- Amazon.co.jp ・本 (377ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150310394
感想・レビュー・書評
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ロマンチックから始まって哲学的へとどんどんシフトしていくその文章は、SFでありながら非常に詩的であり、エレガントにさえ感じる。論理物理学から哲学から総動員しなければならない難読書ではあるが、確固と築かれる各編の世界は非常に鮮鋭ではないだろうか。
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難解でした。
この作家さんは、デビュー当初はエンターテイメントな作風だったけど、次第に本業の科学者の本領を発揮し始めて難解になってきた。
本書は、哲学な内容で読むのがつらかった。
読み手の知識不足のせいだな。 -
「パラサイト・イブ」の瀬名秀明の短編集第一弾。
ニューヨークに住み、生まれつき声が出ない栞は、自身の専門である幹細胞の技術を使い、生きて呼吸をする本を作成する(光の栞)。
SFの手法から純文学にアプローチするという、ちょっと変わった作品集である。SFとは言うが、完全にSFっぽいのは最初の「魔法」と最後のサイバーパンク風「希望」である。あとのものは、シートンの「狼王ロボ」をモチーフに、人工ウイルスの拡散だったり、サン・テグジュペリの大西洋横断をネタにしたりと言う話。
それぞれの話の、純文学的な"比喩"の部分が、たとえば相対性理論であったり、質量保存の法則であったりと、科学的な知見になっているのは、本心からではなかろうということで、あえて「実験小説」カテゴリにしておく。
で、一言で感想を言うと「わかりにくい」。
狼王ロボの話は、元々のタイトルがそうなので仕方ないのだけど、ロボ(狼)とロボットをのようにダブルミーニングらしい表現が散見されたり、表題作も主人公だか聞き手なのだかがフラフラしたりと、始終落ち着かない。そこへ来て、文末が先述したような、とっつきにくい科学的比喩で収束するので一見何が言いたいのかわからないなど、ちょっと目に余る。
おそらくは、先に書いたようにSFの手法で純文学を表現するという実験的な部分が大きいのであろうが、ちょっと説明が荒すぎないか。完全に自己満足・自己陶酔に終わっている感が強い。
少なくとも、この人の短編は、今後辞めておこうかなと言う気になる1冊である。 -
79:「NOVA3」に掲載されていた「希望」が面白かったので、初の短編集のこちらを購入。帯の「文学と科学の境界を越え」という煽りにビリビリ来たのですが、どれも期待以上の面白さでした。難しいのですが、その難しさを自分のものにできれば、もっと面白く読めると思います。エレガントということばを、本当にエレガントに使われる方だなあと、いちSFスキーとしてはラブコールを送らずにはいられません。宇宙の、世界のエレガントさを信じるというか、エレガントであって欲しいと願うというか、そうであっても、そうでなくとも、「ここ」がエレガントであることに変わりはないのだという希望。シャープで端正でうつくしい物語でした。理解できないなりに、大好き。
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SF。短編集。
著者の作品は『パラサイト・イヴ』『デカルトの密室』『第九の日』と読んできたが、今作はこれまでにないロマンチックな雰囲気。
作品全体として、幻想的だったり抽象的だったり、なかなか理解しづらい印象。
「ロボ」でのケンイチの登場は嬉しい。いずれ彼のシリーズを再読したいな。 -
世界観やストーリー、キャラクターは非常に魅力的だし、他には無いものだと感じました。(そんなにSF読んでませんが…)それだけで読む価値はあると思います。
科学とSFという武器で未来の世界を切り取ってみせるその考え方も、素敵だと思います。
でも少しだけ、理系感がここまで強くなくても、本筋は損なわれないような、むしろ楽しく読めるようにも感じました。そんな単純なエンターテイメントは求めてない、と言われればそれまでなんですが。
まぁハヤカワ文庫という媒体を考えれば、SFを読み込んだ方向けだと思うので、素養が無いこちらがむしろ外様なのかな。
凄く引き込まれたんですが、でもその世界には自分の居場所が無いような、ちょっと悩ましい気持ちです。
理系感が無くなったら、引用・オマージュが無くなったら、もうそれは瀬名さんの本じゃないってコトなんでしょうか。
それでも追いかけるべきなのか、私のような素人を悩ませる本です。。 -
理系の人間でも、すべてを理解しながら読み進めるのは難しい。
ただ単なるサイエンス物ではなく、著者のロマンチストな面がちりばめており、難解な理論があるものの、それなりに楽しめる作品になっていると思う。 -
「文学」+「科学」→「哲学」といSFのヴィジョン。
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短編集。ちょっと、作者のロマンチストぶりが気になるというか、感傷的すぎて、物語の筋、登場人物の動きが追えないような話もあり、なかなか読み進むことができなかった。幻想小説っぽいのかもしれないけど、個人的には何だかなぁという感じ。
その中でも、表題作「希望」など、特に科学との関わりをベースにした作品は迫力があり、読みやすかったのは、作者の蓄積によるものか。そういうタイプの作品の方が好みかなぁ。 -
全然覚えていない。