虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

  • 10666人登録
  • 4.13評価
    • (1670)
    • (1617)
    • (699)
    • (141)
    • (45)
  • 1455レビュー
著者 : 伊藤計劃
  • 早川書房 (2010年2月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150309848

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)の感想・レビュー・書評

  • ラノベっぽくなってしまった表紙に拒否感を植え付けられてしまい、手に取るのがかなり遅くなってしまった一冊。
    ラノベ臭もそこはかとなくするのだが、文学・科学・哲学・宗教学を絡めてくるハードSFものとして充分に楽しむことができた。

    9.11以降のアメリカの兵士、にスポットライトが当てられており、近未来での戦争観を提唱しながらも、現代が抱えてる問題って正にこれじゃねと感じさせてしまう手腕はお見事。
    主人公が米軍大尉のポジションにありながら、マッチョとは異なる文学知識を得た、一人称が僕というところはラノベまっしぐら!という感じで全くアメリカ人として脳内再生されなかったけどな!

    人の中にある良心と、人を殺すという行動の原理が、高度に情報化された社会の中で展開されていき、とても惹きつけられる設定が目白押しだった。中でも特に印象強かったのは殺人が何故、罪深いかということについて触れた下り。
    考えてみればこの通りだけど、文章として考えたことは無かった。

    「殺人が最も忌まわしい罪であるのは、償うことができないからだ。お前を赦す、というその言葉を受け取ることが、絶対的に不可能になってしまうからだ」

  • 情報技術によるグローバリズムの影響で、近年、過去には見られなかった種の国際問題が浮上しており、現代は新たな世界大戦期に突入しつつあるとの声も聞こえる。そういった諸問題に臨むためのテキストのひとつとして、まずは本書を推さなければならないと思う。本書はSFに不慣れな読者にも読まれやすいだろうし、比較的新しい学術的知見にも富んでいて勉強になる。
    (情報工学系知能情報コース M1)

  • メタルギア感がたまらない。好きなタイプのSF。

  • どう映像化したのかが気になる

  • 独特の言い回しで文字数も多く、さらりと読める感じではないが、主人公の感情、考え方が割と明確になっていたので
    展開としては分かりやすかった。

    行動を共にしている人たちに 彼の内面、思考は伝わらないので、彼の行動は青天の霹靂に感じたかもしれないが。

    回答と違う事を考えている=嘘をつく、正直に話す、
    『言葉で伝える』というフレーズはよく聞くけれど、そもそも伝えるのか伝えないのか、どう伝えるのか、伝える前に選択しているのだなぁ、と。

    地獄は頭の中に という作中の言葉だが、思考というのは実に複雑であり、だが時にシンプルでもあり、
    そんな自我を持つ人間たちが共同生活、集団生活をおくっている、平和に暮らしているというのは奇跡なんじゃないか、と思ってしまった。。。

  • 言葉が独特で読みづらさはあるものの、クライマックスまでのストーリーの盛り上がりに引き込まれて最後まで読み切ることができた。

  • テロを防ぐための理屈がすごすぎる。

    しかし、個人情報を徹底的に管理したところでテロは減らないというのには納得した。

  • 9.11以降に大きく変わった世界を描いたSF。
    発想はかなり面白いと感じた。前半が個人的にかなり読みづらかったのが残念なところ。
    でも後半やラストなどはなかなか好きな展開だった。著者がすでに亡くなっていたことも解説で初めて知る。もっと他の作品も読んでみたかった。

  • ずっと気になっていた作品。映画を観たので補完する意味も込めて読んでみた。近未来のSFものはもともと好みだがこれもかなり引き込まれて読んだ。見たいものしか見ない、というのは日本のような平和な国に住んでいると本当にそう思う。虐殺の文法とはどのようなものなのだろうか。

