在意義を問うゲームの始まりで―。
    う゛~ん…粗筋も書きづらい★これで解る人いるのかしら?

    海賊課が大人しかった気がします~いつもはもっとハチャメチャだったような?
    相変わらずラテルは苦労性で、“どこかそのへんの星から来た、猫に似た、なにか”アプロは食欲で動いてるのがラジェンドラとのやり取りも
    ヨウメイも変わらずクールに純粋悪で。
    カーリーは殆ど、ラック・ジュビリーに至っては全くの出番無し、だったのが残念★
    ヨウメイとレジナの再会も見たかったな~手書きの手紙、ていうのも素敵でしたが
    そしてそれを破り捨てたデイジーも!

    昔、某雑誌のインタビューで「新作を書くとき前の作品は読み返さない」と仰ってましたが…今作も、ですかね?読者の方が色々忘れてますョね~私だけかな
    恒例再読しなくては!ですョ★

    20070718

全36件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

神林長平の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×