縮みゆく人間 (ハヤカワ文庫 NV 129)

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制作 : 吉田 誠一 
  • 早川書房 (1977年1月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150401290

縮みゆく人間 (ハヤカワ文庫 NV 129)の感想・レビュー・書評

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  • 放射能に汚染された海水を浴びたことで一日に七分の一インチづつ縮んでゆく男が一インチまで達したところから物語が始まる。最後の一週間を描く合間にだんだん縮んで行く過程を回想する。

    現在パートでは自宅の地下室に閉じ込められ身長一インチ(約2.5cm)となり蜘蛛や猫に襲われ、水や食料の確保に苦難する。自分が消えてなくなる恐怖とそれでも生き続けようとする意志との葛藤の中、自分よりも大きくなってしまった蜘蛛を倒すことに意味を見出していく。

    一方、回想パートでは背が低かったはずの妻と並び、子供に間違われ、さらには娘よりも小さくなっていく。仕事ができなくなり家族を養えなくなる。妻より小さくなり男としての尊厳を失っていく。子供に間違わられても対抗できないためその状況を肯定するしかなくなる。娘よりも小さくなって父親として認識してもらえなくなる。さらに、ニュースとして取り上げられ見世物としてさらされる。また、体が小さくなるに連れて膨れ上がる性欲を持て余すようになる。

    物語は縮む原因は謎ではなく、なぜこの男は地下室に閉じ込められたか、また、妻と娘は現在どうしているのかといったことが謎となっている。また、最後は消えてなくなるのか、または、元に戻れるのかといった興味で引っ張っていく。

    蜘蛛を倒し最後の日を迎えたが、次の日にも目をさましていた。ゼロになるのではなく、さらに小さくなっていくことを発見した。

  • 最後はそう書くかと思ったが、途中の小さくなる過程での
    娘の友だちへの興味の仕方が面白く読めた。
    結局このまま彼が小さくなれば分子・原子・素粒子への世界へと
    行くのだろうか。

  • ある日を境に体が縮み始めてしまったスコット。周りからは好奇の目で見られ、医者に見せたところで縮む速度は変わらない。そして自宅の地下室が居場所になってしまった。そこにいるとは最愛の妻や娘でさえも知らなかった。飢えや喉の渇きに加え、7本足のヤツとも戦わなければならない。全世界となった地下室からスコットは脱出できるのだろうか。もとの世界へと帰ることができるのか。__あらゆるものが時間を追うごとに自分の背丈よりも大きくなっていき、自分の存在が消えてしまうのではないかと不安に苛まれていたら......当然のように、卑屈になったり、おかしくなるはず。人間の内面をうまく捉えている作品だと思う。崩れてしまうような希望でさえも、一縷の望みと行動するさまは人間の本能が突き進めるものなのだろう。表紙に描かれているものを読み終わってから見直すと、スコットの行動に感服させられる。

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