君を愛したひとりの僕へ (ハヤカワ文庫 JA オ 12-2)

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著者 : 乙野四方字
制作 : shimano 
  • 早川書房 (2016年6月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150312343

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君を愛したひとりの僕へ (ハヤカワ文庫 JA オ 12-2)の感想・レビュー・書評

  • 誰もが意識することなく『並行世界』を揺らぎながら生きている、ということが常識となった世界。
    両親が離婚したあと父と暮らす10才の暦は、ある日、愛犬のユノが事故死した世界から、ユノではなく、祖父が死んでしまった世界、自分が父ではなく母と暮らしている世界へとシフトする体験をする。
    そのきっかけとなったのは、父の勤める研究所の所長の娘、栞。
    二人は、双方の親が再婚を考えていると知り、お互いが兄妹にならず結ばれる世界へシフトしようとするが…


    シフトに失敗した栞を救いたい、その事だけを望む暦の人生。
    同時刊行の『僕が愛したすべての君へ』を読了した後なので、ほんの小さな一点からかけ離れていった暦の幸福と不幸に、幸福に気づかない不幸に、やりきれない気持ちになった。

    けれど…本作を読了して、もう一度『僕が愛した…』に戻ると、その不幸も幸福なのだと…、たぶん、そうでなきゃ、と思う。
    どの道を選んだ暦も、深く愛する事、愛される事を知っていた、幸福な人間だった。

    こういう設定の物語は、伏線を後で見返してフムフムと考えるのも楽しみの1つ。それを2冊の本で、さらに楽しめる。

  • フォロワーさんが推してたのでなんとなく気になってもう片方と一緒に購入。
    「僕が…」→「君を…」の順に読んだので。2冊読んでからの感想は主にこちらで。

    “日高”暦のストイックさというか人間の乾きが痛々しくその差に心が痛む。と同時に、「共感するならこちらの暦だ」とも思い知らされた。

    仄かで器用に表せなかった恋心は控えめで、その後の「栞を救うため、駆り立てられる執念」が物語の主であり、「自己満足だけの自己犠牲をを嘲る男の悲劇」とでもいうか。
    愛する人を不幸にした世界を、なにより自分を許せない“日高”暦のその痛々しさが苦しい。
    とことん自らの幸福の希求を放棄した“日高”暦、彼が選びとった「平行世界」が「僕が…」の世界であったのは読者の救いであったろう。故に大団円派はこちらの方を先に読んだ方がいいのではないかと。
    「僕が…」よりもSFらしさは増してると思うが、文系脳故あくまで雰囲気で。

    2冊を並べてみると、やはり「僕が…」の方が一般的に好まれるのかもしれないと思う。
    「僕が…」の幸福に満ちた物語に癒されはしたものの、何かの物足りなさを感じた私には、「君の…」の、悲劇による魂の浄化 が酷く胸に刺さる。カタルシスを求めるのであれば、是非「君の…」から読むことを勧める。

    蛇足:ポルノの「カルマの坂」、バンプの「Ever lasting lie」が好きな人には合うかもしれない。

  • 『僕が愛したすべての君へ』と同時刊行の作品。
    本書『君を愛したひとりの僕へ』から読み始めました。

    何とも切ないお話でした。
    栞を救うために、並行世界の研究を重ね、あらゆる手立てを試す暦だけど、最終的に暦が見つけた「栞を幸せにできる方法」があまりにも切なく、またその方法にたどり着くまでに要した歳月が途方もなく長くて…。

    本書読了後に、並行世界の暦の人生を綴った『僕が愛したすべての君へ』のラストを読んで、本書の世界を生きた暦の人生が報われた気がして、少しだけ心が軽くなりました。

    本書だけでも十分読み応えはありますが、同時刊行の2作品を併せて読むことで、物語の世界観がぐっと拡がります。
    是非、セットで読むことをオススメします。

  • 私はもう1個の方が好き
    ちょっと並行世界とか時間移動とかの仕組みが難しい

  • 僕が愛した〜と同じで、並行世界設定のお話。それぞれの話が少しだけリンクしている。やっぱり物足りなさは感じる。
    170918

  • 『僕が愛したすべての君へ』と同時刊行。どちらも同一主人公ながら平行世界で別々の物語となっている。どちらから読んでも問題ないが本書から読むことをおススメ。本書を書店で見かけたときタイトルと表紙絵からライトノベルだと思っていたがライトノベルのレーベルではなかったので興味本位から手に取った。内容は本格的なSF。とても面白かった。本書はタイムスリップの過酷さをもう一冊は平行世界の儚さと幸せの意味に想いを馳せることになるだろう。
    あらすじ(背表紙より)
    人々が少しだけ違う並行世界間で日常的に揺れ動いていることが実証された世界―両親の離婚を経て父親と暮らす日高暦は、父の勤務する虚質科学研究所で佐藤栞という少女に出会う。たがいにほのかな恋心をを抱くふたりだったが、親同士の再婚話がすべてを一変させた。もう結ばれないと思い込んだ暦と栞は、兄妹にならない世界へ跳ぼうとするが…彼女がいない世界に意味はなかった。

