鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫 NV ヒ 1-19)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (614ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150408343

感想・レビュー・書評

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  • “たとえどのようにいわれようと、彼は、勇気のある立派な軍人であった“

    もちろんかの悪名高きナチス・ドイツにもいたのです
    誇り高く、勇気があり、友情に厚く、公平で、命に真っ直ぐな人物が

    そしてもちろん『鷲は舞い降りた』は冒険小説の歴史に燦然と輝く名作でした

    3人の主人公とも言えるドイツ落下傘部隊長クルト・シュタイナ中佐、アプヴェールZ部第3課課長マックス・ラードル中佐、IRAの兵士リーアム・デヴリン、この3人がとんでもなく魅力的で、心を鷲掴みなわけです鷲だけに(いらないやつ)

    特にシュタイナ中佐はもうめちゃくちゃに格好良くて部下たちが彼のために命を投げ出すのを有無を言わさず納得させられてしまうわけです

    またラードルの苦悩とそれによって浮かび上がるヒムラーとゲシュタポの不条理な残忍さ

    デヴリンが出会う真実の恋と別れ

    もう怒ったり、笑ったり、泣いたりと大忙しなわけです

    人の持つ全ての感情を揺さぶる名作、それが『鷲は舞い降りた』なわけです

  • 著者、ジャック・ヒギンズさん、どのような方かというと、ウィキペディアには、次のように書かれています。

    ---引用開始

    ジャック・ヒギンズ(Jack Higgins, 1929年7月27日 - 2022年4月9日)は、イギリスの小説家。本名はヘンリー・パタースン (Henry Patterson) 。

    第二次世界大戦や、イギリス対アイルランドの紛争を題材にした冒険小説を得意とする。

    ---引用終了


    で、本作の内容は、次のとおり。

    ---引用開始

    鷲は舞い降りた!ヒトラーの密命を帯びて、イギリスの東部、ノーフォークの一寒村に降り立ったドイツ落下傘部隊の精鋭たち。歴戦の勇士シュタイナ中佐率いる部隊員たちの使命とは、ここで週末を過ごす予定のチャーチル首相の誘拐だった!イギリス兵になりすました部隊員たちは着々と計画を進行させていく…使命達成に命を賭ける男たちを描く傑作冒険小説―その初版時に削除されていたエピソードを補完した決定版。

    ---引用終了


    ジャック・ヒギンズさんは、チャネル諸島ジャージー島に住居を移し、作品を書き続けたそうです。
    そのジャージー島、ウィキペディアには、次のように書かれています。

    ---引用開始

    牛のジャージー種の原産地であり、また衣類のジャージの語源になったといわれている。アメリカ合衆国のニュージャージー州の州名もこの島に由来する。

    ---引用終了

  • 戦争映画が好きだった。小学生高学年だった、懐かしの海外テレビドラマ『コンバット』が夕方再放送されるのを、学校から一目散に帰ってきて食い入るように見ていた。友達同士の合言葉「チェックメイトキング2~こちらホワイトロック!」トンプソン短機関銃もM1カービンもそれで覚えた。時を同じくして海外の戦争映画も釣られて見ていた。「トラ・トラ・トラ!」「戦場にかける橋」「史上最大の作戦」「バルジ大作戦」「レマゲン鉄橋」「戦争のはらわた」etc…

    そんな中にこの「鷲は舞い降りた」があった。当時としてはナチスドイツ軍が主役である、ということが驚きであり信じがたいことであった、なにぶんその程度の感想しか持ちえず、その後様々な情報を得て不朽の名作であるという事実は知りえていたものの、原作を読むのはこれが初めてであった。

    語る言葉はない、というかその言葉を選択するにあたり思いつくものがない。欧米圏では、男子たるもの読むべしなるスタンダードのようである。何もかもが素晴らしい、様々な立ち位置の人々が一つの目的のために結集する。それぞれの胸に去来するものも得るものも違うのだが、それぞれの仕事を立派にやってのける。戦時であり思うようにならない出来事をなんとか形に成し遂げようとしていく。ドイツ軍にかかわる皆が己の仕事に誇りを持って成し遂げる。完璧に思えた作戦が破綻する様、そこに戦争の本質を見る思いがした。敵も味方も同じような父であり息子であり、恋する若者であるのだ。かくて絶望的ラストとなる。

    それでも不可能を可能たらしむ為の、それぞれの戦いの緊迫、そしてロマンスまでも詰め込み、その悲劇さえラストを彩る色の一つと化してみせる構成、さらにこれほど多くの名セリフを持つ作品は他にないだろう、総じて「不朽の名作」に嘘偽りはなかった。

  • カッコいい!
    出てくる人、みんな、カッコいい!

