地球移動作戦 (上) (ハヤカワ文庫JA)

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著者 : 山本弘
制作 : 鷲尾 直広 
  • 早川書房 (2011年5月5日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150310349

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地球移動作戦 (上) (ハヤカワ文庫JA)の感想・レビュー・書評

  •  1962年の東宝映画『妖星ゴラス』の名前は知っていても、子どもの頃に見たかどうか記憶にない。こんな話である。巨大な質量を持った星ゴラスが発見され、地球と衝突することが判明する。この災厄を避けるために南極に巨大ロケットを設置して地球の軌道をずらす「地球移動計画」が敢行される。
     この映画にオマージュを捧げる『地球移動作戦』はまさにそういう話を現代の科学的知見でもってリファインしたものである。

     地球に迫ってくる天体シーヴェルは、理論的に仮定されるが現状では発見されていない物質、ミラー物質でできた巨大天体である。ミラー物質は通常の素粒子とスピンが対称な素粒子により構成された物質だが、通常物質とほとんど相互作用を持たず、ただ重力だけが通常物質に影響する。つまり見えないけど巨大な質量を持った暗黒星なのである。太陽系の辺縁で発見されたシーヴェルは24年後に地球のごく近くを通過することがわかる。衝突ではないのであるが、巨大な質量が地球をかすめていくだけでも、その引力で地球上には天変地異が起こるばかりか、地球の軌道がかわって生物の住めない惑星になってしまうのだ。

     さてそれでは南極にロケットを、って、そんな巨大なロケットはないし、ロケットで推進したらそれだけで地殻は揺り動かされ大災害が起こる。そこで、舞台となる21世紀から22世紀というこの時代、ピアノ・ドライブという推進システムが開発されているという設定を持ち込む。これは数学的には計算可能だが、現代の物理学では存在しないと考えられている超光速素粒子タキオンを噴射して推進するシステムである。
     タキオンの存在を認めてしまえば、あとは負の運動エネルギーを持ったタキオンを噴射することで正の運動エネルギーを得る、といった具合に、物理学的に理路整然と構想された設定である。このピアノ・ドライブは、しかし、南極に設営されるわけではなく、もっとスマートな方法がとられる。

     もうひとつ重要な設定は山本弘の近作によく出てくる人工知能である。本作ではACOMと呼ばれ、基本的には肉体を持たず、拡張現実の中で身体を持った存在として人間に知覚されているという設定であり、人間を守るという「本能」を組み込まれているが、人間の知能とは異質な知能を持った存在である。シーヴェルに対処するのに地球を移動するのではなく、人間の精神をACOMに移植して、小惑星に設えた巨大サーヴァーのなかでヴァーチャルな存在として生き延びようという運動が対抗軸として生ずるというのが重要なプロットのひとつ。さらに山本弘の重要テーマ、大衆は論理的に思考しないというテーゼがここで出てきて、大衆はこの運動に惹かれてしまう。

     これといって一人の主人公はおらず、視点は切り替わって、全体的な状況が語られていくのは映画的。この話にワクワクできるかどうかといえば、上巻ではいまだ燃焼不足という印象。

  • 前宣伝での予想は、うまいこと裏切られた感じだけど、一方で、予想通りみたいなところも。詳しい感想は下巻も読んでから。

  • 未知の天体が地球に直撃(正確には甚大な影響を及ぼすまでに接近)することがわかり、もしそのまま放置したら24年後の大接近で地球は確実に滅んでしまう。それに対して人類が行う策が地球を移動するという壮大なプロジェクトである。
    何故その天体の直撃を他の方法、例えばアルマゲドン風に、で回避することが出来ないのかといった設定から、地球を移動するのに伴う弊害、そもそもそれ以前に計画を実行する前に存在する様々な障害などが巧みに描かれている。
    そして、忘れてはならないのが山本弘得意のいつものAI(作中ではACOMと呼ばれる)と人間の関係性。何冊読んでも改めて心を動かされる。毎度のことながら人物・感情の描写がとても素晴らしい。

