コロロギ岳から木星トロヤへ (ハヤカワ文庫 JA オ 6-20)

著者 :
  • 早川書房
3.65
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本棚登録 : 710
感想 : 87
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150311049

作品紹介・あらすじ

『天冥の標』を展開中の著者が21世紀と23世紀を“つないで”描く、異色の時間SF長篇

感想・レビュー・書評

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  • #日本SF読者クラブ 「コオロギ岳」ではない。「木星前方トロヤ群」がわかなくても大丈夫です。時間SFなんだけど、難しい理屈は無視して(?)スラスラと読むこと。新型コロナ疲れの頭には、一服の清涼剤となるでしょう。
    コミカルな「時砂の王」という例えもあったが、言いえて妙です。作者が「天冥の標」の執筆の合間に書いた作品である

  • 現代の日本アルプスと、23世紀の木星。時も場所も違う2つの世界にまたがって出現した、なぞの生物。
    「尾っぽの方が23世紀の木星に挟まって動けない」と現代に現れた頭の部分がのたまって・・・。
    とにかくその生物を解放しようと、日本と木星にそれぞれ居合わせた女性と少年が試行錯誤の交流を図るお話。
    今やったことが、未来を変える。この、当たり前だけど実感できない事実を、平面にして見せてくれる。

  • 2231年、廃棄された宇宙戦艦に閉じ込められた少年2人を救うため、北アルプスにある太陽観測所に落ちてきた紫蘇漬大根のような時空をまたぐ生命体を通じてコンタクトをとる2014年の観測所員。

    設定のハードな部分は読み飛ばしてもOK(俺もなんとなく分かってないような分からんようなで読んでいた)、時空間の上下流を行き来できる大根生物なんだから、色々やり直しできたりはするわけで、その辺のトリックと2つの舞台のコミカルなやりとりを楽しめる。

    腐女子やりとりな余禄もよし。オタク妄想が世界を救うって設定は嫌いじゃない。

  • 西暦2231年。木星前方トロヤ群の小惑星・アキレスに住む
    ふたりの少年リュセージとワランキは、終戦後の広場に放置された
    宇宙戦艦に忍び込んで閉じ込められてしまう。

    いっぽう2014年2月。北アルプス・コロロギ岳の山頂観測所で
    太陽観測に従事する天文学者・岳樺百葉のもとには、赤茶けた色の
    大根のような形をした巨大な物体が突如あらわれて.....

    天空と時空を超えて、二つの時と場所が交差して織り成すファンタジー。

    時空と天空が交差する絡みをわかろうとするのには
    頭の中がぐるぐるになっちゃいましたけど(笑)

    リュセージとワランキの二人の少年の、逆境にもめげずプラス思考で
    前向きに立ち向かおうとするテンポのいい軽妙な掛け合いは
    心地よくて楽しくて好きでした。

    カイヤクがとらわれてしまった楔は、いったいどんだけ長いのかしら???
    想像できるようなできないような.....不思議な不思議な大根です。(笑)

    みんな前向きで一生懸命なのがいい♪

  • つい帯に釣られました。見事に釣られました。 作者も、こういうの書きたくなるよね……。というぐらい軽く読める時間SFものでした。コロロギ岳から太陽観測をする仕事をしている女性が出会った、突如現れた「大根」とは……。まさか小川一水さんが、こっち方向のネタをいれてくるとは……とちゅうで消えちゃいましたが、笑ったー。深読みしたくなる気持ち、わかります!でも、私は実は上は女の子だと信じてました……!

  • 小川さんにしては薄めで軽め。
    現代と未来を行ったり来たりで、気付いたら終わった。
    過去を変えると未来が変わるのがこんなに直接的に変化するのか~、と違和感しかなかった。
    だいぶご都合主義的に進んで、最後まですぱっと一直線だった。
    カイアクが落ちてきて、意味不明の言葉を喋ってる時が一番ワクワクした。

  • 西暦2231年の木星トロヤで、宇宙船内に閉じ込められた二人の少年。一方2014年、日本のコロロギ岳では、とんでもない来訪者が訪れ、天文学者の百葉(ももは)と水沢は、閉じ込められた少年たちを救う手助けをすることになるのだが…

     もっと分かりやすく、この小説の説明をするなら、200年越しの人命救助! 200年後に閉じ込められる少年たちを、いかに現代から救うか、ということがテーマです。

     百葉たちはどうやって200年後にメッセージを残すかに苦心します。メッセージを受け取ることは、可能なのですが、それに対し返信しようとすると、200年先にも残っている形で、伝言を残さなければならないからです。

     200年先にも伝言を残すには、いろいろな人間が世代を超えて、メッセージを残し、伝えるようにしなければいけません。そして、そうした動きは歴史を変えることにもつながっていきます。

     そうした壮大な動きが、二人の少年を救うためだけに行われる。単純な動機なのにスケールが壮大で、それが読んでいてとっても素敵だと感じました。

     読んでいて思い出したのは映画『オデッセイ』と『火星の人』。一人の宇宙飛行士を救うためにあらゆる人が頑張るその作品と、この『コロロギ岳~』には、共通のバイタリティが、根底にあるような気がします。

     時空を超えて紡がれる、人間の善意の物語だったと思います。

    第45回星雲賞〈日本長編部門〉

  • 2014/07/19 第45回星雲賞、日本長編部門受賞作。ということで早速。
    書店でこの作者の本はよく見かけ、装丁からハードSFを想像していた。ところが、この作品は、ライトな感じの、ちょいと前に読んだ野尻抱介とも似た、ユーモアあふれる読みやすい作風。しかも最近マイブームの時間ものと来れば、読まないわけにはいかん。短めのボリュームも手伝って、通勤2日で読破してしまった。

    物語は、4次元の世界に生きる謎の生物?カイアクが、「泉」の中で「楔」に引っかかってスタック。200年の時と木星近く小惑星と北アルプスとにまたがって動けなくなってしまい、動けなくなった「尾」の解放のため主人公たちに協力を求める。

    トンデモない設定の異種文明(文明、ですらないけど)、地球の危機にもかかわらず、そんなこと知ったことかとばかりに登場人物たちは、未来の少年2人組に妄想を働かせてるし、未来へのメッセージはモナリザの裏への落書き。どう考えても深刻な話のはずなのに、最後まで楽しく読まされる。
    その一方、時間パラドックスを避けるための「手続き」の必要性、可能性の収束による世界の(主観的な)変動など、読み応えのあるSFでもあり、読み応えもある。星雲賞受賞も納得。

    もう少し、この人の作品を読んでみようかな。実は35回、37回の星雲賞も受賞している、思いっきり実力者であるみたいだし。

  • ん-・・・
    ちょっと難解

  • 新年早々続けて小川一水。
    「風の邦、星の渚」はSF要素薄めだったけど、こちらはSF要素満載。
    なんと言ってもみんな大好き時間SF。
    ずっとわくわく、にこにこしながら読めてたし、オチもきれいに決まって文句なし。
    小川一水にハズレ無し!

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著者プロフィール

’75年岐阜県生まれ。’96年、河出智紀名義『まずは一報ポプラパレスより』でデビュー。’04年『第六大陸』で、’14年『コロロギ岳から木星トロヤへ』で星雲賞日本長編部門、’06年「漂った男」で、’11年「アリスマ王の愛した魔物」で星雲賞日本短編部門、’20年『天冥の標』で日本SF大賞を受賞。最新作は『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ2』。

「2022年 『ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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