  • 映画を観てから読んだが途中・結末どちらも微妙に本と映画で異なった。

  • 伊藤計劃の原点。映画だけでは語られない。ぜひ読んでほしい。

  • 少し前になるが一気に読了。これを弱冠32歳で書いたというのは驚異的。ハッタリを納得させるパワーと物語を書きたいという作者の情熱が感じられた。生きていればSFのみならず日本の小説界を牽引したであろう才能。読了後すぐにハーモニーを購入した。

  • 映画公開を待って映画を1度観てから原作を読んだ。映画は映画で素晴らしいものだったけど、映画のパンフで監督が語っていたとおり、小説とは本質的に別ものだ。
    原作の本質的な部分は冒頭から随所に現れる「母さんのいる死者の国」で、クラヴィスが虐殺の文法を使うことにした理由がそこにある。
    作者がブログで書いてた「嘘」がどの部分か考えていたんだけど、嘘は最後にクラヴィスが「自分を罰することにした」と述べている部分で、一人称小説である仕掛けはi分遣隊に施されている感情調整が個々の人間に合わせて行われていることだと思う。最終戦闘でウィリアムズは任務より私情を優先したクラヴィスと尚も協力しようとして、クラヴィスは私情のまま行動した。たぶん、ウィリアムズに施されていた調整はクラヴィスのものより強い、というかクラヴィスはほぼ調整されていないんじゃないか。
    理由も分からず突然いなくなった父親と真意の見えない母親のもとで情緒を育まれないまま軍人になったクラヴィスにとって唯一現実感があったのが「はっきりと自分を認識して愛している母親と話す死者の国」だ。最後にクラヴィスが「とても辛い決断だ」と言っているのはジョンに嘘だと指摘された「つらいが仕方ない、仕事だからな」と言っていた部分と同じ。「自分を見ない母親」像だったルツィアを失い、世界を変えてくれるかもしれなかったジョンも死に、母親からの愛もほぼ否定されたクラヴィスは自分の心の安寧が得られる死者の国に行きたかった。母親の生命維持を止める決断をした時に「疲れきっていたから決断できた」ように、最後の作戦終了からずっと疲れていたクラヴィスがした決断が虐殺の文法を使うことだった。
    どこまでも自分自身のための決断だけど、それまで「愛される」ことしか望んでおらず母親を愛していたかということにも「育ててくれた恩義」でしか量っていなかったクラヴィスにとって、誰の命令でもなく自分から他者を害そうと行動を始めたのは一つの成長でもある。虐殺の文法を使って初めてクラヴィスは自分の世界を愛することができた。そういうラストだと思った。

  • 生得文法+言語は思考を規定+自由は通貨(選択の問題)、絵はきれいだが、ストーリーは目新しくなく。感情にマスキングした仲間が主人公の大切な人を売ってしまう。仲間にとっては自分の内側の世界が平和であればよかった。敵のジョンポールにとっても、だから殺戮を先進国には持ち込ませないよう、新興国で煽った。

  • 近未来の米国で暗殺部隊に所属する主人公。途上国各地で急増する内戦や虐殺の最重要人物を葬る作戦に関わるうち、扇動者としてある人物が浮上して、という話。読みながら何度も知的好奇心を煽られた。生、死、倫理、罪、罰、宗教、自由、選択、責任、遺伝子、ことば。これだけ取り上げながらも物語は繋がりや緊迫感を失わず、最後まで惹きつけられた。丁寧な文体で緩急があり、聞きなれないことばも会話などから自然とのみこめるが裏打ちは徹底している。濃い娯楽小説だ。

  • とてもスリリングな哲学だった。明晰な文体が心地いい。

  • 地獄はこの頭の中にある
    人間の虐殺のための器官とはなにか


  • Pコh眺伝Kj慨將D欺チ`c_]経|O コLノ?チhコn@鵜ロsccfW~F\チL覓jnhSn\チ?wScfD旧2?g?hマ]PコnMレkヒdnLtuhDF-啻c_K`KB酷SSgoXQロv烏oK潔KnX?jn`



    hFOnkュ2’W~c_;コlキァム?h?_anqク銛???」「?蟇?ラhn?qjiKj穫Y
    kマSaU契テ?、AЪ「ッキ銛ТFhWfマ儷結ニッホ??iュiS腔「qBc_ヘソミ?KcfW~FQi Pコh
    掴矯銛??L]健ニユU[fD凝n9斌o 
    LBWKW]経J0jマ冖?fイWO*WUkマSaU契仇UhWfマK掲D