  • ただただ切ない。先に「僕が〜」を読んでいたため、ハッピーエンドがあることを知っているが、本作の舞台の世界ではそれが無いという事実が切ない。

    「僕が〜」と比べると、SF的要素がかなり増したと感じるのは、本作の主人公の持つ目的の大きさが原因だろう。「僕が〜」の世界とは大きく異なる立ち位置に置かれ、必死で世界を取り戻そうとしている。「僕が〜」で登場するヒロインは、今作ではヒロインという形としては登場しないが、所謂腐れ縁とも少し違う、これまた切ない役どころで登場する。自分と長い付き合いの周囲の人を見て、ひょっとしたらこいつとの関係が全く違う世界もあるのかな…と考えてみるのも楽しいかもしれない。

    並行世界を行き来した際の矛盾を感じる描写もややあるが、気にせず読める。

  • 同時発売された「僕が愛したすべてきみへ」の次作というより、「ループ作品」なのかもしれません。
    「すべてのきみへ」で撒かれていた様々な「ふせん」が回収されると同時に、様々な新たなる「ふせん」とも言えない疑問が湧き上がるからかもしれません。
    こちらの方がマニアックなのか、中盤からどんどん引き込まれます。
    それは前作を読んでいるからかもしれません。
    後半は、ループ作品への入り口です。
    ここにつながる、繋がってほしいとやきもきします。
    最後の疑問は、もうひとりの主人公「和音」の行方がどこだったのか?
    私は038の、あの時のと思うのですが・

  • いやぁ、なかなかうまい作りだなって思った。

    一冊読むだけなら単純なファタジー恋愛なんだけど、2つ読むことによって、それぞれの並行世界の展開がうまく重なっていて更にもう一回読んでみたくなりました。

  • 出張に行くと、その土地出身の作家のものが読みたくなる。今回は大分。小野不由美もあったが、折角なのでこちらを購入。

    表紙やタイトルから、もっとライトかと思ったが、「並行世界」の考え方や、もう一冊のバージョンとの話が組み合わさって、面白かった。

    「僕が愛した〜」と一気読み必須。

  • 話としては悪くないんだけど、ストーリーの枠組みをどうも理解できないまま終わってしまった。

  • 平行世界のお話。科学の話はともかく、主人公が目指すものがよく分からない。2冊同時刊行らしいので、もう1冊を読んでみると少しはすっきりするのかもしれない。
    2017/5/21

  • ヤバイ。久し振りに素晴らしき小説に出会った。
    幸せ。

  • よかったー!これはいいなぁ。読み終わったあと「僕が~」のエピローグを読んだのだけど。これがいい。名乗るほどのものではありませんわ。
    自己を否定して否定して否定して、否定しつくして得られた想像する最大の幸福は達成された。いってしまえば死に様を探す物語なのだ。その場で絶望して死んでしまったところで、主観的には大して違いはない。それでも死に様を模索するのは、ひとえに俺が愛したたった一人のためなんだろうな。根本的には悲しい事なのだけど、「僕が~」の話全体のお陰で幸福に昇華されている。
    人に進んで勧めていきたい本。

  • 僕が愛した〜から先に読みました
    感動

  • 「僕が~」の解答編ともいえるかもしれない。
    「僕が~」で分からなかった部分について補足されている。

    まさか、あそこで分岐した並行世界だとは思わなかった。
    一人の想い人のために生涯を費やしたのはすごいと思う。自分には出来ない。
    「君を~」から読めば、「君を~」の暦の努力の結果として読むことができたのかもしれない。
    「僕が~」にあった幸せそうな空気もなにもなくて、ただただ救われなくて辛い。
    最後の最後で和音は救われたのだろうか?
    並行世界も、もしかしたら繋がっているのかもしれないと思った。

  • どっちから読むかで印象が変わるってレビューをたくさん見たけど、本当にその通りだと思う。
    とは言え、先に読んでしまった方への思い入れが強くて、反対に読んだ場合、どう思うか想像できないけれど…。
    僕の~、から読んだ私は、切なくて辛く感じた。
    もう一度、僕の~を読もうかな。。

  •  SFでパラレルワールドを題材にした話は大好きだ。

     藤子不二雄でパラレルワールドの自分が全員集まってパーティーをやる話とか、
     一番好きなのはノエインってアニメ。幼馴染が死んだ世界からやってくる自分の話とか。

