旧友は春に帰る (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 472
感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (569ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150310424

感想・レビュー・書評

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  • 複数再読。かつてファムファタールだったモンローが醜悪なオバサンになってしまうのが切ない。単なる老いではなくて、あの頃のまま、子供のまま、年齢を重ねてしまったということだろう。
    アキラさんもどんどん弱っていく感じがして、いつか死んでしまうんだなと思わせる。

  • あー、モンローかぁ。そうかぁ。
    そうくるかぁ。

    長く続くシリーズで実際にも同じ時間がたっているのが
    リアリティがあるなぁ。

    「俺」もいちいちネットカフェに入るんなら
    携帯持てばいいのに・・・となるけれど。
    そこが「俺」らしさ。

    いい加減だし、悪いことばっかりしてるけど
    意外ときちんとしていて
    意外と真面目、なんだよなぁ。
    人に対しては。

    中年のデブの便利屋だけど、
    いい味出してきてますなぁ。

    聞潮庵のおばあちゃん達には長生きしてほしいなぁ。
    これまた、いい味だしてます。

    モンローの人生の後半は
    悲しくて、切ないことばっかりだった、というわけではないのかしら
    あまりに最期が哀しい。


    モンローの描写で
    スタイルの良さが顔が老けたのを際立たせるとか
    25年前なら可愛かった仕草。。。とか
    中年おばさんへの容赦ない描写に
    現実を感じる。
    やっぱり、そうなんだぁ。
    若く見えるとか美魔女とか言うけど
    んー、やっぱりそう見えてんだなぁ。

    聞潮庵のおばあちゃんになるまでの間の
    素敵な歳のとり方って
    どっかに見本がないかしらねぇ

    と、つい、そこに食いついてしまう私。

  • 理由もわからないままトラブルに巻き込まれ、いつものことがけれどやくざから追われるはめになった「俺」。
    かつてススキノを席巻したモンローから、久しぶりの連絡を受けた「俺」は、面倒がりながらも結局は手を貸すことになる。
    過去から這い出てきたような女の存在は、「俺」を思いもよらぬ事態へと引きずり込んでいく。
    あるのかないのか、まるで信憑性のない蜃気楼のような「印紙」を追い求め、入り乱れる人間たち。
    損得勘定で動く彼らには、真実はいつまでたっても見えないのだろう。
    自分たちの見たいものしか目に入らないし、自分たちの信じたいものしか信じないのだから。
    何ごともほどほどがいい。
    過ぎたるは及ばざるがごとし。
    モンローは過ぎた美貌が仇となって、自分自身も周りも振り回され続けた一生だったように思う。
    光に害虫が集まるように、モンローのもとには負のエネルギーが集まってしまったのかもしれない。
    モンローは幸せだったのだろうか?
    幸せになることが、幸せでいることが、幸せでいつづけることが、怖かったんだろうか?
    「俺」の後悔が、切なく哀しい。

  • すっかりいい歳になった「俺」の言動は、若い頃から持っている独特の美学を残しつつも大人の分別や優しさも身に付き、成熟した魅力になっている。
    桐原や種田も然り。
    本シリーズのベスト作品じゃないかな。

  • シリーズ1作目「探偵はバーにいる」に登場したあのモンローから、四半世紀ぶりに「お願い。助けて」と言うメールが来たところから周囲が慌ただしくなり、それから最後までハラハラしながらも懐かしくなったり悲しくなったりする話だった。
    とにかくモンローと一緒になって追っ手から逃げようとする前半と、大切な人を守ろうと戦う後半で流れが一気に変わっていて飽きない。
    消えた少年もそうだったけど、誰かを守ろうとする時の主人公〈俺〉が格好良い。

    事件の解決法はなかなか気持ちの良いものだったけど、その後に判明する事件のその後と、真相があまりに悲しい。心に残る名作です。

  • 今回の『俺』は旧友モンローからの依頼。はて?モンローって聞いたことあるなと他の方のレビューを見ると、一作目に出てきたデリヘル嬢。北海道から逃がしてとの依頼に自衛隊上がりの超美人おかまアンジェラも登場し『俺』大暴れ。痛快ハードボイルド、一気に読み終えた。

  • 懐かしい友からのお願いを断れない探偵。
    既に探偵なのか良くわかんないけど、嘘を吐いてると知っているのに助けるってそうそうできる事じゃない。
    相変わらずアブナイ橋を渡るシーンの連続でかなりドキドキでした。
    ススキノは変わったけど探偵は変わらず。
    友は大事だよね。
    そして女に甘いのか厳しいのかよく分からないけど探偵モテるよね。
    アンジェラ再々登場が嬉しかったです。
    そしてラストが切ない。美人は損なのかしら?

  • ススキノ探偵シリーズ11作目。

    1作目に出てきたススキノで断トツNO.1デリヘル嬢「モンロー」が再登場する。

    当時から25年が経過。
    心身ともに落ちぶれたモンローに若干ショックを受ける。

    しかしそれはあくまでも輝かしい過去を知っている主人公・「俺」の描写であり、他の登場人物からは『美人』『綺麗』と言わている。

    細かい部分ではあるが、
    そのフォローの仕方というか、さりげない表現力にやたらと感心した。


    もちろん物語自体も面白い。

    シリーズお馴染み・桐原や種谷の活躍、夕張でのカーチェイス、北海道からの脱出・・・。

    いよいよ50歳を越えた主人公・「俺」が今後どんな活躍をするのか、
    次回作はまだ刊行されていないが、楽しみ。

  • 「まめ」に絡む「俺」をもっと出してほしいです :-)

  • 数年ぶりに連絡をしてきた友人モンローを、北海道から逃がすという脱出劇から始まり、深いナゾでもないんだけど、何だか先が気になりだし、あっという間に読破。このススキノ探偵シリーズは、テンポがよく軽快で話が進むので、とても読みやすく楽しい。主人公の携帯が嫌いや洗浄便座への執着が相変わらずで面白い。

著者プロフィール

一九五六年札幌生まれ。本郷幼稚園中退、本郷小学校卒、東白石中学校卒、札幌東高等学校卒、小樽商科大学中退、北海道大学文学部哲学科中退。
現場作業員、ポスター貼り、調査員、ガードマン、トラック助手、編集者、広告営業、コピーライター、受刑者など諸職を転々。
一九九二年『探偵はバーにいる』(早川書房)で小説家としてデビュー。同作は、一九九三年『怪の会』激賞新人賞受賞。
二〇〇一年『残光』(角川春樹事務所)で日本推理作家協会賞受賞。

「2010年 『北の作家 書下ろしアンソロジーvol.2 utage・宴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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