華氏451度 (ハヤカワ文庫 NV 106)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150401061

感想・レビュー・書評

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  • 大丈夫だよレイ・ブラッドベリ!

    そう言いたい
    大丈夫だと思うな〜

    活字文化は死なない
    ブラッドベリが危惧するのもわかるし
    確かにこの作品が書かれてから現在に至るまでゆっくりと活字文化が衰退してるのはいるんだけど
    中学校の数学の反比例を表すグラフのような0を目指して急降下!みたいなことにはなってないし

    もちろん過度な楽観論によって様々な悲劇を生み出しているのが人類の歴史でもあるんだけど

    活字文化は死なない

    ブクログがある限りw

    本好きたちの魂は華氏451度でも燃え尽きない!
    (なんかいい感じ風のこと言った!)

  • この本をこの歳まで読まずにきてしまったことを激しく後悔。まったく、いつだって読もうと思えば読めたものを、何やってたんだかなあ。感動しすぎて感想が書けない。

    何かのポスターにタイトルが使われているのを見て、久しぶりに読んでみようか、と。
    初めて読んだときほどの胸の高鳴りはないけれど、より深く、静かに心に沁みこんでくるものがあり、やっぱりいいものはいいなあ。

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/TW00064953

  • NHK紹介で読む。テレビに脳を支配される時代はネットの衆愚社会と通じる。映画でみたときはわからなかったが、本がなぜメディアとして残されるのか考える機会になった。

  • 「本が燃える温度」、あまりにも生き急いだ人類が失いつつあるもの…。


     徹底した思想管理体制のもと、書物を読むことが禁じられた社会。禁止されている書物の捜索と焼却を任務とする「ファイアマン」のモンターグは、偶然出会った女性クラリスの影響で、本の存在を意識し始める。テレビのままに動く無気力な妻リンダの空虚な生活と違い、クラリスは本に熱意を持っていた。・・・・・・

     テレビに支配されて思考も思想も失った妻たちとクラリスの対比から、主人公が気づき、変わっていく様子が面白かった。

  • 言わずと知れた名作。

    今見ると未来の姿に違和感を感じることもあるが、楽しめました。

    この本の凄い所は、極端すぎる部分もありますが、充分起こり得る未来を寓話的に表現している事だと思います。

    「今年の流行は白だ」と言われて、考える事もなく取り入れ、不倫が何故悪なのかを考えた事もないのに断罪する。本を読む事もなく、自分に無関係な事はそもそも真剣に考えた事もない。

    こういった人はいつの時代も一定数いましたが、情報が多すぎて、もはや自分で考えることもなく「答え」がある現代では少しずつ増えている気がします。

    これが、悪い事だとは思いません。企業にとっては、こうゆう人こそ扱い安く、学校でもそう教育してる傾向にあります。
    人間がトラブルもなくみんな仲良く生きて行くには、いい意味でも悪い意味でも突出した人間など必要ないのでしょう。

    ただ今後も増えていけば、この本の世界はすぐそこにある未来なのかもしれません。

  • む〜…
    色々な本におすすめ本として出ていたのだが、正直、それ程のものを感じなかった。

    焚書の物語。市民には過去の知識を学ばせず、映像と音声に浸らせておく社会。楽しければ良いであろう。何も考えずに政府の方針に従うがよろしい。その方針に少しずつ違和感を思える焚書官。それでいながら、焚書官のボスは多くの本を読んでいるに違いないほどの博学。突然戦争が始まり、全ては破壊される。地下に隠れていたグループが再び新たな社会を目指して…

    作者が書いた当時、これからの社会がどの様な方向に進み、それがどの様な結末を迎えてしまうかについての示唆・恐れについては十分に感じとられるのだが、それに至る展開が自分にはあまりにも唐突すぎる…

  • 60年前に書かれた管理洗脳国家。
    国民はすべて制御され、子孫を残すことさえ人工授精を理想する。1984年は25年前だけど、ここに書かれているような国家は21世紀でも、多少なりともあると思う。
    自由ってなんだろう?
    思想ってなんだろう?
    思考ってなんだろう?
    楽しみってなんだろう?
    恋愛はどうだろう?
    友情はどうだろう?
    義務と権利ってどうだろう?

