ノーベル賞受賞者の精子バンク: 天才の遺伝子は天才を生んだか (ハヤカワ文庫 NF 330)
- 早川書房 (2007年11月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (442ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150503307
感想・レビュー・書評
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蠱惑的(こわく)
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ひょえー
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IQの高い男性の精子を扱う精子バンクの話は以前「世界まる見え!テレビ特捜部」で見たことがあった。なにぶん子供の頃に見た番組のことなので記憶が曖昧だが、内容はなんとも無邪気なもので、精子ドナーのプロフィールはカタログ化され、まるでカタログショッピングでもするかのように精子が注文できるかのような触れ込みだった、ような気がする。少なくとも、ヒトラー的な優生学の暗い熱情を想起させるようなモノは無かった。単に、顧客の嗜好にマッチするような商品を集めた結果が、IQ130以上のドナーの精子だったという風情。実際、精子バンクの品質競争は商品の性質上そこに帰着せざるを得ないわけで、むべなるかな、といった感もある。しかしながら、本書がフォーカスする「レポジトリー・フォー・ジャーミナル・チョイス」はちょっと違う。レポジトリーはノーベル賞受賞者の「優秀な」遺伝子を世に広げることを目的としていた。そこには、人種改良の意図があった。レポジトリーが為したのは育種学的試みであった。そんな歪んだ精子バンクの末路を描いたのが本書である。精子バンクの子供達と母親のインタビューからなるドキュメンタリは興味深かったが、精子バンクについての総括は予定調和的なもので、一冊の本としてはややまとまりに書ける印象だった。面白そうな題材を扱っているだけに、ちょっぴり残念。
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11月23日購入