    第二次世界大戦中の1943年秋ドイツ、東部戦線の失敗・イタリアの敗北で戦況は悪化するなか、イギリス首相のチャーチルをイギリス本土から誘拐する計画が持ち上がり、ドイツ軍落下傘部隊の精鋭たちが……。

    この小説は「歴史小説」ではない。
    チャーチルは誘拐されていないし、ドイツは1945年春に降伏する。
    ましてや、この物語にある事柄はどこにも記録されていない。
    だからと言って「架空戦記」というわけでもない。

    歴史とは「紙もしくはそれに準ずるものに書かれた事柄をもとにして推測され、広く認められた過去の出来事」
    「記録されていない(認められていない)こと」が「なかったこと」と同じではないところを、作者は物語の構成で巧みに活用し、「作者自身が取材し集めたレポート」として、巻頭と巻末に挿入することで、とたんに登場人物たちの物語の実存性が高まる。
    「もしかしたら、本当にあったかもしれない…」、こう思わせてしまうことですでに作者は成功している。

    当時珍しい“ドイツ軍兵士が主役”ではあるが、当然にこの物語も映画化された。
    監督は「OK牧場の決闘」「荒野の七人」「大脱走」などで知られるジョン・スタージェス。

    この物語も、カッコいい人満載!
    ほんと、感想は「カッコいい」に尽きる!

  • 冒険小説の古典的名作.

    物語は,歴史に埋もれた驚愕の出来事の手がかりを,作者であるヒギンスが発見する1章で始まり,ヒギンスが主人公たちの後日談を知る20章で結ばれる.
    劣勢が明らかになってきたドイツ軍が「チャーチル誘拐計画」を立案する.ここに一癖も二癖もある主人公たちが巻き込まれてゆくのだが,ステレオタイプの「ナチ」的な人物は1人もおらず(いや,主人公たちの”邪魔をする”のはヒムラーやSSをはじめとする典型的な悪党なのだが),彼らはみな血が通った普通の格好いい人たちとして描かれている.オルガンが特技だったり,バードウォッチングが趣味だったり,溺れた地元の子供を助けたりするのだ.

    チャーチルが誘拐されたことはない,ということは後の世に生きる我々は知っている.従って,作戦が失敗することは我々みんなが知っているのだが(しかも,とんでもない失敗だったことが20章で明かされる),しかし,プロットの巧みさと,登場人物たちの魅力が,本書を腐朽の名作としている.

  • 2019/11/2読了。
    若いころに読んだものを久し振りに再読。
    「どぶの中で時折、靴にくっつくものだ」「暑い日にはとくに不快なものだ」
    いずれ誰かに使ってみたいセリフである。いや、ああいう局面でこういうセリフを使える者になりたいと思わせてくれる作品である。
    確か初めて読んだ若いころにもそう思った。さすがにこれと同じセリフを使ったことはないが、近い局面で似た態度を取ったことはその後の人生で何度かある。他人がそういう態度を取るところも何度か見かけたことがある。いま再読して思うのは、ヒギンズすげえな、ということである。

  • 長かった。。読みごたえアリ。
    夏休み直前に読了。

  • 英国のチャーチル首相を拉致するため、クルト・シュタイナ中佐率いるドイツ軍落下傘部隊の精鋭たちが、綿密な作戦を遂行する、という冒険小説。

    シュタイナ中佐、IRAのデヴリン、参謀のラードル中佐など、魅力的な人物目白押し。そしてスピーディーかつスリリングな展開で読み応え十分。

    佐々木譲は、解説で、「わたしは『鷲は舞い降りた』に打ちのめされ、圧倒されますその強い影響下からいまのジャンルの小説を書き出したのだ。」と語っている。佐々木譲の一連の小説読まなきゃ!

  • 「考える人」の定期メールから。ハードボイルド。

    ・おれが心底から愛しているモリイ。かつてある偉大な人間がいったように、おれはある時期に人間が変わり、以来、二度と元のおれに戻れなかった。おれがノーフォークへきたのは、ある任務を果たすためで、もっと利口であるべきはずの醜い田舎娘と、生まれて初めてで、最後の恋をするためではなかった。今頃は、お前は、おれの正体を知っていることと思うが、なるべく考えないように努めてくれ。おれにとって、お前と別れることが、すでに充分な罰なのだ。だから、そこでおしまいにしようじゃないか。短かったが、楽しかった。リーアム。

  • 最後が衝撃すぎる
    人は何故戦うのか

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