怨讐星域Ⅰ ノアズ・アーク (ハヤカワ文庫 JA カ 2-14)

著者 :
  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150311926

作品紹介・あらすじ

太陽のフレア膨張による地球消滅から逃れるため、アジソン米大統領と選ばれた3万人だけを乗せた世代間宇宙船ノアズ・アークが、密やかに出航した。残された人々はノアズ・アークを呪い、大統領の娘ナタリーの恋人が発明した星間転移で決死の脱出を図った-。2つの人類の目標は、172光年先にある約束の地。生き残りを賭け闘う人間それぞれの受難、愛憎、そして希望を通して、世界の喪失と再生を描く、SF大河ロマン。

感想・レビュー・書評

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  • 太陽フレアの影響で滅亡の危機に瀕する地球。遥か彼方の「約束の星=エデン」目指して宇宙船ノアズ•アークで旅立つ人々と、死に行く運命に抗う人、運命を受け入れる人、そして新たに発明された転送装置を使ってエデンに先回りした人々を襲う過酷な運命。置き去りにされた人々が抱いた怨讐は、第ニの故郷となる星で人々を支え続ける希望となり得るのか?
    梶尾真治さんの提示するSF上の命題は、国家間の争いや、人類の生存に対する根源的な問題を含み、現実的な世界が如何に大切なのかという至極真っ当な思いを持たせてくれます。
    …そう、例えばイスラエルとパレスチナとか。どちらの国でも翻訳•出版すれば良いのに。

  • 太陽フレアの活発化によって数年以内に滅ぶことが予測されている地球
    172光年先の地球と環境が似た星へと極秘裏に宇宙船に乗った少数の人達と、転送装置によって先に渡った人達、そして地球に残る選択をした人達の群像短編集


    地球と似た環境の星、通称 約束の地
    人類を存続させるという目的でノアズ・アークに乗った人とその家族
    ノアズ・アークに乗った想い人に逢うために転送装置を開発した人
    転送装置でジャンプして過酷な環境ながらも生き延びようとする人達
    地球に置いていけない人を持つために残った人達
    約束の地の次の世代
    ノアズ・アークの次の世代

    それぞれの立場の人たちが描かれているけど、どの人たちにも同意できる部分がある
    決して楽観だったり悲観だったりするわけではないんだけど、だからこそどうしようもなさを感じる

    不穏なタイトルの意味
    自分たちを見捨ててノアズ・アークに乗った人々への恨みと復讐心
    世代間でそれを引き継ぐ意思
    その一方でノアズ・アークの中も決して安穏とした社会ではない
    船の中で生まれて船の中で死んでいくことが確実な人の心境たるや、想像するにやるせない
    でも、そもそも生まれた環境が最初からそうだとしたらある程度は受け入れるんじゃないのかと思うんだけどね

    もし自分がこんな選択を迫られたらどうするかな?
    とりあえず、ノアズ・アークのメンバーには選ばれそうにない
    ではジャンプするかというと、どうせしたところで死んでたろうしなぁ
    もし生き残っても満足な生活ができないんだったら別にジャンプする必要もない
    となると、地球に残った方がいくらかマシなんじゃないかと、物語を知った上では思うけど
    実際に決断を迫られてたとしたら、中程の時期にジャンプしたんだろうなきっと


    さてさて、全3巻の最後にはどうなることやら

  • 太陽フレアの膨張による地球消滅から逃れるため米国を中心とし、選ばれた3万人だけを乗せた世代間宇宙船「ノアズ・アーク」が密かに地球を逃れた。 目的地は、172光年離れた『約束の地』
    残された人々は、逃れた人々を呪い、本書のタイトルである『怨讐』という共通認識のもと、発明された転送装置を用いて『約束の地』へ脱出を図る。 
    100年以上をかけて移動する世代間宇宙船組と、着の身着のままで脱出ぜざるえなかった転送装置組。 
    それぞれの視点から描く大河SFです。 
    閉鎖された空間での世代交代。ほぼ無文明の状態での新世界への入植。 
    SFの王道満載の3部作 一気読みです。 

  • 太陽フレアにより近い将来滅亡が確定した地球。人類という種の存続ため、秘密裏に『約束の地』と呼ばれる惑星を目指し数万人の選民たちを乗せ地球を発ったノアズ・アーク号。その事実を知り、開発された転送技術『ジャンプ』により、ノアズ・アークの目指す惑星へと脱出する人々。そして運命を受け入れ、地球に残ることを選び『残された日々』を懸命に生きる人たち。基本的にこの3視点から物語は進む。ノアズ・アークでの希望の見えぬ無機質な日々と、約束の地にて原始の生活から新たなスタートを切った人々が対照的で面白い。

  • 怨讐星域? ノアズ・アーク (ハヤカワ文庫JA)

  • 群像劇的なSF
    二つの方法で外を目指して、いつかはまた相まみえるのかなあ
    いばらのみちだし仕方ないんだけど、憎しみは一方的に溜まり続けるんだろうね
    いつか会えるのかなあ

  • 太陽のフレアで地球が滅亡するだろうということから、世代間宇宙船で出て行った3万人。
    テレポートで行くことにした7割の地球人。
    残る選択をした人達。
    それぞれの個人に焦点を当てた話。

    続きが気になる良作。

  • 面白かった。
    突っ込みどころが多くやや難ありの設定だが、文字通り体一つで放り出された世界でサバイバル、世代を重ねて文明世界を築きあげてゆく、スナーク狩りなど思わずニヤリとする場面もあり、わくわく感がある内容だった。

  • 数年後に地球が滅亡することがわかって世代間宇宙船で逃れた一派と、不安定な物質転送機に運命を預けた一派の物語。SFとしてのストーリーはまぁまぁ面白いのですが、著者らしくない稚拙な日本語があちこちに見受けられストレスがたまります。

  • 地球滅亡を知った一握りの特権階級の人々と、選ばれた技術者たちだけが、恒星間宇宙船で脱出した。
    数世代後にしか到達出来ない、はるかな『約束の星』を目指して…

    様々な立場の人々の視点から描かれた連作シリーズ。
    設定としてはありがちだけど、たぶん、滅亡もの、パニックものというだけではない着地点への第一巻。

    カジシンさん得意のピュアな恋愛ものからスタートして、何でもアリのサービス満載です。

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著者プロフィール

熊本県生まれ。「美亜へ贈る真珠」でデビュー。代表作に『地球はプレイン・ヨーグルト』『怨讐星域』「あしびきデイドリーム」(星雲賞)『未踏惑星キー・ラーゴ』(熊日文学賞)『サラマンダー殲滅』(日本SF大賞)、そして映画化した『黄泉がえり』や、舞台・映画化した『クロノス・ジョウンターの伝説』など。

「2022年 『未来のおもいで 白鳥山奇譚』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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