    情報がセーブされた社会は恐怖を覚える。同じ管理国家を描いたザ・ミャーチン『われら』と読み比べると、過去の同時期に未来を警鐘する作品がある。

  • SFの名作ということで購入した。
    レイ・ブラッドベリの華氏451度は本が禁止されている近未来。持つことも読むことも許されない。主人公のモンターグはそれを取り締まるファイアマン、焚書官として働いていた。火の色は愉しかった、という冒頭からもあるように、モンターグは焚書という行為を心から愉しんでいて、一分も疑いなく職務を全うしていた。しかしクラリスという隣家の少女と出会うことにより、彼は混迷の道を歩み始める。

    クラリスにミルドレット(妻)との冷え切った関係を見透かされ、動揺するモンターグだったが、彼女が物事の本質的な部分をついているのだということに気付く。ミルドレッドは三面の壁に張られたテレビ画面に夢中だ。いつも「海の貝」と言われる超小型ラジオにばかり耳を澄ませている。そこにクラリスの指摘した愛情に由来するものが存在することができるわけもなかった。

    モンターグがいつものように仕事に向かう。緊急連絡が入り、ある老女の家で書物が見つかり、それを焼却すべく同僚たちと共に現場に向かった。本を燃やしていく過程で、老女は本と共に命を断つべく石油の中にマッチを落とす。どうしてそこまでして書物に囚われるのか、モンターグには不思議でならなかった。そのときから彼は書物の魔力に取り憑かれることになる。

    焚書、という言葉の意味を検索すると、「書物を焼却する行為。通常は支配者や政府などによる組織的で大規模なものを指す」(Wikiより)と出てくる。あいにく日本の現代社会においてそのような野蛮な行為をする人間はいないだろう。本当に行為に及んでしまったら放火事件となってしまう。しかし歴史的にもナチスや奏でも起こった行為だ。未来社会だけではなく現代でも他国では行われているのだろう。

    書物というものは映像や音声記憶媒体のように情報を後生に残すためのものである。しかし書物自体は人間同士のコミュニケ―ションと同様、あまりにも不備が多く優れた媒体とは言えないだろう。それは昨今の映像化文明を見れば言うまでもないことだ。どれだけの人が画面を見つめ、映像に見入って、ダイレクトな情報を得ているか。映像は人に目に映ればまるでその場にいるような錯覚すら起こせる。人を魅了するのだ。

    太古の時代、書物もそういった面があったことだろう。大昔の人間と対話できる手段でもある。ページをめくり、思索にふけりながら、語りを聞くことができる。現代においても書物が波及している様を見れば、書物自体ある種の魔力を持っていることは否めない。

    華氏~の中で描かれる画像文明においては、ずっと人間と対話もせず(本書の中では妻ミルドレッドとモンターグの冷え切った関係)幸福を享受することができる。これは画像文明VS活字文明という対比の中で、画像の即時的、簡略化された情報を享受する、ということを批判しているだけではないと思う。書物も充分にミルドレッドが魅了されている画像文明と同様の要素を持ちうるからだ。(省略された情報源という意味で)

    それよりも、情報を享受し快楽に耽る思考停止状態の人間たちVS思索を行う哲学的人間という対比の方が合っているように感じた。レイ・ブラッドベリがこの本を通して警鐘を鳴らしたかったものは何なのか、考えさせられるところもあるが、華氏451度はエンタメとしても充分に楽しめる作品であった。
    追い詰められるモンターグ、彼の思索、彼に出会う人々、その交流、そこから得られる知見は興味深いものであった。

  • <閲覧スタッフより>
    【SF文学諸作品】
    国内外のSF小説黎明期から現代まで、定番を中心に様々な作品を集めました。中には映画化されたものもあります!お気に入りの一冊を探してみてください。

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    所在記号:文庫||933.7||フレ
    資料番号:10093942
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著者プロフィール

1920年、アメリカ、イリノイ州生まれ。少年時代から魔術や芝居、コミックの世界に夢中になる。のちに、SFや幻想的手法をつかった短篇を次々に発表し、世界中の読者を魅了する。米国ナショナルブックアウォード(2000年)ほか多くの栄誉ある文芸賞を受賞。2012年他界。主な作品に『火星年代記』『華氏451度』『たんぽぽのお酒』『何かが道をやってくる』など。

「2015年 『たんぽぽのお酒 戯曲版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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