PSYCHO-PASS ASYLUM 2 (ハヤカワ文庫 JA ヨ 4-5)

著者 :
制作 : サイコパス製作委員会 
  • 早川書房
4.04
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本棚登録 : 751
感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150311735

作品紹介・あらすじ

六合塚弥生&唐之杜志恩篇と宜野座伸元篇の2篇を収録する人気アニメスピンオフ第2弾

感想・レビュー・書評

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  • シビュラシステムに興味がわいて読んでみた作品。
    シビュラによって人生を翻弄される人達の姿が見えて面白い。現実でも私たちの人生は制度というシステムに束縛されているので、彼らの生き様が作り話と割り切れない所も良い。
    人間性に肉薄しているのだけど、少し大味になってしまっている感がある。女性同士の恋愛描写が妄想レベルでしかないのが残念。妊娠や出産に対して女性がどう考えているかという点でもステレオタイプだと思った。二次創作を読んでいるようだった。

  • 「About a girl」六合塚弥生。
    昔愛した滝崎リナとの訣別。

    「別離」宜野座宣元。
    セラピーのためにあんな事を。
    イヌサフランの花言葉は「私の最良の日々は過ぎ去った」。

    1ほどではないけれど、この巻もグロい。

  • 現在三期放映中のサイコパスノベライズ。
    二巻では弥生と宜野座に焦点があてられる。
    本編を視聴している者の多くはさすがに気付いてるだろうが、弥生はレズビアンであり、同僚の志恩と関係を持っている。
    彼女が主人公の話は親から子への支配、または組織間での差別の形で男性に搾取されるジェンダーの問題も扱っており興味深い。
    これもノベライズを読まねばわからない情報だが、シビュラ社会では同性愛が禁じられておらず、相性さえ合えば同性との婚姻も推奨されている(霜月の幼馴染の二人も結婚推奨判定が出ており、それが霜月の嫉妬を招いた)
    そんな価値観が定着しているので、同性愛者を差別し暴言を吐けば、逆に「時代遅れ」と軽蔑される。
    シビュラの功罪は今後も物語の命題として論じられていくだろうが、歴史上弾圧されてきた性的マイノリティにとっては、こちらの方が断然生きやすく思える。
    弥生と志恩と絆の強さがわかる話で、弥生の元恋人・リナが、印象的な悪役として再登場する。
    本編で「思ってたのと違うな」と呟いた軽さとは一転、絶望を突き詰めてカリスマ性を獲得した聖女として描かれているのがキャラ違いすぎて違和感だが、短編としての完成度は高く余韻を残す。
    未来は脆さと母性を兼ね備えた非常にいいキャラだと、同性の私は評価している。
    「大人すぎる」という意見もあるが、それはシビュラ社会の弊害である閉ざされた環境に育ち、早く大人にならざるえなかった悲劇でもあると思った。
    付け加えれば、弥生や志恩ほか一係のメンバーと出会った事で世界には信頼できる大人もいるのだと知り、短い期間で劇的に成長したと考えればさほど不自然でもない。

    宜野座が主人公の話は、彼の繊細さや狡噛との関係が掘り下げられファン必読。
    ドッグセラピストの資格を有している、犬をプレゼントしてくれた祖母がいるなどの情報は、ノベライズでしか得られない。
    狡噛との出会いにも少し触れられているが、互いを対等に理解しあった二人の友情が爽やかで、当時の話を読みたくなる。
    本編では故人の佐々山も、女好きでチャラい振る舞いに比して宜野座を諭すなど思慮深い一面を見せ非常に魅力的。さりげなく宜野座のぶんもコーヒーを持ってくる場面に気遣いがあらわれている。
    事件の真相はシビュラ社会の歪みを抉り出す苦いもので、人間の醜悪さをこれでもかと突き付けられる。
    終盤に正体を現した「彼」の口から語られる真相はショッキングで、読者の色相も濁る。
    極寒の野山に放たれた「動物」たちが、あの環境で衰弱もせず病気にもならず数週間(ことによると数か月)生きられるものか?など疑問もあるが、クライマックスの執行シーンのカタルシスでこまかいことはどうでもよくなる。

    本編では語られなかった部分を補完し、アレンジも加えた上でさらに六合塚弥生と宜野座伸元という人間を魅力的に肉付けしたノベライズなので、二人のファンなら買って損はない。

  • これまたなかなか色相の濁る出来で、「ユートピア=どこにもない」というものであることを実感せしめられる。信念など持たない羊でいた方が生きることは容易いかもしれない。けれど私たちが物事を感じ、考えられるように作られたということは、やはりそうすべき理由があったから。歪であるけれど、善にも悪にも「為すべきものが為すべきを為す」理由があったのなら罪を憎んで人を憎まずいるべきだろうか。しかし自らを守るために弱いものを傷つけても良いと言う人はやっぱり許せない。やっぱりシビュラっておかしいよ←潜在犯決定

