電撃戦 (ハヤカワ文庫 NF 185)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (508ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150501853

感想・レビュー・書評

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  • ヒトラ-の出現からダンケルク陥落までの、ドイツ国防軍の機甲部隊と急降下爆撃機による “ブリッツクリ-ク(電撃戦)” と呼ばれた、1940年5月の対フランス戦の全貌を精緻かつ臨場感溢れる筆致で描かれた、レン・デイトンの戦史ドキュメント。 ・・・〝ヒトラ-の没落を招いた種々の要因の第一は、彼のユダヤ人に対する謂れのない憑かれたような憎悪である。科学の分野に限って言えば、ユダヤ人迫害によって、切実に必要としていた軍事技術を失った。ナチ体制が反ユダヤ政策をとらなければ、恐らく1930年代末頃までには、何らかの核弾頭とそれを運ぶV-2ロケット弾を持つに至ったことだろう。登いうわけで私は、ヒトラーが反ユダヤ政策をとらなければ、彼は世界を征服したかもしれないと考えるのである〟(122ページ~123ページ著者主観)

  • ヒトラーの台頭からフランス降伏までのドイツ軍の電撃戦(ブリッツクリーク)を考察した図書。本書ではドイツ軍で行われた電撃戦は対フランス戦だけだったとしている。またその電撃戦も連合軍のもたつきがあって成功したようなものだった。勝手にドイツ=電撃戦というイメージだったが、全期間というわけではなさそう。

  • 電撃戦の内容を読んでもこんなのが画期的だったの?と思ってしまうかも知れないが、第一次大戦前の戦術等を軽くおさらいしておくとより楽しめるかも知れない。旧ドイツ推しは必読の書。

  • 第二次世界大戦前夜、ヒトラー・ドイツは機甲部隊と急降下爆撃機による特異な戦術を編み出した。
    ブリッツクリーク(電撃戦)と呼ばれた作戦こそ、ドイツに緒戦の大勝利をもたらす近代戦術の劇的な転換点となる。
    デイトンはその本質を1940年5月のフランス戦に見出し、軍事テクノロジーの飛躍的発展とドイツ独自の軍事発想を詳細に検討、電撃戦の全貌をいきいきと描破した。
    精緻かつ臨場感あふれる歴史ドキュメントの傑作
    (あらすじより)

    第一次世界大戦までは歩兵部隊が主役だった。
    塹壕を掘り防衛線を築いての銃撃戦。
    騎馬兵や歩兵の突撃を防ぐ鉄条網。
    塹壕を潰すための砲兵部隊の砲撃。
    初歩的な空中戦。

    末期になるにつれ、ガトリングガン(これより前は単発式銃)の登場、毒ガス兵器の投入など泥沼化していく。

    で、塹壕と鉄条網を踏み潰すために登場したのが戦車。
    鈍足、鈍重、大砲もなく、サスペンションも無い。
    砲撃と対戦車砲の餌食となり、その戦術的価値は低く評価され大戦は終わった。

    しかし、敗戦国のドイツは戦勝国が慢心する中、密かに研究を続けハインツ・グデーリアン少佐(当時)が高機動の戦車を主力に自動車によって歩兵と兵站を補給しつつ、爆撃機によって火力支援を受けて爆進する戦術を生み出した。

    第二次世界大戦の緒戦は旧来の考え方に固執するフランス、イギリスは大敗。
    迫りくるドイツの機甲師団にダンケルクまで追い詰められる。

    有名な「ダンケルク撤退」だ。
    ここで機甲師団の温存に走ったヒトラーの「停止命令」によりダンケルク撤退は成功(イギリスの決死の救出作戦もあり)し、その後ドイツは敗戦への道を進み始める。

    ドイツは(その思想は肯定しないが)優秀な指揮官と兵器がたくさんあった。
    フランスは劣らぬ軍事力を持ちながらポンコツな首脳陣によって惨敗した。

    結局、組織はそれを動かす意思決定者の優劣によって成果が大きく変わる。
    無謀でもダメ、臆病でもダメ。
    なんとまぁ難しいことか。

  • 訳:喜多迅麿、原書名:BLITZKRIEG(Deighton,Len)

  • 2003.1.24~ 2.11 読了

  • 「Blitzkrieg: the Rise of Hitler to the Fall of Dunkirk」の翻訳(1994/11/30発行)。

    プリッツクリーク(電撃戦)と云われたドイツの機甲戦ドクトリンについて、第2次大戦開戦前から1940年の西方戦役までのことについて書かれた書籍。

    本書は、ドイツの機甲部隊が誕生した理由や、当時陸軍大国とされていたフランスが何故、呆気なく敗北したのかなどについて詳しく説明しており、面白いエピソードも紹介されています。 特に面白かったエピソードは、侵攻してきたドイツ軍が現地フランスのガソリンスタンドを利用し、燃料補給していたと云うもので、本書で初めて知ったことも有り興味深く感じました。 

    著者がもともと作家なためか、かなり読み易く書かれています。 そのため事前知識無しでも、サクサクと読み進められますので、どなたにもお勧め出来る良書だと思いました。

    只、個人的には少し物足りなさが感じられましたので、もう少しボリュームが欲しかったと思います。

  • ナチスドイツ軍の戦術である電撃戦についてのノンフィクションと思って買ったのですが、いきなり第一次大戦の終盤から始まりました。ヒトラーの権力収奪と長いナイフの夜の話しが出てきて驚いた。電撃戦を理解する為にドイツの軍隊についてと以前の戦法などについての記載もあります。
    フランス侵攻作戦を中心に電撃戦をルポしています。戦車保有数で上回るフランスが当時画期的な戦法である電撃戦で敗北してゆく様子がよくわかります。旧態依然のフランス軍の惨状と不甲斐なさに苦笑してしまいます。

    面白いんですが、なんか物足りない気がするのはなんでだろうか。
    文庫本ですし触りとして読むにはいいと思います。

  • 「電撃戦」概念の始まりからその頂点である1940年のフランス侵攻作戦までを描く。電撃戦の虚像と実像がありありと描かれており、謬見が修正させられます。

  • 「学問のススメ」という早川文庫の帯(キャンペーン)にやられ購入。
    学者ではなく、作家が書いた作品なので、読みやすい。
    バリバリの戦闘シーンしかないような武勇伝モノ・軍事モノではなく、「ヒトラー政権が成立した政治過程」からの作品で、非常に良作。

    WW2初期において、敗北したフランス戦車より、有名なドイツ戦車の方が技術面等で不利な時期があったとの見解は、意外であった。

    前半は、ヒトラーが権力掌握していく過程
    後半は、グデーリアンが電撃戦を運営していく様子
    と言う構成。

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