かぜの科学:もっとも身近な病の生態 (ハヤカワ文庫 NF 421)

  • 早川書房
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感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150504212

作品紹介・あらすじ

本当に効果的な予防策とは? 自ら罹患実験に挑んだ科学ライターがかぜの常識を覆す!

感想・レビュー・書評

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  • 普通の所謂コモンコールドの話。書店で高速背表紙チェックしながらアイル通過中に、足を止められた。普段気にしないタイプのタイトルだが、やっぱり目にはいってしまうということはかなり精神的にキてるんだろう。今流行のC19は確かにコモンな風邪とは違うものですが、ゆうても”バイキン”ですから、予防や防衛になんかのヒントがありそうというか、セーフ生活の突破口となりそう。
    で、読み始めて、これがもうめちゃめちゃおもろい。イグノーベル賞を受賞した研究などが紹介されているが、そのメソッドが大爆笑。ほかにもグランマのチキンスープ(あはは、風邪を引いたら卵酒的なね)のレシピも載ってるし、色々とまあ、アメリカンな部分をさっぴいて考えんとあきませんが、
    個人ができる/行うべき対策は全て似たようなものなので学ぶものは多いと思う。
    2010年の本なので情報は古い、ところどころ要注意。
    とりあえず適切に手を洗おう

  • 今読めて良かった。風邪に特効薬は無い、とよく言われていて、そんなわけないだろと思っていた。しかし、風邪と一口に言ってもウイルスの種類は多く、特性も違うらしい。特効薬も感染方法も分からないことが多いが、やはり手指の消毒は効果が高いみたい。こうやってみると、新型コロナウイルスも何ら新しいことは無く、この本に書かれているような特徴を持つし、既にわかっていることで対処できる様に素人目には見えるんだけどどうなんだろ。新型に限らず(この本で扱っているのはライノウイルスだが)、そんなに感染て広がるものなんだなー、なんで今まで広がらずにいたんだ?って印象。自分はあまり風邪を引いたことがないので衝撃だった。あと口から感染することは少なくて、基本は鼻っていうのも意外だった。
    ウイルスは、感染力を強くするか、毒性を強くするかのスキルポイントを割り振るようなイメージで、どちらかにしかなれないらしい。致死率が高いウイルスは感染力が低く、感染力が強いウイルスは毒性が弱くなる。そんなスキル誰が決めてんだよw
    そして、ウイルスの目的はあくまで増殖であり、宿主に悪影響を与えてしまうようなウイルスは、増殖ができない馬鹿なウイルスとのこと。新型コロナウイルスはなかなか優秀なウイルスなのだろうか。

  • 風邪。それは単一のウイルスによる病気ではなく、いわゆる風邪ウイルスは200種類以上ある。そして少なくとも5つの属があって、ピコルナウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、インフルエンザウイルスがそれらです。本書ではそれらのなかでも、ピコルナウイルスに属するライノウイルスによる風邪症状に焦点をあてて、風邪全般を考察する内容となっています。なぜライノウイルスかといえば、風邪の40%がこのウイルスによるものだからだそうです(日本では違うかもしれないので、「アメリカではそうなのだ」という注釈が必要かもしれません)。本書は力作の部類に入るでしょう。アメリカのテレビ局製作のドキュメンタリーを見ているかのように、それらに特徴的な構成ですが、いろいろな専門家の言葉をキーポイントにして、話が切り換って進んでいきます。ちょっとこってりしているところもありましたが、絶妙な比喩でもって楽しませてくれる文章もちらほらあります。また、巻末には、風邪療法のあれこれについて、トピック別に短評をつけてまとめてくれていますし、チキンスープやブイヨンなどのありがたいレシピまでついています。これだけ真摯にリサーチして、エンタメの精神までこもっている本でした。アメリカのライターの力量の、その厚みを感じます。

  • 一般的な「風邪(Common Cold)」に関する知見を軽妙な文章で網羅的に扱った一冊。
    この本の面白いのは、コロナ禍前の発行(2011年刊行)であるという点。今時分に風邪について本を出すと「新型コロナウイルス感染症」について多かれ少なかれ紙面を費やすことになるし、一般的な風邪についての認識もコロナ禍の影響を受けることになる。今本を出しても、比較的軽症な「風邪」についてこんなにも紙面をさけないのではないか。また、軽妙洒脱に語ろうにも、コロナ禍の社会的影響の大きさを思うと文章が重くなるのではないか。コロナ禍前にわたしたちがどのようにありふれた風邪を認識していて、どのような研究が進んでいたか。思いを馳せる事ができる楽しい一冊だ。なお本書に記載されている研究内容は2011年時点での最先端なので、今見ると古いものもいくつかあるだろう。そこは注意が必要た。