    ;コloヘェn}ュ_? b°
    x杆_ss]nOL,SkBc_nK皷恥Y鬼hjL奄皷Lts_a?リkJDfソtU契テn _点塗コWfDOク銛??onY脅宙祇〔ニ?ハナU[祇〔??g?hマ]Pコn-x Pコh
    Xfts_a?リx柿WfDOia洩Wf Y脅
    kQ許レh壇YyM?akou?。$nチL*_暑]郡] 
    j伝孝

    ]Wf仇jno XfD_
    
    n目LhOnZzj目`c_h渓;コlLリOSh`孝!Hイj &
    hDFモクヘケn-g1曙_}hh]nP;コlL?yO?F j
    `hWf]経イWDQ景`K唄]iSKRWk?_YQU?コloXfD杵K愛」の視線が全くの虚空な視線だったと最後に主人公が気付くことだろう。無慈悲な「戦争」というビジネスの中で失われた命と愛と。その結果、主人公が望むべく負う「罪」だとして、それは悲しいけれど―だからこそ、どこか癒しにも似た静けさを主人公は感じているのか。

  • 201701
    広がる世界観
    余韻が深く残る

  • 映画化されるってことで、文庫版を購入。
    結局、睡眠時間を削って一気読み。
    引き込まれ、考えさせられる。
    立場を変えてみれば、極端に振ってみれば、もしかしたら。
    こんな世界にはしたくない。

  • 序盤は「SFは苦手じゃぁぁぁ(´Д` ) 」と感じたものの、ルツィアと出会ったあたりから一変する。面白いじゃないか。

    死が身近であり、他者を暗殺する仕事をしつつも、身内の死について思い悩む主人公。この彼が虐殺器官なのかと思いきや、実は…?
    最後のオチも面白かった。序盤の舞台設定が語られるシーンさえクリアすればとても面白い作品だった。粘ってよかった_(┐「ε:)_

    しかし、この緻密な作品が10日ほどで書き上げられたとは(書籍化する際に2割ほど加筆されたとはいえ)驚きである。

  • 6年越しの積読消化。
    もっと早く読めばよかったけど、アニメ公開前でよかった。

  • 作り込まれたガジェットと引用の面白さ。 自らの愛する人々を守るために虐殺を引き起こす犯人と主人公が最後に取った行動が頭に残った。

  •  自分の文体を持っていて、多くの知識を持っている作者だと思います。どうしたら自分の文体を造れるのでしょうか?
     会話文と地の文両方の表現の仕方が緻密だと思います。会話文が緻密なのは、少し違和感がありますが、作品の世界観を伝えるのに必要なのでしょう。
     主人公は繊細で内向的であり、母親に対してコンプレックスや罪の意識を持っています。主人公の様な性格の人物が特殊部隊員としてやっていけるのか少し疑問に思いましたが、主人公が母に対してある種の意識を持っているのは、この作品の結末の仕掛けを主人公が行う動機付けのために、作者が意図的に付与したのだと思います。
     ジョンポールが語った思想=作者が最もこの作品で読者に伝えたい思想、ではないでしょうか?ジョンポールは自分の研究や計画を主人公に喋りすぎです。敵の主人公=ジョンポールに虐殺器官やその他の考え・思想を語らせる形式は、作品を読んでいる読者に、直接的に作品の思想の核心を訴える効果は有ると思います。
     この作品の思想展開の入り口は、「言葉や言語が人類の行動や考えに影響を与える」だと思います。

全1455件中 1 - 25件を表示

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)に関連する談話室の質問

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)に関連するまとめ

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)を本棚に「積読」で登録しているひと

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)のKindle版

ツイートする