  • 弥生にとって自分の手で捕まえたいと思った相手であるリナとの再会を描く物語。
    サイコパスの男性陣は良くも悪くも真っ直ぐで折れてしまう人たちばかりだったけど、逆に女性陣は本当に強い。弥生も志恩もきちんと乗り越えていけるんだろうと思いました。

    宜野座さんの話は佐々山と宜野座の関係が微笑ましい。やっぱり宜野座にとっても佐々山は大きな存在だったんだろうなと感じた。

  • サイコパスサイドストーリーの第二弾
    今回は弥生と伸元
    本編が終了してから久しいですが、サイコパスらしい展開、臨場感、どんでん返しでとても楽しめました。
    映像化してくれると良いんですけどねぇ〜

  • スピンオフ二作目。
    弥生とリナの因縁が描かれているとあって、楽しみにしていた。ボリュームもしっかりあって、映像化されても申し分ない内容。

    後半は宜野座編。
    第1期と第2期の変化が一番大きい人物。不器用なお坊ちゃんは嫌いじゃない。

    シビュラシステムの盲点や弱点を上手く突いたストーリーが、なかなかすごい。
    完璧な社会はない、けれどそこは全くの地獄でもない。だからこその葛藤。
    選択された者だけが謳歌し、選択されなかった者は社会的に抹殺されてしまう現実。
    現状、我が国にこのようなハイパーテクノロジーこそ存在しないものの、我々の脳は静かにシビュラシステムに成り代わる可能性を秘めていると思う。

    見えない「善」を、誰もが一方向に有ると認識したとき、それはきっと起こるのだろう。

  • 『PSYCHO-PASS』のスピンオフノベライズ。これ1冊に2篇収録されており、主人公はそれぞれ六合塚弥生と宜野座伸元。アニメ『PSYCHO-PASS』を見た人なら、登場人物の奥行きが楽しめるだろう。まずは『PSYCHO-PASS』を見よう。本書はそれから読むとよい。
    六合塚弥生が主人公の『About a Girl』は、解説によると、文庫化にあたりSFマガジンに掲載されていたものに最も大きく改訂を加えたものらしい。もう一つの『別離』は書き下ろしらしい。
    ストーリーとしては、『About a Girl』の方が派手さがあって面白かった。この時代の国境ってこんなふうになっているのねとか弥生と志恩の関係はこうだったのかというのが分かって、『PSYCHO-PASS』の世界が少し広がった気がした。

  • About a Girl
    弥生があのとき引けなかった引き金を引く話。彼女はもちろん、志恩のいい女ぶりに歯止めがかからない。
    人気作品のスピンオフという枠を越えて、1つのSF小説としても完成度の高い作品。また、アニメ本編ではどうしても、狡噛や朱が単独で話を牽引している印象になってしまうが、弥生・志恩・朱・宜野座がそれぞれの能力を活かし協力して事件に臨む展開に胸が熱くなった。


    別離
    有能な監視官だった頃の宜野座と犬のロンの話。
    女性たちが活躍する華やかな印象の弥生編と比べると、だいぶハードボイルド。いぶし銀。男4匹が、1匹の犬が鍵を握る事件を追う。アニメになったら、画面が全体的に黒っぽくなると思う。
    ロンの姿に、どこか征陸智己が重なって見える。

  •  六合塚弥生さんのエピソードは普通にアニメで1シリーズ出来るだろって密度。結構力業の部分もあるので、むしろアニメ向きかもしれない。リナさんの格上げがすさまじいなぁと思いつつ、志恩さんの情が深すぎて泣ける。重い。

     宜野座さんは、ダイムが居るなら色相を保てたのではないか?という気が少し。でもダイムが居て良かった。
     映画版と合わせてこれを読むと、咬噛さんのポジションがあまりにも可哀想でじわじわくる。佐々山さんが魅力的だなぁとも。

     しかし、サイコパスというアニメは、簡単に言えば「懐かしいディストピアものSF」である。科学技術の進化が人の幸せと直結しない未来。

     割と「いやいや、それは無いだろ」「えっ?」って突っ込みながら見ていたアニメだった。
     じゃあなんで面白く見られるのかというと、ストーリーの勢いだったり、キャラクターの魅力だったり、残酷さという分かりやすいキャッチーさで有ったりした訳で。

     それが、この短編を読むと「あり得たかもしれないSFの世界」だと感じる。
     地に足の付いた骨太のSFだなぁと。

     もちろん、アニメが悪いって訳じゃ無い。
     あり得ないような世界を描いたから、短編のイマジネーションがわき起こったわけで、まず飛躍ありきということで、かっこよくスタイリッシュに世界を描いて見せたアニメは素晴らしいのだろう。うん。というかこの短編集はアニメには出来ないよね。誰得だ。

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