繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150503888

作品紹介・あらすじ

世界は確実に良くなっている! 豊富な資料と圧倒的な説得力で悲観的な未来予測を覆す

感想・レビュー・書評

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  • 早川書房公式ツイッターで紹介されていたので購入。
    ああ、ありがとう>早川書房公式ツイッター
    「人類の未来」について述べている書籍のほとんどが、『悲観論』に満ちあふれている。書店にはありとあらゆる悲観的な未来についての情報で満ちている。でも、本当に未来は悲観的なの?明るい未来は来ないの??ってなんとなーく思っていたのが腑に落ちる本が見つかった感。そう、こんなのが読みたかったね。歴史をたどれば人類が、いかに発展してきたのか。現在の自分の生活を百年前のエリート層と比べて、二百年前の上流階層と比べて、三百年前の王侯貴族と比べていかにすばらしいか。人類は、『交換と専門化』これによっていかに進歩に進歩を繰り返してきたのか、そして、現在の社会はますます『交換と専門化』を推進している。このままいったら大変だーじゃなくて、このままですむわけないでしょと!
    技術により困難が生じても、技術がもっと進めばその困難は解決できるんじゃないかなあ

  • 本書によると、人類とその他の生物の違いは分業化からくるイノベーションにあり、そのおかげで例をみない繁栄ができたとある
    本書の細部がどこまで正確かは議論があるとは思うが、
    全体像としては極めて正しいと思う
    未来に対して楽観主義過ぎる様にも見えるが、
    イノベーションに制限を加えない前提においては、
    正しいのだと思う
    ところで、本書の視点で日本を見ると怖くなる
    世の中的に先端の研究開発していると見られている
    企業ですら分業が下手で突出した個性を活用できない
    (問題意識はあるのでまだましだが・・)
    教育、特に初等教育は更に悲惨で問題意識すらなく
    分業のアーキテクチャーを構想できる人材や
    分業化において突出した能力をもつ人材を
    徹底的に排除しているようにしか見えない
    この国がどうなってしまうのか心配・・・

  • 以前から興味持っていた本だが、文庫になったのをきっかけにようやく通読。
    大書で読むのに時間がかかったが、これは面白かった。

    人類が他の動物と異なり、ここまで繁栄してきた理由は、ハイエク云うところの「カタラクシー」が拡大し続けたからだそうだ。
    カタラクシーというのは、交換と専門化によって自発的に起こる秩序のことを示すらしく、要は人間一人、個体だけでは出来ないことを、集団として乗り越えてきたことが他との違いを生み出したらしい。
    冒頭に出てくるハンドアックス(握斧)とコードレスマウスの写真、形と大きさはそっくりだけど、中身・成り立ちは全く異なる。
    ハンドアックスは一人の人間が石を砕き削って作ったものだが、マウスは多くの人間が自分の専門に特化して作った部品を組み合わせたもの。
    この違いである。

    自給自足で暮らしていた狩猟時代の人類には繁栄につながる進歩がなかなか発現しなかったのだが、農耕が発達して食物と道具を作る人の分業、そしてそれを広めることになった交易の発展が様々な成果を組合せて新しい物を創りだす独特の文化が産み出された。
    言わば人類は集団的頭脳を持ったのだと言うのだが、それこそが人類を劇的な進歩に導いたというのが本書の最大の趣旨。

    様々な例を取り上げ本説を論証しているのだが、日本が鎖国時代に交易を制限し、多くの農民が自給自足に戻っていったことが進歩を著しく妨げたという論考だけにはちと首を傾げた。
    ただ本論を農耕や交易の発展、人口増加、発明、奴隷制度、悲観主義との比較などに当てはめて幅広く考察しているところは独特な切り口も多く、特に悲観主義に関する章は秀逸。
    どの時代でも新しい潮流に対して悲観的な見方ばかりが強調されてきたが、その殆どは人類の取組と大げさな見込み違いで良い方向に進んできている、つまり繁栄は続いてきているのだという。
    確かに第二次世界大戦の悲劇、AIDSの蔓延、核戦争での絶滅など、散々言われてきたことは多いのだが、何とか乗り越えてきたのが人類の歴史であり、繁栄は続いてきているのだと。

