ピルグリム〔2〕ダーク・ウィンター (ハヤカワ文庫 NV ヘ 18-2)
- 早川書房 (2014年9月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (399ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150413125
作品紹介・あらすじ
たったひとつの電話傍受記録を手掛かりに、トルコへ飛ぶ伝説の諜報員〈ピルグリム〉。そこで彼を待っていたのは? はたして悪魔の計画は阻止されるのか?
感想・レビュー・書評
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つまりは第2巻です
『ピルグリム』とは名前のない男に与えられたコードネームでした
ふと『I am Pilgrim』という原題が目に留まる
うん、知ってたよ、『ピルグリム』って主人公のことに決まってるじゃん!なんだろう?なんて一瞬たりとも思わなかったよ(認めない人)
はい、物語はじっくりコトコト進みます
第2巻が終るところでもまだ『ピルグリム』はテロリスト〈サラセン〉と顔を合わせていません
3,000kmくらい離れてます
少しずつ少しずつ距離を詰める第2巻なんですが、不思議なスピード感に包まれています
じっくりコトコトなのにダレない
この不思議さは回顧録のように語られる文体とかなり頻繁にはさまれる「後になってこれが○○なことだと分かる」という表現にあると思います
つまり一々「これは伏線ですよ、後で効いてきますよ」って注意書きがされているようなもので、「えっ?どうなるの?」っていう興味がページを捲る手を早めさせるんですよね
でもね、これがあまりに多いんです
ちょっとやり過ぎじゃない?ってくら多いんです
こんなにやったら読者は最後のどんでん返しを準備万端で待ち構えちゃうんじゃんって
なのでここまでやる理由は次の2つのうちのどちらか、あるいは両方ということになります
・読者が準備万端待ち構えていても全く問題ないくらいの超弩級のどんでん返しが待っている
・頻繁に貼られた付箋は目眩ましで、読者が気付かないよう巧妙に隠された超弩級の伏線が存在する
どちらにしても超弩級な何かが待っている第3巻へGo!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
第2巻に突入!『サラセン』のテロ計画を知ったアメリカの国家情報長官は、テロを阻止するために引退した諜報員の『私』を指名する。そして、過去も名前も捨てた『私』に与えられた暗号名は『ピルグリム(放浪者)』であった…
第2巻になり、いよいよ『ピルグリム』が本格的に動き出し、ドキドキするような展開が続く。テロの実行を着実に進める『サラセン』と僅かな手掛かりから少しずつ『サラセン』に迫る『ピルグリム』の対比描写がスリルを煽る。また、二人の描写に加え、様々な伏線や枝葉が単調になりがちなストーリーにスパイスを効かせている。 -
改めて、ストーリー構成の緻密さに驚く。まるで映画の脚本をト書き無しで一々文章化した様な描写力(彼は著名な映画脚本家でもあった)。そしてここまで細かく書けば、物語が中々進展しないのもうなずける。かと言って、退屈を感じさないのは、作者の力量でしょう。
とにかく、あの悪夢の9.11同時多発テロでの身元不明の死者を使って自分の存在を消すという冒頭のトリックは素晴らしい。本書自体も惨劇からまだ日の浅い2012年に出版されているのも驚異的。 -
サラセンは、三人の虜囚で遺伝子操作で強化された痘瘡ウィルスの効果を試した。結果は成功したが、遺体を処分した直後に、捜索隊が発見。サラセンは辛くも逃走したが、バイオテロの企てが発覚。アメリカは、追跡に「私」を送ることに。唯一の手がかりは、たった二回、トルコの公衆電話とサラセンの通話記録。
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5月-6。3.5点。
細菌テロの計画を阻止しようとする主人公。
「ピルグリム」(放浪者)というコードネームで活動。
トルコで発生した、或る殺人事件の捜査を装い、潜入。
最大規模の細菌テロを防げるのか。
スピード感上がってくる。孤独なテロリスト「サラセン」の行動は賞賛に値する。
3巻に期待。 -
いやー面白い。
ところどころ、過去の事件に戻ったりするのでわかりにくくなったり、まどろっこしくなるのだが、きっとすべては一点に集約されるのだろうと期待をこめ、星は四つ。 -
「わたし」から「ピルグリム」になった主人公が「サラセン」の手がかりを追い始め、スパイものっぽくなってきた。
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いよいよサラセンが動き出す。そしてそれに気が付いて〈死のささやき〉が手を打つ。タイトルのピルグリムがここで分かる。1巻が序章であって本格的にここからピルグリムとサラセンの勝負かと思って読んでみたが、まだいろいろ伏線?があるようでこの巻はダッジの殺人事件の捜査の話がほとんどだったように思える。もちろんその事件がこの先大きな謎につながっていくのだから不要な箇所ではないと思うが、サラセンの動きをもう少し知りたかった。それでも読み応えは十分にあった。さてこの話がどのように終焉していくのか、3巻目が楽しみ。