日本SF短篇50 IV 1993-2002―日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー (ハヤカワ文庫 JA)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (492ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150311261

作品紹介・あらすじ

宮部みゆき、菅浩江、北野勇作ら90年代の作品を中心に精選。オールスター傑作選第4弾

感想・レビュー・書評

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  • SF。短編集。アンソロジー。
    良い作品が多い。
    「くるぐる使い」「海を見る人」は既読。「操作手」も読んだかも。
    個人的には「海を見る人」を楽しめただけでも十分に価値のある一冊でした。

    大槻ケンヂ「くるぐる使い」
    再読。何で読んだんだ…?不明。超能力もの。個人的にSFというよりもホラーだと思う。どちらにせよ素晴らしい作品。
    藤田雅矢「計算の季節」
    植物SF。園芸関連の本を何冊か読んだことのある作家さん。小説は初。優しい雰囲気。
    小林泰三「海を見る人」
    再読。時間SF。ボーイ・ミーツ・ガール。初読時は好きではなかったが、良さが分かった。2度目で世界観を理解できたからか。傑作ですね。
    藤崎慎吾「星に願いを ピノキオ二〇七六」
    SFサスペンス。人工知性。ウエットウェア。設定がなかなか面白い。もう少し読みたかったな。
    北野勇作「かめさん」
    夫婦の平和な日常と亀。なんでコレで立派なSFになるのか…。やっぱり不思議な作家だな〜。
    他5作品。

  • 大槻ケンヂの「ぐるぐる使い」は読んでいて恐ろしくも悲しくなる物語。「マニュピュレーター」や「星に願いを」はいかにも近未来としてありえそうなホラー的な作品。特に「星に願いを」は表題からは想像し得ないが、今後もあっても不思議はない不気味な作品だった。ウエットウェアの考え方は面白いが、そら恐ろしい。

  • 「くるぐる使い」大槻ケンヂ
    「朽ちてゆくまで」宮部みゆき
    「操作手(マニピュレーター)」篠田節子
    「計算の季節」藤田雅矢
    「永遠の森」菅浩江
    「海を見る人」小林泰三
    「螺旋文書」牧野修
    「嘔吐した宇宙飛行士」田中啓文
    「星に願いを ピノキオ二〇七六」藤崎慎吾
    「かめさん」北野勇作

    何と、鴨が読んだことがあるのは宮部みゆき氏のみ(推理小説でしたし)。90年代以降のSFは翻訳ものさえもほとんど読んだことがないので、こうしてアンソロジーとしてまとめて読む機会があるといろんな意味で勉強になりますね。
    手法としてのSFは、日本においては80年代でほぼ定着し、90年代以降は自然体で多様化していったのだなと肌で感じるラインナップです。多様化とはいってもある程度のカテゴライズは可能で、「現実世界と地続きのリアルな物語世界にSF的なアイディアを外挿する」パターンと「SF的発想から構築した思念的世界にリアルな生々しさを外挿する」パターンに大別できるのではないかと鴨は思います。前者の代表は大槻ケンヂ・宮部みゆき・篠田節子・藤田雅矢の各氏、後者は小林泰三・牧野修・北野勇作の各氏。どちらもそれぞれに面白かったです。

    前者で印象的だったのは、篠田節子氏「操作手」。切なく、残酷で、そしてエロい。おそらく女でなければ真に理解することは敵わない、タナトスと表裏一体の凄みあるエロティシズムを感じます。SFとしてはそれほど深みのある作品ではないけれど、いろんな意味で重たい作品。
    後者では、うーんどれも良いなぁ。描き出されるビジョンの吹っ切れぶりという観点では、北野勇作氏「かめさん」。小松左京「すぺるむ・さぴえんすの冒険」を彷彿とさせる、壮大なスケールの作品です。でもタイトルは「かめさん」(笑) 物語世界の端正さ・美しさという観点では、小林泰三氏「海を見る人」。ある村の夏祭りにおける「ボーイ・ミーツ・ガール」の物語と思いきや、直球勝負の正真正銘ハードSF!アインシュタイン以降の現代物理学の基礎を理解していれば、問題なく読めます。こういうアプローチがあったかー。目からウロコですよ。

    今回は、どうしても「合わない」作品はひとつだけでした。最近のSFも食わず嫌いしちゃダメですね!最後の第5巻もスゴく楽しみです。

  • 「くるぐる使い」★★★★★

    - こういう一昔前のえぐ味の効いた話は、胸糞悪い一方で止まらなくなる。気の狂った少女をくるぐると呼び、くるぐるを使って見世物をしていた波野の回想という形の物語。

    「朽ちてゆくまで」★★★★★

    - 超能力というSF味もあり、ミステリー味もありながら、ハートウォーミングなエンディングで素晴らしい。
    - 小さい頃両親を失い、祖母と暮らしていた智子。祖母が病気で亡くなったことをきっかけに家を整理している時、自分が小さかった頃のホームビデオを見つける。両親を失った交通事故以前の記憶がない智子は、かつで自分が予知能力を持っていたことを知る。

