我もまたアルカディアにあり (ハヤカワ文庫 JA エ 3-1)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 309
感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150311964

作品紹介・あらすじ

働かずに生きていけるアルカディアマンションでの人生とは──鬼才が描く、世界の終末

感想・レビュー・書評

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  • はしばしのフレーズに
    既視感あり。

    ん、まえに読んだこと
    あるね・・・と。

    やっちまったなあ、と
    思いつつ、

    なぜだか嬉しくもあり。

    アルカディアと銘打つ
    シェルターマンション。

    世界の終末に備えると
    きたもんで、

    住人は全てを与えられ
    働かなくても暮らして
    いける。

    一見、理想郷のような
    世界だけど、

    そこに生じるニセ物感
    たるや。

    自分に拠って立つこと。

    人生に本物もニセ物も
    ないけど、

    なにもかも他人任せに
    していたら、

    それは「私」の人生と
    呼べるのだろうか。

  • 何もしなくても安全に暮らしていける管理されたシェルターマンション社会の出来事を、色々な時系列で切り取ったような短編集?長編?
    各パートの視点キャラクターたちに共通する「泥臭さ」みたいなものが、世界観にがっちり嵌まってて良いなって思った。
    マンション住民側は自己実現欲求だったり片思いだったりで思い悩む場面が目立つ一方で、黎明期の人達や外側の人を描いたパートは妙にカラッとしてたりして、その対比も好きだなぁ。リアリティ。

    ダラダラ何もしなくても生かされる側の凡人と、損してるって自覚してても働いちゃう変わり者、そんな理想郷のような環境を拒んで反抗する勢力。
    自分がこの世界の住人だったらどの立場になりたがるのかな……とか、読後に考えてみるのも楽しい(楽しいか??)

  • 設定に惹かれて購入した。
    本の内容がおもしろかったか否かは置いておいて、舞台設定そのものにいろんなことを考えさせられた。
    仕事をしなくても生きられる、言い換えれば生かされるような世界。
    日々働きたくない〜と思いながら生きているが、本当にそれが実現したら?
    他人とほとんど関わらずに生きていけるとしたら?
    肉体が不要になり、ある種の電脳世界になったら?
    他人と関わらず相対的な価値観を持てないような世界で、自分を絶対的な価値観で定義することってできるの?
    こんな世界で子孫を残す意味ってあるの?
    などなど、いろんなことを考えてしまった。
    だから読書はおもしろい。

  • なかなかに人生はままならぬもの。いかんともしがたいのかもしれないけれど、[more]一族ほぼ全員がいい面の皮。洛音だけがちょっと異端か。でもそれでも、残念な一族だと思わずにいられない。舞台時間が章で飛ぶのがわかりにくかったのが残念。

  • 全身を義体にしてでも働き続けるワーカホリックと怖い女上司の話である『ペインキラー』が一番好きだった。

  • 正直、めちゃくちゃ評価に困る1冊。世界の終末に備えたシェルター的存在のマンションに引きこもった人間たちを主軸に置いたストーリーから、ノアの箱舟的な要素を強く感じる。マンションの中では労働も必要なく、ただ娯楽を消費しさえすれば良いという設定も偽りのユートピア感があって良い。

    ただし、自分はそこまで惹かれなかった…。ひょっとしたら物語に隠されたメタファーに気づけないと楽しめないタイプの本かもしれない。

  • SF。ディストピア。終末。
    連作短編集のような、長編のような。
    アルカディア・マンション内の描写は、J・G・バラード『ハイ・ライズ』っぽい印象を受けた。
    イマイチだなと思いながら読んでいたが、最終話「ディス・ランド・イズ・ユア・ランド」の結末と、エピローグ的な5章の読後感が良く、評価アップ。

  • 世界の終末に備え建設された「アルカディアマンション」にまつわる御園一族の物語。各話ごとに時系列・世代が前後し、アルカディアマンションにまつわる謎が回収されてゆく構造になっている。

    理想郷を追い求める日本が社会の均質化を招き、人々はマンションの中で暇潰しのように一生を終える。その世相の最中アル・ジャンナの血族は均質化に抵抗するように暴れまわる。

    理想郷のために破壊するもの、維持し管理するもの、その過程を生きる個々人の人生に画一的な理想郷は無いのだろうなと思う。
    短いながら数世代に渡るスケールで、彼らの生への諦念・情熱を楽しめた。

  • 面白かったです。御園一族は一体何人いて、この人は何代目なんだろう…というところは混乱しましたが。ここまで世界が壊れても、意外と人間は滅びないのかもしれないと思わされます。でも何もしないでただ娯楽を消費する人生はわたしは無理だな…例えそれが底辺であっても。それともこんな世界になったら適応するのかな…もやもや考えました。世界の終末に備える。ラストの一行がとても好きでした。

  • 終始哲学めいた独白が続き、いまいち世界に浸れませんでした。しかし、これは今まで探していた理想の小説の一つになりそうです。
    結局理想郷なんて人それぞれで、自分が納得するかどうかで決まるものだと思いました。

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