ファイナル・ターゲット (下) (ハヤカワ文庫 NV)

  • 早川書房
4.04
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150412807

感想・レビュー・書評

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  • 今回の陰謀の全体像が明かされる。その中でヴィクターはプロフェッショナルらしく振る舞い、難局を乗り越える。連続するアクションは小気味良く、最後まで読書に一息もつかせない。悪者は無慈悲に倒され、物語から退場する。ちょっと最後があっけないかなと思うが、そこにたどり着く前にお腹一杯になっているので、最後はデザート的な余韻で楽しんだ。

    心に残ったシーンは、ヴィクターが生き延びるために断腸の思いで女を裏切りろうとしたが、結局は女を救うための行動をさせるところ。ハードボイルドだなぁと感じた。女にとって厳しい行動には違いないのだが、客観的には男の優しさであることが分かる。格好いい物語でした。

    続編も読みたい。翻訳してほしい。

  • モサドに追われ補足され闘って逃げ切ったところで終る。このシリーズの続きは出ているのだが翻訳されていない。あまり売れなかったのかな?残念。

  • 白熱したアクションの連続でスパイ/冒険小説ファンを熱狂させた「パーフェクト・ハンター」に続く暗殺者ヴィクターシリーズ第2弾。目紛るしい活劇を終始展開した前作より、ややテンションは抑え気味だが、その分プロットを充実させている。といっても臨場感溢れる戦闘シーンは流石で、緩急をつけて繰り広げるダイナミックな闘いはシリーズ一番の魅力であり、非情な暗殺者の世界を描くことにおいては他の追随を許さない。

    裏社会で巨大な権力を牛耳る国際的武器商人らの弱体化を謀るCIA幹部が、抗争の火種となる暗殺をヴィクターに依頼する。拮抗する勢力同士に潰し合いをさせることで非合法の武器市場を矮小化する狙いだが、当然のことバランスを崩し亀裂の入った武器ディーラーらは血で血を洗う報復合戦に突入。ヴィクターは「…ハンター」で作ったCIAへの〝借り〟を返すために暗殺をこなしていくのだが、敵は全て殺しのプロ集団であり予測不能な状況下での実行は困難を極める。さらに依頼主は一枚岩ではなく、「味方」陣営の裏切りによって退路を断たれたヴィクターは、孤立無援の戦いの中で次第に消耗していく。

    研ぎ澄まされた高密度の闘いを描写するウッドの筆致は益々冴えている。本作ではヴィクター自身のロマンスも排し、あくまでも自らのルールに従って「仕事」を全うしようとする暗殺者のストイシズムを深化させている。ラストシーンでのヴィクターは、まさに〝ぼろぼろ〟になるまで憔悴し切っており、続編が気になるところだが、第3作はいつ出版されるのだろうか。このシリーズ、本国では既に第5作まで発表されている。早川書房よ、「グレイマン」ばかりに力を入れるのはやめて、早く続編を出して欲しい。

  • 過剰なまでにストイックで己れの哲学を貫くプロの暗殺者ヴィクターの孤独な闘いを描いた傑作冒険小説。

    続編となるとパワーダウンする作品も多いが、この作品は違う。明らかに前作よりもハードで、スピード感が増している。

    ストーリー展開も見事であり、終盤にヴィクターのロマンスが描かれ、ハッピー・エンドかと思われるのだが… もし、そうだったら、つまらぬ作品だったろう…

    CIAに利用され、次々と危機に陥るヴィクターの孤闘… 本当に最後の一行までハラハラさせてくれる。

    第三作の翻訳が待ち遠しい!

  • 面白かった。なんか緊張感がこんなに続くとは思ってもいなかったので、すごく楽しめました。

  • パーフェクト・ハンターに続く「ヴィクター」シリーズ第2段。相変わらずの疾走感、抜きつ抜かれつのスリル感と、見方が誰なのか全くわからない混沌の謀略感が混ざって、極上の冒険小説に仕上がっている。

    スティーブン・ハンター一連の作品が好きなら絶対はまると思う。ハンターの場合戦闘描写がもうちょい濃密な分スピード感を落としてる(っても、十分早いが)感があるけど、こっちシリーズは濃密さをちょっと薄めて(っても、十分濃いが)グイグイ急いでいく感じ。

    次回作に続けて行くため終わり方は中途半端、ストーリーも前作を読んでいないとCIAとの関わり等分かりにくい部分があるので、刊行順に読むことをお勧めします。

    早く次作を読みたいぞ!

  • プロ暗殺者ヴィクター第二弾。CIAから依頼された仕事を行うが、CIAに騙される。どんな危機が迫っても切り抜けるところが興奮させられる。期待を裏切らない作品。

  • 便利に利用されるだけ利用され、最後には消されるのだろう展開から、どう主人公が脱却し、再びフリーランスに戻れるかのかということが本作のテーマであろうなと思って読み進めたのだが、未だ話は終わり切っていない状態で、少々、尻切れトンボ的に話がおわってしまう。本来、交わる筈のなかった某国スパイ組織との因縁も生じ、ターゲットたる武器商人との結末もないため、第3作に繋がっていくのだ取ろうなと思われるのだが、単独な話としてはもう少し話の区切りが付いていた方がすっきりしたのではないかと思う。

  • 下巻に入ってもサスペンスは継続。誰も信じることができないまま、結末の舞台、ブルガリアへ。

    これだけの冒険小説がコンスタントに読めるとは、うれしいですね。

  • 今回はターゲットがその都度変わり、それと並行してストーリーも徐々に拡がりを見せる。敵対するギャング組織や水面下での裏切りなど、いろんな線が複雑に絡み合い、もつれたところに更に別の線が結びつき、結果的に事件の規模は巨大なものになってくる。その絡みの中にヴィクターは放り込まれる。

    前作では非の打ちどころがなかったヴィクターだが、CIAの下請けとなった今回は、予想外の展開で窮地に陥るシーンも出てくる。またターゲットとなる悪役キャラが多すぎるので、ヴィクターが前作ほど冷酷なスナイパーに見えないという印象も強い。

    全体の完成度は前作を上回っているが、色んな要素が多すぎる。ムダとは思わないが、もう少し数を減らした方が圧縮感があって締まって見えるのでは。とりあえずリピートしてみよう。

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