マルドゥック・スクランブル The 1st Compression 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫 JA ウ 1-8)

著者 :
  • 早川書房
3.96
  • (218)
  • (280)
  • (154)
  • (30)
  • (10)
本棚登録 : 2290
感想 : 192
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150310141

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 以前から読もう読もうと思って読んでなかった、kindleを機にやっと購読。面白く引き込まれ一気に読了。早く次巻を読まねば!

  • 上中下まとめてレビュー。

    正直カジノシーンの印象が強すぎて他の印象がほとんどなかったけど、
    バトルも緊迫感があり、愛憎劇もあったりで盛りだくさんだった。

    主人公が少女娼婦とかでいきなりどんよりさせられる。
    かわいらしい少女らしさの描写と糞みたいな過去との対比キツイ。
    それでも成長ストーリーでもあるので読後感は良いです。

    SFとカジノが好きならオススメです。

    ※※※ 以下決定的ネタバレ雑記
    ※※※ 未見の人は読まないほうがいいです





    やっぱカジノシーンの最後は素晴らしい。

    「イーブンマネー!(ドヤァ」ごっこしたいけど、
    使うときがなさ過ぎる。

  • 以前から何度も名前だけ聞いていた。「このSFがすごい!」とか、天地明察の作者とか。
    ようやく手にとってみたのだけど、発想がぶっ飛んでるなぁと思った。

    畜産業者の五人とか特に。
    ただ、五人の過去が駆け足で説明されてしまったので、バロットの踏み台にされた印象が強かったのが残念。
    各部への執着がどういうものか、根源的なものが見えたのはレアとウェルくらいだったように思う。
    読む側からすれば、単なる異常者と片付けられてしまいそうで、惜しいなぁと。

    戦いの場面は、なかなか面白かった。
    バロットの銃への異常な適合性とか、それを基にした攻撃の仕方とか。
    電子撹乱で相手をいいように引っ掻き回して倒す点も非常に面白い。
    その後のボイルド戦での絶望感も含めて、うまいなぁと思う。

    ウフコックとボイルドの関係とか背景とか、シェルとの決着とか、まだ気になる点は残っている。
    次の巻に期待したい……のだけど。

    これまだ一巻なんだよね。まだ、というか、もう、というか。
    読んでると、話がなかなか進まねーなーと思ってしまう。
    バロットがどういう風に感じたかを一つ一つ挿入してくれるのは丁寧なんだけれど、テンポが悪く感じてしまった。
    会話のノリとかバロットの詩とか、英語圏の感覚は慣れないもので飲み込みにくいのもあった。
    描写も英文直訳みたいなところもあったし。

    これらを含めて星三つです。
    どうにも、地の文で入り込めないといろいろマイナスに見えてしまう。

  • 万能兵器のネズミって本当にネズミなのか。
    ウフコックが出てくるとなんでかコミカルな感じで楽しい。

    バロッドのことはなんだか好きになれないが、これからウフコックとともにどう戦っていくのか楽しみ。

  • ※上、中、下巻のレビューをここにまとめて書きます
    ※一部に暴力的、性的な表現が含まれる作品です

    【内容】
    未成年娼婦はとある賭博師に殺されかける。
    緊急時に認められる先端技術を用られ、彼女は特殊能力を得つつ蘇る。
    人格を持つ兵器鼠と医師研究者に支えられ、戦場、法廷、カジノにて闘う。

    【類別】
    小説。
    SF(サイエンス・フィクション)の内、ハードSFに当てはまるかもしれません。

    【書き表し方】
    簡潔で充分な叙述であるように感じました。
    内容自体はやや複雑であっても、表現は冗長ではありません。
    ルビの付け方に特徴があり、『ニューロマンサー』黒丸訳を想起します。

  • 改訂新版より面白い。

  • まずい…!