  • 微妙かな、、とくに有益なものはなかった。
    てか翻訳ちゃんとしろ。

  • 著者はサイエンスライター。

    風邪の原因となるウイルスは200種以上ある。ライノウイルスが原因の40%を占めるほか、アデノウィルス、コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、インフルエンザウイルスがある。

    9月にライノウイルス感染が始まり、10,11月にパラインフルエンザウイルス、冬季に呼吸器系シンチウムウイルス、ヒトメタニューモウイルス、インフルエンザウイルス、コロナウイルスが流行し、3,4月にライノウイルスが戻ってくる。夏季はエンテロウイルスが独占する。

    ライノウイルスは鼻咽腔、パラインフルエンザウイルスは声帯と気管、インフルエンザウイルスは肺に感染する。

    ウイルスの感染経路は確実には解明されていないらしい。インフルエンザウイルスは飛沫感染が多く、ライノウイルスは多くの場合は直接感染らしい。

    公共の場でウイルスに最も汚染されているのは、児童公園の遊具、バスの手すりやひじ掛け、ショッピングカートのハンドル、椅子のひじ掛け、自動販売機のボタン、エスカレーターの手すり。

  • ふむ

  • 序   風邪の赤裸々な真実
    第1章 風邪をもとめて
    第2章 風邪はどれほどうつりやすいか
    第3章 黴菌
    第4章 大荒れ
    第5章 土壌
    第6章 殺人風邪
    第7章 風邪を殺すには
    第8章 ひかぬが勝ち
    第9章 風邪を擁護する
    付録  風邪の慰みに
    謝辞
    訳者あとがき
    参考文献
    原注

  • かぜとは何か、かかったらどうしたらいいのか、多数の研究者に最新の知見を取材し、民間療法や市販薬の効果を明らかにし、かぜを科学的に検証しようとした本。
    「現在のところ、私たちが風邪に打ち勝ったり期間を短縮したりするには信心しかなさそうだ」特効薬はない!基本はプラシーボのみ!これがわかっただけでもよかった。古今東西の民間療法をユーモアまじりにばっさばっさと切り捨てていて笑ってしまった。

  • 風邪についての科学読み物。
    風邪と呼ばれる病気の原因となるウィルス、感染経路、臨床実験の様子、数々の民間療法等が軽妙な文体で書かれる。新型コロナ禍下で読むにはふさわしい。もっとも本書で主に取り上げられているのはコロナではなくライノウィルスだが。
    これほどポピュラーな病気でありながら、いまだに未解明のことが多いのに驚く。「寒いと風邪を引く」といった常識でさえ、確かな根拠は無いらしい。ビタミンCやチキンスープ、諸々の民間療法もほぼ根拠なし。そもそもすぐ治ってしまうので自然治癒か民間療法の効果か分からず、確かに効果の認められる薬でも症状が出た時には服用しても効かないことが多いというのは厄介だ。
    そしてそれをいちいち検証するための実験の様子も面白い。よくある病気だけに、被験者は条件コントロールのため隔離生活を強いられる。ホテルを借り上げ、鼻水の量を測定するために使用済みティッシュの重量を測る等、真面目な実験なのだが真面目なだけにどこかユーモラスでもある。
    風邪のつらい症状の大部分は自身の免疫によるアレルギー反応だという指摘も興味深い。新型コロナで亡くなった人の死因もサイトカインストーム(免疫暴走)だという。もちろん免疫が有害だということではないだろうから、この機構をオフにしたらもっと致命的なことが起きるのだろう。ストレスや睡眠不足は、免疫の働きのコントロールを悪くするため風邪にも有害というエビデンスがあるようだ。
    厄介なウィルスだが、付き合っていくしかないという結びが前向きだ。

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著者プロフィール

サイエンスライター。1980年、イェール大学卒業。生理学、生態学、進化生物学、環境科学など幅広い分野の記事を『ナショナル ジオグラフィック』などの著名誌に寄稿している。邦訳書には『かぜの科学』『からだの一日』(いずれも鍛原多惠子訳、早川書房)がある。

「2018年 『鳥! 驚異の知能 道具をつくり、心を読み、確率を理解する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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