ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ (ハヤカワ文庫NV)

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制作 : John Le Carr´e  菊池 光 
  • 早川書房 (2006年5月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (582ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150411183

ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ (ハヤカワ文庫NV)の感想・レビュー・書評

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  • 2010年6月、海外メディアはロシアの美人スパイの話題で持ち切りだった。米国の国家機密を盗もうとした容疑で逮捕するまで、FBIは彼女がロシア対外情報局と連絡を取り合う場面を数ヶ月にわたって監視。その様子は本作の作者、ジョン・ル・カレの小説にそっくりだったとか。

    そんなことで興味を持ったのが、カレ氏の最高傑作と呼ばれる本作(を含む三部作)。

    主人公スマイリーは、くたびれた中年おやじといった見た目なのにかっこいい。若いヒーローには負けない魅力がある。その理由は、組織の中に潜む「もぐら」の存在を無味乾燥とした膨大な書類から炙り出すという地味で困難な仕事を、一歩一歩確実にこなしていくからだ。その整然とした思考と態度に魅せられる。

    とはいえスマイリー氏は、頭脳明晰だけど機械のように冷徹な人間、ではない。愛人と逃避している妻への思いや悩みがヒシヒシと伝わってくる。この人間くささも魅力だった。

    内容が濃くページ数も多いため、解説で池上冬樹さんが書かれているように「読んでも読んでも終わらないのだが、その終わらなさが嬉しくなる。[中略] この文章の稠密さ、語りの粘り強い周到さに、あらためて驚嘆する。逆にいうなら、いまあまりに軽い(時にせっかちで薄っぺらな)語りの小説が幅をきかせているからだろう。」


    難点が一つ。それは文章中に代名詞(彼/彼女)が多いのに、それが誰を指すのかわかりづらいこと。舞台や時間が頻繁に変わるのに、主語がわからないと場面の把握ができません。私の読解能力が低いだけかと思ってましたが、似た点を指摘している人がいるので一応。


    2010年10月現在、続編の『スクールボーイ閣下』『スマイリーと仲間たち』が新品で入手し難い状況にあります。スパイ小説の金字塔と呼ばれる本シリーズが気軽に買えないのは非常に寂しい。

  •  英国情報機関〈サーカス〉にもぐら(=スパイ)がいる。主人公たるスマイリーは、膨大な資料と証言をもとに、スパイをあぶりだしていく…という物語です。
     単に資料を見て、「あいつ怪しいな」と思っていたらスパイでした、というような小説ではありません。スパイであろう人間に対する、矛盾した感情の葛藤、スパイに関連してしまった人間たちの苦悩、そういったもろもろの人間性が、この小説には表れているように思われます。
     1点減点した理由は、あまりに構成が精緻すぎて、私には追いつけなかったという点です。もっとも、これは私自身が減点されるべきなのかもしれませんが、非常に読んでいて疲れる作品ではありました。また、これはおそらく訳の問題であるとは思いますが、日本語が変な部分があります。そこら辺は気にせず、読みすすめることをお勧めします。あと、人名には注意を払うべきです。

  • 老いた元スパイ、ジョージ・スマイリーを主人公とするスパイ小説三部作の第一作。
    魅力的なキャラクター造形、緻密な物語構造、説得力のある設定の揃った、完成度の高いエンターテイメント小説。謎の解けた開放感と虚脱感、そして哀愁の漂うラストも心地良い。タイトルをはじめ、暗号名のつけ方もいちいち洒落ていて、思わず口ずさみたくなってしまう。

  • 私のオールタイムベストです。新訳は誤りが多すぎ。

  • スパイ好き。器物破損・通行人に大迷惑、現地妻多発できると思ってたら、目立たなく地味でいやーな仕事なんですね。見ろ、人がゴミのようだ。映画もおすすめ。BBCのドラマもいつか見たい。

  • 訳に癖のある部分があるので(特に会話の鈎括弧部分などで、英語の直訳になっていて、日本語としては意味がよく分からない箇所がある)そこにさしかかったら気にしないようにするのが吉。
    最初は登場人物が何について議論しているのかもよく分からないのが、読み進めて事の全体が見えてくる事で納得できる。
    それでもかなりややこしい話だけど、読みごたえあります。

  • 「裏切りのサーカス」を観て原作が読みたくなったのだが、新訳版は評判が悪いようだったのでこちらで。
    スチール製の本棚のような印象の小説。
    これを機にスマイリー三部作を読もうと思う。

  • 映画『Tinker,Tailor,Soldier,Spy』の原作ということで読みました。ル・カレ作品を読むのは初めてで独特の文に慣れるまでは辛いと感じましたが、重厚で読みごたえのある作品の世界にどんどん引き込まれていきました。よくあるエンタメ作品のようにさらりと読むのではなく、丁寧にじっくり読むのがいいなぁと思います。わかりにくいと感じる人は映画のサイトを参考にするのがおすすめです。このシリーズは絶版状態みたいでそれだけが悲しいです。

  • 完敗である。主人公のジョージ・スマイリーには、いかなる作家も及ばない「スパイ」としてのリアリティがある。プロット、キャラクターともに間然とするところがない名作。久しぶりに再読し、またもル・カレ熱がぶり返しそうだ。ヤバイ。

  • ゲイリー・オールドマンで映画化すると聞いて、先走りました。
    原作がある映画作品は、先に映画から見て原作を読んだほうが先入観もたなくていいと思うのに、待ってられなかった…!

    スパイ小説の傑作。
    緻密すぎるストーリーと慣れない文体に読むのに苦労しましたが、第3部に入り、題名にもなってる“鋳掛け屋、洋服屋、兵隊”の暗号名が出てくる場面からぐいぐい面白くなります。
    私が阿呆で事件の全体像があやふやなので、もう一度最初から読んでみたいです。

    英国のスパイと言ったらボンドなわけですが、こちらのスマイリーは派手なアクションをこなすのではなく、膨大な情報の中から真実を掴みあげていく、ある種探偵であり役所の人間みたいなスパイです。
    うーん、これが本来のスパイの姿なのかな。国のために働いてるという点では公務員と変わりないのだけど、ね。

    映画化にあたり、過去、現在、空想願望が入り乱れるこの描写をどう映像化するのが気になります。

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