開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU― (ハヤカワ文庫 JA ミ 6-4)
- 早川書房 (2013年9月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (523ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150311292
感想・レビュー・書評
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皆川博子さんにしか書けないような作品だった
18世紀ロンドンの不潔さと猥雑さ
身分と貧富の差に支配せれている
偏見に満ちた【解剖】に取り組む外科医と弟子たち
優秀すぎた弟子の途方も無い犯罪
登場人物たちの濃いキャラで一気に読んだ
終始、煤けている灰色の物語詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
物語は面白いのだけれど、期待しすぎた為か途中から飽きてしまった。時代背景など丁寧に書かれていて良かったが、登場人物の多さや名前の長さが読み進めるにつれてやや面倒…。
続編が気になるものの、手に取るかどうかは悩ましい。 -
18世紀のロンドンが舞台のミステリ。皆川博子は87歳の高齢ながら活躍する作家。本作は2012年の本格ミステリ大賞を受賞。解説は有栖川有栖、逆に『江神二郎の洞察』では解説が皆川博子。精緻な描写力と、隙のない伏線回収が見事。18世紀のロンドンなど誰も知らないが妙に現実味がある。皆川博子、実は300歳なんじゃないか・・・・・・。説明的になりがちな文化の描写が自然で、それでいて登場人物はきっちり書き分けられ、登場人物が全員生きている。翻訳のような文体が日本人の西洋のイメージをそのまま体現している。美しいミステリ。
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今の科学捜査なんてものが確立されていない18世紀イギリス。この薄暗い時代特有?の雰囲気と、キャラクター達の怪しげな感じが謎を更に覆い隠していて面白かったです。最後の事件の真相が明かされていく様は、おお!となりました(*´ω`*)ううーん!この幻想的で耽美?怪しいキャラクターが魅力!2015.1122読了
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面白かったです。
18世紀のロンドンというと、あまり予備知識のない私の中では薄暗いイメージはあれどそこまでネガティブなイメージはなかったのですが、偏見や汚職、ただれた風俗などの負の面が丁寧に書かれています。そんな醜い舞台設定の話なのに、やはり描き方は美意識高く、美しい。表紙もとても素敵です。
参考文献も多く、かなり研究されている気がします。
こういった解剖医の方たちがいてこその、今の医療ですね。解剖学や医療史系の関連文献も気になります。 -
幻想系に強い作者というイメージだったが良い意味で裏切られた。国も時代も異なる舞台でありながら滞りなく疾駆する物語と緊密なプロットに、本格ミステリ大賞受賞も納得の一冊。
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初読みの作家さん。まず言いたいのは、ものすごくおもしろかった!!!これ翻訳物じゃないの⁈とびっくりするほど、18世紀当時のイギリスの世相や人々を生き生きと描写していて感心しました。当時のイギリスの治安の悪さ、裁判制度や警察組織の腐敗、男娼の妖艶さ、田舎者の少年への虐待ともとれる冷酷的差別、奴隷制度への現在との認識の差…とにかくおもしろかった!!!そしてミステリでもあり、出てくるキャラがまた個性的で良い☆最後の大どんでん返しは、えーっ⁉️って声出ました!みんな読むべきですよ!!!個人的にベストセラーです。
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解剖医ダニエル・バートンと、その弟子達の物語。舞台は18世紀ロンドン、まるで翻訳小説のよう。本格ミステリ大賞受賞作ですが、社会派ミステリと呼んだ方がしっくりきます。犯人はメスを入れました。愛に満ちた作品。
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最後で最初と繋がる!スッキリ納得できるし終わり方も良い感じ
ただ途中ちょっとダレる -
不思議なタイトルだなあと思いながら手に取った作品。(解剖の作品でしたか。)
舞台となる解剖教室に出現する複数の正体不明の解剖屍体。彼は一体誰で、その屍体の裏にどんな事実が隠れているのか。真相が見えてくるようで見えてこない、そんなもどかしさを持ちながら読み進めた中での終盤。驚きのラストでした。
海外小説を翻訳したかのような表現で、若干読みにくさを感じた作品でしたが、それ以上に面白い結末でしたので読んで良かった一作でした。