    予想していたとおり、メチャメチャ面白い…

  • 「『それは、私を愛しているってこと?』
     少女は反射的にそう訊いた。口調は挑発的で、しかし内心は哀れっぽかった。悪罵を受けたのとは違う、ひどく馬鹿げた冗談に傷つく思いがあった。失っていたものの多さを思い出させられたからだし、与えられるものの少なさを身をもって知っていたからだ。
     男は微笑んだ。緑の目がきらきら光り、とても充実した人生の輝きを発していた。これほど輝くなら、自分も分け前にあずかれるのではと思わされる眼差しだった。」

    「だが誰もいない所で呟くとき、それは無限の問いをふくむ別の呪文と化した。なぜ自分は何も持たないのか。なぜ多くの同じ年齢の少女たちがいる中で、自分はこのような人生を生きているのか。答えなどない。ただいっときの気だるい解放感を味わうための言葉。
     ただしこのときはどちらでもなかった。単純な答えを欲する自分がふいに顔を出すのを少女は感じた。そのもう一人の自分は、必死になって親が子供に言うような答えをほしがっていた。愛しているからだと。男でも神様でも、運命でも何でもいい。本当に愛されれば、それが最後の最後でなぜ自分なのかという無数の問いへの答えになるという空恐ろしい期待を抱かせられた。そんなことは初めてだった。」

    「『人間の女性の多くは、ネズミが嫌いだ……』
     金色のネズミが、ちょっとうつむいた。」

    「バロットの手の中に、銀色のリボルバー式の銃が出現していた。生まれて初めてそんなものを握り、これが答えなのかと思って、ひどい諦念に襲われた。」

    「このときのバロットにはドクターの言葉の意味が理解できなかった。肩に乗ったウフコックと早く二人だけで話したかった。このネズミは、これまで誰も聞いてくれなかった自分の心を、信じられないくらいきちんと聞いてくれた。どんなカウンセラーでも適わない的確さで。まだまだ話したいことが沢山あった。理解してほしいことが無数にあった。今のバロットにはそれが全てだった。」

    「『そうだ。09法案がなければ確実に処分されていた。俺は、社会的に有用であることを証明し続けることで、ようやく存在が許されている』
    ――だから、私を助けるの? 生きていていいって言ってもらうために?」

    「――私の知ってる女の子たちみんな、それが手に入らずにクスリや男でぐちゃぐちゃになって生きてる。そんな目に合ってまで生きてる言い訳がほしいだけなのに。
     バロットは目を閉じた。そして手袋姿のウフコックに強く干渉した。
    ――私を愛して、ウフコック。
    『いや……なんだって?』
     仰天するような声が返ってきた。バロットは左手も手袋にあて、強く干渉した。
    ――私に言い訳を与えて。あなたのためにしたいの。法廷にも立つし、やれと言われれば何でもする。だから、私を愛して。
    『それは……家族みたいに?さっき君が話したプリンセスと支配人みたいな?』
    ――シェルは私を愛してると言った。だからあの人に従った。私、あなたみたいな人に愛されたい。
    『ま……待て、待ってくれ。それは、解決になるのか? 君にとって?』
    ――私はあなたにとっていったい何なの?」

    「『言葉にされることさえ嫌なんだ! なんというか、俺の人格を否定されたような気になる。今後、俺の尻尾についてはあらゆる面でほうっておいてくれ』」

    「 これか、と思った。自分を支配する男たちが味わっていたものはこれだったのだ。
     この胸の焼けるような甘い思い。これをどうして自分も味わってはいけないのか。
     なぜ自分なのかという嘆きに満ちた問いが今こそ本当に裏返って答えをあらわしていた。そう。つまりは、これだったのだ。」

    「こんな心のまま死にたくなかった。こんな自分のまま。だが声はそうなるべきだと告げていた。あのたわいない呪文さえ裏返ってバロットを呪縛した。死んだほうがいい。
     ボイルドの指がためらいなく引き金を絞るのを感覚した。
     次の瞬間、別の声がそれを止めていた。
    『違うぞ、ボイルド――』」

    私も金色のネズミに愛されたいです。

  • SFはほとんど読まないけので、比べ用がないけど良かったと思う。

  •  第24回日本SF大賞を受賞している本作。作者は天地明察で本屋大賞も受賞した沖方丁さんです。
     本作は、近未来を基調とした世界観となっております。主人公でもあるバロットが口ずさむユーモア詩のような詩は、読んでいて心地よくなるテンポとなっております。三部作の一作となっておりますので、今後の展開に期待しようかと思う作品となっております。

全192件中 81 - 90件を表示

著者プロフィール

1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文学賞、2012年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。主な著書に『十二人の死にたい子どもたち』『戦の国』『剣樹抄』『麒麟児』『アクティベイター』などがある。

「2022年 『骨灰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

冲方丁の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×