GATACA(上) (ハヤカワ文庫NV)

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制作 : 平岡 敦 
  • 早川書房 (2013年5月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150412838

GATACA(上) (ハヤカワ文庫NV)の感想・レビュー・書評

  • フランス発、狂気渦巻くサイコサスペンスシリーズ2作目。刑務所で自ら動脈を指で引きちぎって自殺した殺人犯。その独房に描かれていた上下逆さまの風景画の秘密とは…?コワイよ…

  • レビューは下巻にて。

  • その道の研究者ほどこだわりのない、しかしながら勉強熱心な作家の作品は素人にとって宝物みたいなものだと思う。
    読みやすく、こだわりを押し付けられることもなく、しかも適度に教養が身につく。

    ティリエの小説は名前だけちらっと聞いていたけれど読んだことがなかった。これはいわばかれの4作目にしてジョイント2作目らしい。
    1作目では男性の警視を、2作目では女性の警部補を主人公にして作品を発表し、3作目で両者をジョイントさせた物語を作ったらしいから。
    最初の序文で作者自身が、しかしながら単独でも楽しめるとは言っているけど、確かに前作がひじょう~~に読みたくなるとはいえ、確かに独立はしている。

    物語はさすがのフランス作品で、不眠、暴力、同性愛、虐待、不倫・・など、現代の病巣オンパレードだ。
    でも、そこに上手に男女の機微を織り交ぜて、しかも退屈させずにうまく誘導している。
    文章が超絶、というのではないのだが、場面転換と2名の主人公たちのスイッチが程よくうまく作用して、飽きない。


    ちなみに作者による序文がなかなか見所一杯なので簡単にご紹介。

    『チャールズ・ダーウィンはあるとき文通相手から、マダガスカル原産の蘭をもらった。距(花びらやがくのつけねにある管状の突起部分)の長さは25センチから30センチもあり、基部には蜜がたまっている。けれどもダーウィンの知る限り、それほど深くにある蜜を吸える蝶はいなかった。だとしたら、どうやって受粉は行われるのだろう?受粉がなされなければ、この蘭はとっくに絶滅しているだろうに。そこでダーウィンは考えた。マダガスカルにはこの距の底にある蜜を吸えるほど長い吻菅を具えた蝶がいるはずだと。
    はたしてそれから41年後、その蝶が発見されたのだった。蝶にはダーウィンの予言を称えて、“キサントパン・モルガニ・プレディクタ”という象徴的な命名がなされた(プレディクタは「予言」の意)。
    わたしはこの驚異的な発見に感銘を受け、物語のモチーフになるだろうと思った。』

    昔指導教官から、人と同じインプットを得ても、それをどう展開するかがその人の価値だと諭されたことがある。

    あたしはたまに、この言葉を思い出す。そうして今でも励まされたりする。
    インプットの量は有限かもしれない。時間がないことだってある。でも、なんでもないことから何かを生み出すことができるのが人間の想像力のすごさなんだって思う。

    このエピソードを聞いて、この物語を読んだとき、このインプットからここまで・・と、アウトプットの深さと広がりに感動した。
    人って本当にすごいんだなぁ。

    他の人がふーん、と簡単にすますことに、この人はこだわり、考え、これだけの作品を作ったのだ。
    材料と素晴らしい料理を同時に見せ付けられた気分。

    いやいやなかなかの、秋の夜長の、極上読書。

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GATACA(上) (ハヤカワ文庫NV)の作品紹介

人類の進化が、ヒトの遺伝子が、この連続殺人の犯人なのか? 鬼才が放つ超絶スリラー

GATACA(上) (ハヤカワ文庫NV)はこんな本です

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