     さて、今作もパラレルワールドが題材だ。そして二冊の独立した話になっている。
     順番はどちらから読んでも構わない。でも、読んだ順番で印象が全然違うと思う。


     一人称が”僕”の高崎暦は幼いころの両親の離婚で母親についていった。
     ある日、不思議な体験をする。祖父の葬式の日、家にいたはずが気が付いたら透明な蓋のある箱の中に入っていた。
     外には見知らぬ女の子、箱から出してもらうと彼女は逃げてしまった。
     母親に電話してみると、車で迎えに来てくれた。家に帰ると、死んだはずの祖父が出迎えてくれた。

     一人称が”俺”の高崎暦は幼いころの両親の離婚で父親についていった。
     父親は研究所の職員で、俺はよくその研究所に訪れていた。そこには見知らぬ女の子もいた。
     ある日、父親から飼い犬のユノが死んだことを告げられる。離婚前はよく遊んでいたのに、母の実家にいたユノとは全然会っていなかった。
     ユノに会いたい。
     そんなとき、研究所の女の子は言った。この研究所にはパラレルワールドに行ける機械がある。ユノが生きている世界に行けばいいよ。
     蓋のついた箱に入り、ユノがいる世界を願った。気が付くと、俺は母親の家にいて、ユノは俺にじゃれついてきて、祖父の葬式の最中だった。


     一方の”僕”は何事もなく平和に過ごして一生を終える、
     一方の”俺”は失くしたものを取り返すために一生をかける。

     僕が愛したのは全ての可能性、
     俺が目指したのは可能性の滅失。



     かなり構造が複雑な小説で、理解するために読後に考えた。
     栞を失った俺の精神が時間を遡って、栞と俺が出会う可能性を潰す。つまり、母親についていく事実を確定させる。
     それが八月十七日午前十時。

     その同時刻の僕は交差点にいて、栞の幽霊に会う。しかし、その時間に俺が母親についていく事実を確定させた瞬間に、栞の幽霊はいるはずがなくなる。
     その世界は存在するはずがないため、僕の端末は”ERROR”が発生した。

     ”俺”の終章幕間では交差点の幽霊の存在はするが、栞の記憶を失い、それは栞ではなく、六十年後の八月十七日を待つただの情報になった。

     という理解でいいんだろうか。

  • 複雑な設定を卑近な例に例えて伝えるのが上手い。なんとなくわかった気になる。作品としては完結してない感じがあるので評価は同時刊行の僕が愛したすべての君へを読んでからすることになりそう。

  • 前作よりも物語に起伏がある分、好みは分かれるかもしれない。私はこっちのほうが好みだなぁ。ただのハッピーエンドじゃないところがいいなあ、と。
    2冊でテーマが対になっていて、上手く出来ているなと感じた。(細かいツッコミが入りそうな展開の粗さはあったが)セットで読んで良かったと思う。

  • ■ 1697.
    <読破期間>
    2016/11/30~2016/12/5

  • 人生をやり直したり
    やり直そうとしたり
    そのために
    あがきもがくことが
    エゴ以外のなにものでもないことを
    思い知らされる。
    自分の生きる世界の
    たった一度の人生を
    大切に歩むことの尊さを
    思い知らされる。

  • 同時刊行の『僕が愛したすべての君へ』

    を読んだあと続けて読破。

    SFを読んだのは久しぶりだったけど、

    緻密なストーリーに引き込まれて
    一気に読みきってしまいました。

    この本を買った書店のPOPに

    『僕が愛した~』から読むと切ない気持ちになり
    『君を愛した~』から読むと暖かい気持ちになる

    と書いてありました。

    あまり書くとネタバレになるのでやめておきますが、

    まさにPOP通りだなぁと(>_<)

    ただ、
    この本の世界観が本当にあったとしたら

    『君を愛したひとりの僕へ』から読んで

    暖かい気持ちになっている

    平行世界の自分もいるのだろうか

    とか、考えてみたり(笑)

  • こちらから読んだ方が良かったな...。ゲームでいうと栞ルートのお話。栞はメインヒロインというかエアリスだったのか。
    「僕が~」を先に読んだからか和音びいきになってしまっていて和音を妥協策にすんな!和音は暦のどこが良いのさ!とイラっとはします。
    和音はサイコロを愛せる気質で暦は面を愛する気質だったと言うことなんですかね...。息子亡くした世界の行動もああでしたし。

    暦の日常があまり描かれない分、人間味が薄いわりに言うほど狂人とも思えませんでした。14歳までの人生を伸ばして生きてるようなものだから薄いのは当然なんでしょうが「薄い」ところを読みたかったなあとは思います。

    時間移動しても出会ってしまうかも、というところで移動後自殺する気かなーやだなーと思ったらもっと平和で気が長い話でした。研究者ってそんなものかしら。
    高校中退でコネとはいえ研究員(のちに所長へ)というのが実際やってけるものなのかが疑問なんですがさかなクンみたいな一点特化型ならアリなの?

  • こっちもなかなか。

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