- Amazon.co.jp ・本 (640ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150413439
作品紹介・あらすじ
1954年、イギリスの名門パブリック・スクールで学ぶ14歳の気弱な少年ジョナサンは、同級生ばかりか教師にまでいじめられ、つらい日々を送っていた。しかしある時から、クラスで一目置かれる一匹狼のリチャードと仲良くなる。二人が親密になるにつれ、ジョナサンをいじめる悪童グループの仲間が一人、また一人と不可解な事件や事故に巻き込まれていく…彼らにいったい何が?少年たちの歪んだ心を巧みに描いた幻の傑作。
感想・レビュー・書評
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1950年代に英国の全寮制パブリック・スクール、
カークストン・アベイ学園を見舞った奇怪な事件について、
真相を知ると称する者との面会が叶ったティム・ウェバー。
長時間のインタビューを録音し、記事にして、
ジャーナリストとして脚光を浴びたいと願うティムだったが……。
――ということで、
枠内の物語=来訪者が語ったこと=が、
三人称のあっちこっち移動しまくる視点で綴られた長編で、
非常に読みにくかった。
中身は20世紀半ばの厳格な規則に縛られた寄宿舎で起きた
悪質ないじめに端を発した、いくつかの異様な出来事について。
純真な被害者と、彼を庇う立場のクールな美少年が
報復のためにウィジャ盤を持ち出す話で、
タイトル The Wishing Game は、
この西洋版こっくりさんに由来。
それ自体は読みごたえがあるものの、
超常現象と思われた事柄に
後から科学的な説明が付されて解決するミステリかと思いきや、
オカルトのまま終わってしまったので拍子抜け。
また、繰り返しになるが、
短いスパンで視点がコロコロ切り替わるので読みづらいし、
セリフの末尾にも「!!」や「?!」が多くて、
全然耽美的な雰囲気ではなかったため、
期待を裏切られた気分。
14~15歳の男子って、あんなに子供コドモしてましたっけ?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
戦後間もないイギリスのパブリックスクールでのお話。
600ページ弱あるのですが一気に全部読んでしまいました。そのくらい引き込まれます。ブロマンス好きな方には特にオススメです。
主人公格2人以外の登場人物の心理描写も事細かに描かれていて、この物語に登場する人物それぞれがなにか秘密を抱えていて、破滅していきます。誰が主人公になってもいいくらい内容が濃いです。
あの日ニコラスが体調を崩していなければ、ジョナサンが教科書を忘れなければ、リチャードが答えを教えなければ、、といくらでもたらればが並べられるほど2人の関係はいくつもの偶然によって作り上げられたと思います。
ただリチャードのジョナサンに対する常軌を逸した執着は最終的には拒否されてしまい、リチャードも執着していたのはジョナサン自身ではなくジョナサンを通してお母さんを見ていたのか、それともお母さんのような自分がいないとダメな人間、つまり自分を必要とする人間をリチャード自身が必要としていただけなのかなぁと切なくなってしまいました。
救いのないお話ですが不思議と読後の後味の悪さはありません。 -
復刊ドットコムで投票した者の一人です。めでたく復刊しました。多くの方に読んでもらえたらなと思います。ページ数・また文字数も多いですが、きっとはまりだしたらすいすい読めると思います。
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イギリスの全寮制の男子校を舞台としたホラー。閉塞的な生活の中での鬱屈、不満、いじめ、その中で育まれる友情…この思春期の同性同士の限りなく恋愛感情に近い憧れとか嫉妬は、確かにあると思う。
前半はいじめられっ子のジョナサンに孤高の美少年リチャードが手を差し伸べ、2人の仲が急接近していく。今まで自分がジョナサンの一番の親友だったのに…とやきもきするニコラスの気持ち、すごくわかる。ニコラスは最後の最後まで良い奴だった。リチャードがいじめっ子や意地悪な先生に一泡吹かせるシーンは胸のすく思いでした。しかし、後半になるにつれどんどん雲行きが怪しくなって行き、終盤破滅に向かって突き進んでいくリチャードが痛々しく、つらかった。どうにか救われてほしいと願ったけど、結局周りの大人たち含む全員が不幸になってしまった。これも、霊応ゲームで呼び寄せてしまった「何か」の呪いだったのだろうか。
なんとも悲しい物語だったけど、面白かった。 -
リチャードとジョナサンは引き離してカウンセリングを受けさせよう。と台無しなことをついつい考えながら読んでしまった。ヤンデレBLて自分には向いてないかも?
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絶版を嘆き、本を求めて古本屋を訪ね歩き、復刊ドットコムに投票し、再販を待ち望んでいたうちの1人だが、今回約10年ぶりに読み、改めて打ちのめされた。というかこんなに救いのない物語でしたっけ…?こんなに悲しみに満ちた物語でしたっけ…?でも閉塞感の中で生まれ、育まれていく世界をとても愛しているので、パブリックスクールホラーの傑作として後世に読み継がれてほしい。来世わたしはパブリックスクールの柱に生まれ変わるから、リチャードは優しさに包まれた世界で愛と幸せを両手にもって生きてほしい…切に…切に。
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再販ありがとうございます!
復刊ドットコムで投票し、いつかはいつかは、と首を長くして待っていたかいがありました。
練り込まれたプロット、重々しくも狂気を孕んだ空気。それに蝕まれていく学園という閉鎖空間と校長夫妻。
だれも幸せになれない結末には何度読んでも悲しくなりますが、何度も読み直してしまうだけの魅力ある作品です。 -
おススメしてもらった本で、予備知識で読みました。
とても怖いと同時に風景の美しさが感じ取れる物語でした。
主人公二人が理解しあったシーンは本当にきれいで音まで聞こえてくるようでした。
英国パブリックスクール+ホラー。でもそれだけでは済まされない
感情で感情を殴るような激しさや学園ものならではの人間関係のもつれ、最後には大きな謎が残ります。
読みながら登場人物たちと同じ時間を過ごし、最後はぶん殴られ静かに幕が下りる、そんな体験をした気分です。
ストーリーテラーがあのキャラクターだったのか!という気づきがあって大変読みごたえがありました。
あれ説明してくれ!という部分があるので☆4かなぁ。 -
俗にいうサイコパスを題材にしたミステリ。貴志祐介の「悪の教典」を思い出す。平穏な学校生活。些細な出来事が、様々な悲劇が起こす呼び水になる。イギリスのパブリックスクールの雰囲気を味わうには世界が限定的で甘くない。殺伐としているかも。