天冥の標Ⅳ: 機械じかけの子息たち (ハヤカワ文庫 JA オ 6-15)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 843
感想 : 109
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  • Amazon.co.jp ・本 (521ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150310332

作品紹介・あらすじ

「わたくしたち市民は、次代の社会をになうべき同胞が、社会の一員として敬愛され、かつ、良い環境のなかで心身ともに健やかに成長することをねがうものです。麗しかれかし。潔かるべし」-純潔と遵法が唱和する。「人を守りなさい、人に従いなさい、人から生きる許しを得なさい。そして性愛の奉仕をもって人に喜ばれなさい」-かつて大師父は仰せられた。そして少年が目覚めたとき、すべては始まる。シリーズ第4巻。

感想・レビュー・書評

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  •  人間に性愛で奉仕するセクサロイド《恋人たち》の物語。小川一水先生、官能小説家になれますよ。エロ描写が満載過ぎる本でした。
     《恋人たち》と《救世群》の結びつきがここから始まる。そして第1巻に登場した大工ラゴスの「誕生」が描かれている。ラゴスって大昔からいたのか。最初の《恋人たち》の一体だったんだ。

  • シリーズ第4作は、セックスを哲学するSF官能小説。

    時は「ドロテア・ワット」事件(第3作)から2年後。救世群連絡会議議長、グレア・アイザワの配偶者ロブレスの弟で性欲の強い青年キリアンが、軌道娼界《ハニカム》の蛋白機械(心を持つ精巧な娼婦ロボット)《恋人たち》に拉致された。訳もわからずセックス三昧の日々を送るキリアン。セックスが終わると毎回記憶をリセットされ、異なるシチュエーションでアウローラ(キリアン専属の娼婦)と初体験を繰り返す過激で羨ましい日々(笑)。《恋人たち》は、風紀を取り締まる聖少女警察に度々襲われ、救世群の助けを借りようとキリアンの身柄を確保したのだった。だが実は、聖少女警察も実は《恋人たち》と同類で言ってみれば身内。もっと強大な敵、ロイズ非分極保険社団の刺客 "倫理兵器" に襲われるに至り、《ハニカム》は壊滅の危機を迎えた。《恋人たち》の秘蹟、理想のセックス・至高最高のセックスである『混爾(マージ)』を求めて、あの手この手でまぐあい続けるキリアンとアウローラは果たして…。

    謎の助っ人サーチストリームが「太陽系全体に根を張るネットワーク知性体のほんの一部で、本体と別れて敵を探すために分散した別動体の一人」と判明してびっくり。本作はスピンオフっぽいが、このシリーズ全体が "被展開体ダダーが人類に介入する物語" だということを改めて認識した。

    ハードなSFでありながらここまで官能要素を盛り込んだ著者に脱帽(笑)。

  • シリーズ4巻は全編R18。もう少しでわたしが倫理兵器になるところでした…「純潔」じゃなく「遵法」になるけど。
    3巻から2年後らしいので、知った名前もまだ記憶に新しいです。ウルヴァーノ、覚えている。ノイジーラント大主教国とロイズ保険会社まだバチバチでした。

    ラゴスのキャラが違くない?と思ってたら4人混ざって《大工ラゴス》になったのね。
    現時点(?)のラゴス誕生譚と《恋人たち》とは何か、を知るためには必要な巻だったのだろうけど、読んでてキツかったです。聖少女警察はやってたことはアレだけどギャグ。
    ともかく、続きを読みます。

  • 「恋人たち」の由来と運命が示される異色の巻。ほとんど18禁だが、哲学的でもあり、意外と奥深い。

  • エピローグのラゴスの独白が悲しい……。

    「恋人たち(ラバーズ)」が主人公ということでエロース全開になることは想像できたが、本当にほぼ全編がそうだった。
    レオタードねーちゃんたちは出てくるしね。

    救世群もそうだけど、この作品はエロスとタナトス、そして続こうとする種(遺伝子?)のお話なのかなぁとも思ったりしました。ラバーズはそこに加われない。タナトスからも疎外されている。ほぼ不死だから。

    個人的にはカヨがでなかったのが悲しい……小川一水の書くメイドロイド好きなんですよ ヽ(゚∀゚)ノ

  • 4巻はラバーズが主役ですね。何て言うか、電車の中で読み辛いというか、エロ小説だこれ。

  • エロい。

    全編がセックスにつぐセックス。それはいいのだけれど、延々と性交が続くため、読むのも疲れてくる。ただ主人公とアンドロイドの奇妙な恋というのは、なかなか興味深かった。
    ストーリー自体もあまり進んではいない。ただこの話が重要ではないかというとそうではなく、一巻に登場したラヴァーズという種族の成り立ちが語られている。

  • アンドロイド型Love Machineが性愛の極致を極めようとする話
    これまでの巻と違って全編に性愛があふれる。

    天冥の標は、それぞれの巻でいろいろ形態を変えて描きながら、ストーリーもつなげていこうという実験的な小説であることはよく分かる。

    時代的には3巻のすぐ後、2313年頃
    《恋人たち》の成り立ちやラゴスの過去が明らかになる。

    アウローラとゲルトレッド姉妹は3巻にちょっとでてきたけれど、同じなのかなぁ。。。

    1巻と4巻で共通に出てくるもの
    ラゴス、恋人たち

    1巻と3巻、4巻で共通に出てくるもの
    アウレリーア、酸素いらず

    2巻と3巻,4巻で共通に出てくるもの
    アイザワ(チカヤの子孫)、救世群

    1巻から4巻まで共通して出てくるもの
    冥王斑、ダダー

  • エロ!!
    エロはきらいじゃないですが、さすがに全編となると・・・。

    ただ、これも意味があって最後はちゃんと繋がっていくんだろうなぁ。
    そう思うと、小川先生すごい!

  • 忍耐。

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著者プロフィール

’75年岐阜県生まれ。’96年、河出智紀名義『まずは一報ポプラパレスより』でデビュー。’04年『第六大陸』で、’14年『コロロギ岳から木星トロヤへ』で星雲賞日本長編部門、’06年「漂った男」で、’11年「アリスマ王の愛した魔物」で星雲賞日本短編部門、’20年『天冥の標』で日本SF大賞を受賞。最新作は『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ2』。

「2022年 『ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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