    ネタバレになるので詳細は省きますが、山本弘の作品にはあまりない珍しい要素があって驚きました。
    これ以上ネタバレせずに上手くは書けませんw

  • 題名からして、如何にも“SF“と云った所。

  • 山本弘はどんどんヒューマンドラマを描けばいいと思う。20世紀後半風の宇宙飛行SFで始まり、架空の技術革新がなされた未来、地球を救うためにどうすればいいかという物語になる。なぜ未来を語らせると、みな老化防止と寿命の伸びを出すんだろうか。
    ニコニコ動画を元ネタにしたと思われる~Pが出てくる。「南極点のピアピア動画」の印象が強すぎて二番煎じに思えてしまった。本書の方が先に出版されたのは間違いないので、単なるインパクトの問題です。

  • 初っ端から怒涛の展開。主人公クラスの登場人物達が呆気なく死んで行く様に驚かされた。

  • 本書は1962年公開の東宝特撮映画『妖星ゴラス』制作陣に捧げられている。大枠は映画と同じだが、地球とニアミスする放浪惑星が何故?Xデ―の24年前まで発見されなかったかの謎解きと、地球を安全圏に移動させるという大ネタが読み処。カバーイラストにはちょっと引くが内容はハードSF。ミラー物質からなる「見えない星」は作者のでっち上げだと思ったが一応そういう学説があるようだ。実は温暖化対策として地球を移動させようと考えている学者までNASAにはいると聞く。「動かすことになりました」といきなり言われても困るが… +_+


    未読だが『「見えない星」を追え!―今世紀最大の宇宙の謎“ミラーマター”の秘密に迫る』という本があるらしい。【著者紹介】ロバート・フット : 1964年生まれのオーストラリア人。メルボルン大学を卒業後、ウィスコンシン・マディソン大学(米国)、サウサンプトン大学(英国)、マクギル大学(カナダ)等で研究を続け、現在はメルボルン大学物理学部研究員。理学博士。専攻は、素粒子物理学、宇宙物理学、宇宙論


    地球移動作戦  >> 最近、感染症に関する暗めの本ばかり読んできたので、ここらで気分転換に大ボラSFを読む。ところで、この表紙はなんじゃ!^^; 2012年03月16日

  • 登場人物に特に好意を抱けない。
    が、世界観は楽しめた。
    でも理不尽さが嫌だ。

  • 作者が言っているように、どのようにして地球を動かすのか、また、何故地球に向かってくる星が発見されなかったのか、がSF的アイディアとして大変良い。人工意識と人間の関係も興味深い。だが、ストーリーとしては、予定調和的で、盛り上がりに欠けたように思う。この作者は、私のお気に入りだが、いつも主人公の魅力が今一つだと思う。

  • 見えない星が地球の近くに来て人類滅亡しちゃいそうだから地球をちょっとズラしちゃおうぜ!

    すてきな発想。元々惑星移動モノのオマージュらしいんだけど、そっちは不勉強なので読んだ事無い。なんだか、南極にエンジンつけて移動しようぜ。って事らしい。すげぇw

    実体のあるアンドロイドじゃなくて、AR技術の応用(後半では実体化するけど)による知性、人格(に近い)を持つコンパニオンとか、ちょっと欲しいかも。で、そのカーネルはオープンソースで公開されているとか、最近のネット事情も加味されたバックグラウンドは思い浮かべやすかった。

    そんなラノベ的要素も含みながらも、ストーリー的にはかなりしっかり重厚。生きて地球に帰還する事が叶わないと知った後のクルーの献身的行動に涙した。

  • 感想は下巻で。

  • 上巻読了。元ネタは妖星ゴラスだけど今風にヒネってあってなかなか面白いです。Pが出てきた時は笑ったw 上巻の引きもなかなか良くてすぐに下巻に手を出しました。

  • SFです。
    それもかなりハードなSF。
    それなのに、ちゃんとエンターテイメントな作品として成立していて、人間ドラマとしても読める!
    私は(下巻)ラスト近く、涙がこみあげ胸が熱くなるのを止められませんでした。