    最後の章では悲観主義の最も大きな対象である二つの事例、アフリカの発展と温暖化を取り上げ、これについても楽観的に考えるべき根拠を唱えている。
    それこそが引き続き人類の繁栄に繋がっていくという結論。

    ニュースや世の言論を見ていると、確かに悲観的な未来ばかりを予想させる話が多く、将来に対して漠然とした倦怠感が漂う気分になってしまうのだが、そんな気分を経験的に論理的に打ち破る助けをしてくれるのが本書である。
    今まで読んできた本とは異なる、不思議な清涼感を読後に味わうことが出来た。

  • 人類が交換と専門家により繁栄してきて、そしてこれからも繁栄は続いていく。
    世界は絶望に向かう悲観論に注目されがちだがこれまで予測されたものは大きく外れている。
    むしろ予測に反して世の中は良くなっており貧困や病気、環境問題、エネルギーなど改善されてきている。
    少し楽観的な主張は強いと感じたが全体的に世界が良い方向に向かっているのは間違いないと思う。
    昔は良かった,というフレーズはここ最近ではなく何千年も前から言われているが、実際全体の数字で見ると世界の問題は確実に解決されてきている。
    人間は昔(というか恐らく自分が若い時代)とネガティブ論が好きなだけでそれに現実的で数字や根拠を用いてツッコミを入れている本。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/768049

  • 分業と交換。
     

  • ヒトの繁栄は,その社会全体で分業(専門化)と交換.
    繁栄=時間の創出
    時間に余剰が生まれることで,さらなる価値創出の機会が生まれる.これを繰り返して人はどんどん幸せになる.

    テクノロジーにとっての交換は遺伝子にとっての生殖に値.

    確かに,昔の生活を思えば,生活を維持するのに必要なコスト(1日のうち他者に貢ぐ時間)は減っているように見える.
    周囲の人間はその余暇を無に使っているような気がするが


    利己的な遺伝子やファクトフルネスとも親和する内容であり自然科学(生物,進化,環境...)と社会科学(経済,政治,経済史,歴史...)を縦横無尽に横断する良作.
    これは手元に置いておいて読み返したい一冊.

    読書スタミナがなくて後半は読まずに返却.リベンジする

  • 2015年展示「これからお金の話をしよう。」

  • Kindle

  • 繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

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著者プロフィール

世界的に著名な科学・経済啓蒙家。英国貴族院議員(子爵)。元ノーザンロック銀行チェアマン。
事実と論理にもとづいてポジティブな未来を構想する「合理的楽観主義(Rational Optimism)」を提唱し、ビル・ゲイツ(マイクロソフト創業者)、マーク・ザッカーバーグ(フェイスブック創業者)らビジネスリーダーの世界観に影響を与えたビジョナリーとして知られる。合理的楽観主義をはじめて提示した著書『繁栄:明日を切り拓くための人類10万年史』(早川書房)はゲイツ、ザッカーバーグが推薦図書にあげている。グーグルには3度招かれ講演を行なった。
1958年、英国ノーザンバーランド生まれ。オックスフォード大学で動物学の博士号を取得。「エコノミスト」誌の科学記者を経て、英国国際生命センター所長、コールド・スプリング・ハーバー研究所客員教授を歴任。オックスフォード大学モードリン・カレッジ名誉フェロー。
他の著作に『やわらかな遺伝子』『赤の女王』『進化は万能である』などがあり、著作は31カ国語に翻訳。最新刊である本書『人類とイノベーション』は発売直後から米英でベストセラーを記録している。

「2021年 『人類とイノベーション:世界は「自由」と「失敗」で進化する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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