    「操作手」★★☆☆☆

    - 介護ロボットの話。ボケが進行したお婆ちゃんと介護ロボットのロマンス。

    「計算の季節」★★★☆☆

    - のほほん系SF。田舎に広がる電算草の畑を使って学者たちが計算をする、という世界観だが、メインはそんな田舎風景の中で暮らす少年の話。あまり何も起きない。

    「永遠の森」★★☆☆☆

    - 博物館惑星「アフロディーテ」の話。全9話のうちの第6話らしい。

    「海を見る人」★★★☆☆

    - 時間の流れる早さが異なる山の村の少年とと海の村の少女の恋物語。

    「螺旋文書」

    - 理解不能でスキップ

    「嘔吐した宇宙飛行士」★★☆☆☆

    - ジョーク系SF

    「星に願いを ピノキオ 2076」★★★★☆

    - 悪意を持ったAIがネットワークを通じて拡散していく系SF。人体や動物のをも乗っ取る設定。短篇ながら展開が早くて詰め込まれてる。

    「かめさん」

    - 抽象的で理解困難につきスキップ

  • 日本SF短篇50 IV 1993-2002―日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー (ハヤカワ文庫 JA)

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  • 篠田節子「操作手」、小林泰三「海を見る人」、藤崎慎吾「星に願いを ピノキオ二〇七六」の3つが特に良かった 「操作手」は当事者からすればとてもロマンチックなストーリーなのに、第三者からすると複雑な気持ちにならざるを得ないという設定の妙味が心に残る 「海を見る人」はオチが凄く好き 何れは最期を迎える老人となってしまった少年と、永遠の時間の彼方に流されてゆく少女の対比が切なくて良い 「星に~」は<ブレイン>というキャラクターの設定が面白かった ユキオのその後が気になるので続きがあってもいいのにと思った

  • 本書は、日本SF作家クラブ創立50周年を彩る記念アンソロジーの第4弾です。1993年から2002年に発表された10篇を収録。この頃は、SFというか小説そのものに興味がなかったので、そういった時間を過ごしていた裏側でどんな作品がSFのなかで話題になっていたのか、興味を持ちながら読んでいました。

    ハードSFな世界観が魅力たっぷりで、短編のボーイ・ミーツ・ガールものとしても秀逸な小林泰三「海を見る人」。これは既読でしたが、改めて読んでもおもしろい。
    いわゆる昭和的な日常風景にありながら、物語の底流は、壮大かつ退廃的な未来社会がなしている北野勇作「かめさん」や菅浩江「永遠の森」など、これまで読んだ作品に決して見劣りしない作品に楽しめました。

    が、残念ながら、これまで読んだ第1弾~第3弾に比べると、どうしてもインパクトが感じられませんでした。なんでかなぁと考えていたら、SFが生活に溶け込んだ作品が目立つんですね。SFらしさの上に生活が成り立つのではなく、生活の延長線上にSFらしさを取り入れるというか、そこでは、SFは主であるように見えて、主ではない。あくまでアクセントです。
    特にこの時代から、といったわけではないでしょうが、SFが普遍的な要素として世の中に広く浸透していることがよく解るラインナップだと思いました。

    ▼以下、収録作品
     1993年:くるぐる使い 大槻ケンヂ
     1994年:朽ちてゆくまで 宮部みゆき
     1995年:操作手(マニピュレーター) 篠田節子
     1996年:計算の季節 藤田雅矢
     1997年:永遠の森 菅浩江
     1998年:海を見る人 小林泰三
     1999年:螺旋文書 牧野修
     2000年:嘔吐した宇宙飛行士 田中啓文
     2001年:星に願いを ピノキオ二〇七六 藤崎慎吾
     2002年:かめさん 北野勇作

  • ざっくりと。
    大槻ケンヂ「くるぐる使い」退廃的な美しさを感じずにいられない流石の世界観。篠田節子「操作手」いつもならこういう女っぽい作品が苦手ですが面白かった!ドロッとした「女」「性」が少女に帰っていくような描写が美しい。
    藤田雅矢「計算の季節」牧歌的。井上陽水の少年時代のようです。田中啓文「嘔吐した宇宙飛行士」面白いよ!!こんちくしょう!!ピザ食えなくなるよ!(笑)藤崎慎吾「星に願いを ピノキオ2076」初読の作家さん。今回これが一番好みだったかな。他の作品も読もうという気持ちになりました。北野勇作「かめさん」かわいいそして全体的に漂う不安と切なさ。

  • 90年代日本SF短編。このころになるとだんだん好みとの乖離が激しくなってくる作品が増えてきて、日本SFから離れてきたころなので読んだことのない作家さんが増えてきます。大槻ケンヂ「くるぐる使い」は異様な迫力に満ちた作品で印象的です。篠田節子「操作手」も介護という現代的なテーマです。

    サイエンスとしてとんがっていたり大きな飛躍があるわけでなく、日常の中に溶け込んだ作品が多くなってきている印象です。スピリチュアルな感じが多くなっていてファンタジー色が濃くなっているのも、SF者としては少し距離を置いてしまう理由かもしれません。下ネタ物も不愉快なだけで意義も見出せません。何に対する挑戦なのでしょうか。

    Vで最終巻ですが、不安と期待が入り混じりつついつ読むか迷っております。ついていけるでしょうか・・・

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