海軍提督ホーンブロワー (ハヤカワ文庫 NV 172海の男 ホーンブロワーシリーズ 10)
- 早川書房 (1978年5月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (495ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150401726
感想・レビュー・書評
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終わりました。全10巻。途中で最後の「海軍提督ホーンブロワー」が見つからなくて(本棚の下に倒れてました)、ちょっと寄り道をしましたけど、一気に読み上げました。
初出が「パナマの死闘」の1937年、シリーズ最後の「砲艦ホットスパー」でさえ1962年の作品ですから、このシリーズが世に出て既に68〜43年経っていることになります。日本では内容順に紹介され、その初出が1973年の「海軍士官候補生」ですから、それからでもすでに32年経っています。イギリスで書かれた小説が、70年近くを経て未だに日本で出版され続け、さらに本土イギリスで作られたテレビシリーズが放送(NHK/BS)され、DVDが売り出される。まあ、それだけでも凄いことです。ましてこのシリーズは「海洋アクション」と言う、日本には馴染みが少なく、ファン層が薄い分野なのですから。
『古典的名作』と言っていいでしょう。
もともと歴史を背景に置いた作品は、陳腐化が遅く、長寿命を保ちやすいのだと思います。そしてこの小説の最大の読ませ所は主人公・ホーンブロワーの魅力です。なんとも自省的で、常に思い悩んでいるくせに、一旦決断すると恐れを知らず突き進む。冷酷で孤高の艦長を装いつつ、端々に思いやりが出てしまうために、部下や水兵に人気が高い。自分を臆病だと思いながら、戦いに当たっては常に先陣を切る。航海の始めには船酔いになってしまう。そんな等身大の英雄の魅力です。こうした主人公の魅力という普遍的なものが中心にあることも、長寿命を保っている理由なのだと思います。
しかし一方、小説はどうしてもそれが生れた時代(70年前)の世相をも反映しており、この本でも女性の取り扱いや小説作法といったものにそれが現れ、その領域では陳腐化しつつあります。
私がこのシリーズを最初に読んだのは昭和50年前後のようです。当時大学生。それこそむさぼるように読んだ記憶があります。何度も読み返し、友達にも薦め、このシリーズに続く「ボライソー・シリーズ」にも手を出し。。。。
今回、本当に久しぶりに読み返しました。ストーリーもほとんど忘れており、それなりに新鮮に、楽しく読み返せました。しかし、当時のような熱狂とまでは行きません。それはやはり著作された時代とのギャップによる陳腐化が影響していると思います。
とは言え、未だ第一級のエンターテインメント作品であることに変わりは無いと思います。この領域に興味を持たれる方は是非ご一読ください。昨年ハヤカワ文庫から新装版が出されたそうです。
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提督万歳!
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Hornblower in the West Indies
海の男ホーンブロワーシリーズ第10巻。原作第9巻
読んでみて、是とするか否とするかは読み手しだいです。 -
(06.06.29読了)