博士と狂人: 世界最高の辞書OEDの誕生秘話 (ハヤカワ文庫 NF 306)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150503062

感想・レビュー・書評

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  • OEDが出来上がるまでの秘話。特に統合失調症で殺人を犯し、精神病院に収容されていたマイナー博士の人生にはいろいろ考えさせられた。
    もし彼が人を殺さなければ、もし病院で過ごさなければ、OEDにここまで深くかかわることはなかっただろう。
    発病しなければ優秀な医者として働き、OEDにかかわる暇はなく、無名のまま(しかし幸せに)死んでいったかもしれない。
    こういう運命の皮肉はたくさんあるのだ。多分私たちの人生においても。
    辞書というものがそもそも「ない」状態からどうやって作るか、辞書と植民地支配の関係、南北戦争の実態など初めて知ることも多かった。
    ドラマチックな内容だが、決して筆を走らせず、資料から分かることを膨らませ過ぎない著者の書き方にも好感をもった。

  • 一気に読み終わった。
    とある偶然があって、主人公の遺品が手元にある。こんな偶然が無くても「事実は小説よりも奇なり」を地でいった本書は、読むものを離さない。
    OEDについて多くの記述を期待するのは筋違い。これはある奇特な篤志編集者の奇妙な伝記です。

  • ノンフィクションだから、さらに面白い人生のはなし。
    辞書を作ること、精神病のこと、マイナー博士のこと、三つの柱で展開されていく物語は思わず読み進めてしまう面白さです(*^^*)

  • 40万語以上の見出し語を収録するオックスフォード英語辞典編纂にまつわるお話。
    ノンフィクションならではのリアルさはあるものの、自分は「舟を編む」の方が好きだな。

  • 七十余年の歳月を費やして編纂された世界最大の英語大辞典(OED)。謎の協力者の数奇にして痛ましい人生。殺人者を許す妻。交差する博士と狂人の人生と変わらぬ友情。やがて関係者は全て世を去り不朽の名作だけが残る。事実は小説より奇なりの言葉が相応しい物語。ただ挿絵のマイナー博士の部屋が私の下宿の部屋に似ているのには苦笑。

  • 2011.10.10. おもしろかった!最初は、なかなか読み進むのが大変だったけど、中盤からページを繰るのももどかしくて。人生って、ドラマチックです。ふたりの出会いの奇跡を作ったのが、旦那を殺された奥さんだったとか、本当に事実は小説よりも奇なり!って、思う。

    2011.06. 言語学の先生がオススメしていたので。

  • 実話とは思えない大きなプロジェクトとそこに関わる人々の人生の奇妙さが凄いです。

  • OED(オクスフォード英語大辞典)編纂指揮者とそれを支える一人の篤志閲読者に焦点を当てたOED製作ドキュメント。
    一方は貧しい家に生まれながらも努力で学識を得た聡明な学者のマレー。もう一方は名家出の戦場医師でその戦争経験から精神に以上をきたし、殺人犯となった囚人のマイナー。後者は監獄の中で指定の文献を読み込み膨大な数の見出し語(出自や用例を加えたもの)をオクスフォードに提供していた。その仕事ぶりは他の篤志閲読者に比類のない分量と正確さがあった。

    小説としてもおもしろそうな設定で・・・実際は設定ではなくまさに「現実は小説より奇なり」というようなノンフィクションなのだけど、以上のような情報は裏表紙のあらすじで既に把握しており、読めど読めど、そのあらすじで感じた興味の域を出ないまま終わる。というのはやっぱりこの、設定が、もとい、この作り話めいた奇跡的な事実が、それだけで十分なインパクトを持っていて、一連のストーリーを追ってもそのインパクトを補い余る何かがあるわけではないせい。
    と、いうような批評は結局小説じゃないのだからどう考えても的外れなのだけど、どうしても退屈な印象になってしまってなんだか残念。

    それにしても辞典作りは骨の折れる仕事です。マレー博士のほうが発狂しなかったのが不思議なぐらい。

  • ネットもTVも電話もおろか、辞書すらもなかった時代の物書きや政治家はすごいな。辞書がないとか、考えたこともなかった。電磁辞書じゃなきゃ重くて持ち歩きにくいし使いにくいとか思っててごめんなさい。辞書すばらしい。ありがとう。

  • 世界最大の辞書、オックスフォード英語大事典(OED)の編纂作業にまつわる嘘のような逸話。<br />編纂主任を務めるジェームズ・マレーと、彼に膨大な量の用例を送り続け、辞典完成に大きく貢献した篤志協力者W・C・マイナーの2人をめぐる物語である。<br /><br />ジェームズ・マレーはイギリスの貧しい家に生まれながら独学で数多くの言語を習得し、OEDの編纂に関わることで、歴史上最高の言語学者といわれるまで上り詰めた。<br /><br />その一方でマイナーはアメリカの裕福な家に生まれながら、戦争のトラウマからか精神を病み、若年性痴呆にかかる。戦中に命令で焼印を押させられたアイルランド人を極度に恐れ、自分が常にアイルランド人に命を狙われているという妄想にとらわれ続け、その果てに無垢の男を銃殺してしまう。<br /><br />そんな2人のそれぞれの物語と、2人の出会い、そして辞書の完成への道のりが、辞書に関するうんちくなどを交えて丁寧に説明される。<br /><br />ノンフィクションの傑作。

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