ディアスと月の誓約 (ハヤカワ文庫JA)

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著者 : 乾石智子
制作 : 吉田ヨシツギ 
  • 早川書房 (2015年2月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150311834

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ディアスと月の誓約 (ハヤカワ文庫JA)の感想・レビュー・書評

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  • この方も良いファンタジーを描くなあ。
    最近、萩原規子さんや上橋菜穂子さんといった、素晴らしいファンタジー作品を多く読ませてもらえて嬉しい限りである。

    『夜の写本師』を読んで、その時はちょっと硬質な味気なさを感じたのだけど、今作は良い具合に世界とキャラクターがマッチしている。(上橋菜穂子『鹿の王』を先に読んだからか、重なる所もあるけれど)

    あらゆるものの「欲望」が表れ、罪を起こしてゆくのだが、そうした罪が簡単に帳消しされるという結末はなくて、安易なエンディングは迎えない。
    けれど、国という社会基盤が続いていく中で、それを負うて人が生きていくことで、見えない結末の先に道があるのだと感じた。
    そういう点で、重みはあるのだけど、ファンタジーとしてはまだ物足りないくらいかな。

    実は『写本師』の続編を眠らせてあったので、楽しみにして読もうと思う。

  • とてもよくできています。
    いつものごとく。

    四つあった月を人が引きずり降ろして、その力で凍土を人が住める街にする。
    宝石で着飾った豪奢な暮らしをしたい、というのが望み。
    ファンズの王サルヴィが赤と金の髪の魔法使いに警告するが、魔法使いは聞き入れずサルヴィを殺す。
    サルヴィはその角をもってして災いを妨げられると忠告を残すが、その角が滅びるとかならず疫病が流行った。

    その偉業をなしとげた王の息子の一人、ディアスは夢を見る。サルヴィが首を切られる夢。

    彼は家臣のマイハイのもとで育てられ、権力抗争から<降りて>いる状態。
    しかし陰謀に巻き込まれ、角を破壊した罪に問われ国外追放とされてしまう。

    サルヴィの角に代わる解決策を見つけてこいと言われたディアスは旅に出て、赤い海で竜と出会う。
    竜は強い力で隆盛を誇っていたが、その力を永遠に持ちたいと望み、ディアスを乗っ取ろうとする。

    サルヴィはディアスに問う。
    永遠か、滅び繰り返す命か。

    ディアスは答える。繰り返す命と。
    サルヴィは彼に呪いを終わらせる方法を伝え、ディアスの、幼いころに亡くなった乳兄弟イェイルと死者たちがそれを贖って物語は終わる。

    ディアスという青年が何を考えているのか、短い物語のなかで視点が変わるせいか、いまいちつかめなかった。
    とても賢くて何か特別なものを感じさせる青年だというのはわかるんだけど、その彼の<核>になるものというか、突き動かすものが何なのか、感情の流れが伝わってこなかったなぁ。
    写本師とは違って、だれかを憎んだりしているわけじゃないし。
    なので王の後継者になってもさもありなんというか、予定調和的なエンディングに見えてしまうのが少しもったいない。

    ただ相変わらず絢爛豪華な文章で、比喩に次ぐ比喩、
    そのためにところどころつまり何が起こってるんだと思うこともありましたけど(笑)
    読み応えがあって、没入感があって、私は好きです。

  • 寒い土地に暮らす人々のために月をおろし、緑豊かな土地に変えようとひとりの人間が、月を守るサルヴィを殺したことで、その土地は繁栄と共に呪いを受け継ぐことになった。そして、人間の血筋であるディアスが、延々と続く呪いに終止符を打つために、半ば強制的にですが、役目を負うことになり、南へ旅立ちます。
    とても話は魅力的なのですが、淡々としていたような感があります。最後はこれから新たな呪いを背負った子達が生まれるのでしょうが、170年分どれだけの人数で分け合ったのか、一回で終わればいいですが、なかなか平和は遠いですね。

  • ディアスが国を離れてからの展開が
    早すぎる気もしたが、この物語で
    最も心惹かれたのは ファンズと
    共に生きる北の民の限りない誠実さと
    その暮らしの掛け値ない正しさ。

    アラスカの原住民族から着想したのだと
    思われるが それ以上の生命力と誠実さに
    本当に心が洗われた。

    ディアスとイェイルの交感の中で
    このファンタジーを貫く生と死の思想が
    幻想的に語られる。

    …そんなこんなよりも気になったことを
    やはりどうしても書きたくなった。

    この物語に出てくる架空の食事たちが
    やたらに美味しそうに見えるのですよ。

    それからディアスが南に向かう時
    イショーイが寄こしてくれた護衛の名は
    タンダというのですよ。

    なんか大好きな上橋菜穂子さんの
    守人シリーズにいろんなところが
    重なるのですよ。この物語。

    作者にも作品にも失礼だとは思いながら
    上橋作品に心奪われ 来る日も来る日も
    上橋作品を読み続けていた日々を
    あたたかく懐かしく思い出しました。

    乾石作品はもっと心に痛く 悲しみから
    逃れられない人の性のようなものを
    いつも感じながら読んできたので
    とても意外な作品との出会いでした。

  • 面白かった!ちょっとややこしかった…でも魔道師の月よりは飲み込みやすかったかな。めっちゃ壮大でした。
    てか、表紙がー!赤燈さん!

  • 終わり方が少し物足りなかった感じもするけれど、『夜の写本師』より、こちらの方が好みかも。

    ファンタジーと一言で言っても、ジャンルが様々あり、乾石さんの世界観、空気感がつかめた1冊だった。
    友だちからあと2冊お借りしているので、のんびり読んでいこうと思う。

  • オーリエラントシリーズに比べると全般的に軽い感じ。でも凍土の寒さなどの表現力が凄いのは相変わらず。

  • 初乾石作品。
    とても現実的で真摯。
    自然とその中で生きるもののあり方についての描写が神秘的で美しい。
    読み込みたいところに限って薄く感じられたのが残念だけど、その世界観は素敵。

  • 業は業として背負ってくべきなのかな。

  • 美しい表現と太いテーマ。赤い龍と白いサルビィの象徴する人間の在り方をディアスが知り、選択する物語。幼なじみの少女アンローザの成長の物語でもあり、今は亡き賢き親友イェイルとの友情の物語でもある。全てを支配し続け全てを手に入れる力とと孤高の永遠か、何度も傷つき死にまた生まれ変わる大自然との調和の永遠か、その答えをディアスが訪ねる旅にでる。王位継承争いを軸に新しい国の在り方を問う。

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