- Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150308995
作品紹介・あらすじ
軍靴の音が忍び寄る昭和9年。かすかな地響きをあげ、数多の自転車が中山道を疾走する。国策に反して高い賞金の懸けられた本州横断大日本サイクルレースには、企業チームやドイツからの海外チーム、個人参加の選手たちがひしめいていた。ある決意を胸に秘める響木健吾は、有望な個人選手を集めて即席チームを組む。素姓も目的も不明な彼らが力を合わせたとき予想外の事態が!すべての走る男たちに捧げる自転車冒険小説。
感想・レビュー・書評
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読み始めるまでは”なんだこれは?”、読み始めた当初は”ゲテモノか?”と思ってたど、意外に良い。詳しくは下巻で。
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最初なんだかわからないがだんだん面白くなってきます。
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自転車小説、そしてミステリ、といえば「サクリファイス」か、と心が高鳴ろうというものだが、全然似ても似つかない異色作だった。下関から青森までの本州縦断レースを舞台にした自転車冒険小説。フィクションにしてもずいぶん壮大な話で、だいたいそんなレースなんて現実味があるのだろうかとまずは考える。だが驚くのはまだ早い。なんと時代が昭和9年でしかも自転車が荷台つきの重たい実用車でのレースというのだからびっくり。またすごい設定を考えたものだ。
そういう話なので今風の自転車小説とはまったく別物かというと、基本的にはチームレースのやり方は同じで、交代でトップを引いたり、駆け引きがあったりする。変速機もない実用車で未舗装路でそんなことが可能なのか不思議なところだが、結構レース展開のシーンはそれなりに真に迫っておもしろく読めるところがすごい。結局、レースは木曾谷あたりで中止になるのだけれど、ラストの主人公響木とドイツチームのデッドヒートのシーンなどは本当に息詰まる迫力でものすごい。
この時代がかった自転車レースだけとりだしても十分おもしろい小説だと思うけれど、主役となるチーム門脇という急造の寄せ集めチームは、キャプテン格の響木をはじめ、望月、越前谷、小松といずれ劣らぬ正体不明の謎の選手たちで、響木の過去のエピソードや他のいわくありげな選手たちの動向、さらには陸軍や街道の顔役のレースをめぐっての思惑などが複雑に絡み合ってミステリー的な展開となっている。謎解きというほどのことはないが、最後にはそれぞれの人物の種明かしと後日譚が説明されてなるほどなるほどとなる。
というわけで、ぼくは結構楽しんで読めたのだけれど、細部に杜撰というか齟齬が結構あって気になった。たとえば響木と門脇の出会いの場が、木曾谷にD51が走る奈良井宿のはずなのに、いつのまにか熊谷や深谷が舞台になっていたり、最後に越前谷が死んだと思ったら生き返ったり?とか。細かいこと、なのかなあ。 -
実用車でレースをしてる所が笑える。一攫千金を夢見た素人が、毎日100km以上走るという所に無理がある。
でも上巻を読んだので、下巻も読みます。 -
戦前のサイクルレースを題材にした物語。
ちょっとした群像劇になっています。
ただいま上巻を読み終わったところなので、途中経過ですが、まあまあ面白いです。
ただし、自転車レースそのものを期待している人にはちょっと不満かも。
今後、張ってある伏線がどのように活かされていくのかちょっと注目です。 -
カトリーーーーヌ!
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ロードレース物小説。描かれる内容としてはロードレースでの駆け引き等なのでよくある話ではあるものの時代背景が戦前としていることで、そのロードレース外の要素がどのようにロードレースに影響を与えるのかが読みどころ。
戦争での自転車部隊の話や、交通インフラとしての自転車など随所に熱い自転車トークがかわされているのも自転車好きには結構嬉しい。 -
昭和初期に開催された、本州を縦断する自転車ロードレースの話。古臭い話なのかと身構えたが、ロードレースならではの駆け引きやチームワーク、小出しに明かされる主人公の過去、大会の裏に隠された陰謀など、熱さと謎が交差する展開に飲み込まれた。