    物語は地球に謎の惑星が衝突するというスケールの大きなお話。
    よくある設定のようなのに、読者をひきつけるその魅力!
    その一つが人工知能のパートナー。
    舞台が近未来ということで、拡張現実(バーチャルリアリティ)が一般的になっていて、実体を持たない人工知能(人工意識コンパニオン)が普通の登場人物のように物語に参加して来ます。
    この人工知能の人格と人間との掛け合いもイイ!
    何が虚構で何が現実かもこの物語の重要なテーマ。
    面白い!!

  • 天体衝突を避ける大仕掛SF。
    感想は下巻に

  • 下巻と較べて、こっちのほうをとる。自分が親父だからだろうけれど。

  • 超近未来SFファンタジー。いつも思うが誰がディレクションしてるか不明ですが、山元作品はもうちょい表紙考えた方がイイ。題材はラノベ使ってても、中身はラノベじゃないと思うから。これのせいでかなり読者を逃してると思われ。
    現在進行形のテクノロジーや流行を巧みに取り入れちょっとだけ未来はこんなかな?この内のどのくらいが実現するのかなと想像するとわくわくします。
    いつも以上にキャラクターに華が無いのに妙におもしろい。
    ラノベチックな素材を使いつつ、断然ラノベより面白いのは流石!
    上巻あっという間に読み終わりそう。

    24年後に地球破滅するかもしれなかったら(バーチャル世界への安楽死、成功するかどうかわからないけど地球移動作戦なる無謀な挑戦に期待)君ならどっち選択する?
    もう少しで読み終わります。

  • 科学者や技術者が輝いているSF。(こういうの好きなんです)
    科学技術の発展により、困難に打ち勝つという世界観は今の時期にはとてもいい感じ。
    小川一水の「復活の地」(←こちらもお勧め)と比較してしまいました。

  • ハードSFっぽかったので前から読みたかった作品が文庫化された。決して拍子に2次元女子が描かれているからではなかったはずなのに。。。山本弘さんだし仕方がないか(え)
    ストーリーは本編導入までの3章が一番良かったかも。

  •  上巻読了。元は2009年刊の文庫版なので2年のブランク。特に記載はないので、加筆修正はない模様。
     前に野尻抱介さんがSFマガジンでニコニコ動画ネタの短編書かれてた時も思ったんですが、見知ったものが技術拡張するでもなくそのまま延長線で使われている描写されても、「想像/イメージ」以前の問題なのでなんとなく違和感が…。
     劇中劇『セカンド・アース』は普通に映画で見てみたいですけどね。
     ただ、「声優」まで淘汰されちゃう未来は絶対に嫌だなぁw
     さて、下巻にいってみよう。

  • この表紙はおっさんには辛い。しかし、あの懐かしの日本SF映画の傑作?へのオマージュとあっては読まずにはいられないです。
    上巻読了。
    様々なガジェットやら小物の書き込みも楽しいが少し疲れる。例えなどが判りやすいが一万円札とかが出てくるとこの未来社会で紙のお札あり得ないだろ、なんてつまらないところで引っかかってしまう。

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地球移動作戦 (上) (ハヤカワ文庫JA)の作品紹介

西暦2083年、超光速粒子推進によるピアノ・ドライブを実用化した人類は、新しく発見された謎の天体2075Aの調査のため、深宇宙探査船を派遣した。船長・ブレイドたちの観測によって、この星は24年後に地球に迫り壊滅的な被害をもたらすことが判明する。多くの対策案が提唱されるなか、天体物理学者の風祭良輔は、娘魅波と息子沙亜羅の会話をヒントに、驚くべき地球救済の計画を発案する…。

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