あなたの人生の科学(下)結婚・仕事・旅立ち (ハヤカワ文庫NF)

  • 早川書房
3.94
  • (26)
  • (38)
  • (22)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 470
感想 : 32
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150504502

作品紹介・あらすじ

大人気コラムニストが最新科学を駆使し、私たちが採る選択の隠れた意味を物語風に描く

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • この本は、脳科学、心理学、社会学、認知科学など幅広い学術成果を小説という形で、わかりやすく教えてくれています。
    とても深い考察で、あっという間に読み終えました!
    ぜひぜひ読んでみて下さい。

  • 主人公の人生を描く物語も終盤からやがて終わりを迎える。
    老境をまだ迎えていない自分にも考えさせる内容だった。

    社会的に成功したエリカが芸術やスローな事業の経営に進んでいくのは一つのロールモデルかもしれない。
    それは老人が有り余る財力を背景に旺盛なバイタリティで突き進むマッチョな価値観のカウンターとしてのありかあたなんだろうが、自分としてはエリカの晩年の方がより魅力的に感じられる。

    芸術では、世界中の人にフラクタルを好む傾向が共通して認められるという。
    私見だが、これは個人と「人類」や「神」的な物とのつながりを、それこそ無意識に感じているからではないかと思う。なんかそういう大きな物との関わりとか、「それ」と相似形をなす自分に幸福を見いだしたりするんじゃなかろうか。

    上下巻の本書に貫かれているテーマは無意識は人間の中核であるということだが、今際の際でハロルドが感じたのも伴侶との魂の交流、つながりだった。
    自分がどんな老人になるか分からないが、一つの良い人生の見本だったと思った。

  • 100
    わからない恐怖に耐える。断片的な状況だけで説明して、わかった気になってしまう。アンカリング、可用性の誤謬。ステレオタイプに当てはめる。帰属の誤謬

    自分は特に曖昧さに耐えられない弱さがある。最近はその曖昧さが大切なんだとやっと思えるようになってきた。あの濱口さんの記事も大きいなきっと。でもそれだけじゃなく、日常的な降り積もりから

    いつもと同じだと思わない、状況が変わったら知ってる人も知らない人だと思う

    わからないことに耐えて、何ヶ月何年の場合もある、それが無意識のひらめきとなる。

    150
    従業員思考をしない

    167
    理性による判断には時間がかかる。わたしは社会的な無意識があまり育ってないのかもしれない。だから一つ一つゆっくり考えて、理性で考えないとわからなくなってしまう。そして理性で考えたってわからないことだらけで、怖くなってしまうのかも


    道徳心。生まれつきに持っている。反射で良いこと悪いことがわかる。矯正されるか、生まれつきの障害でそれが狂うことがあるだけ

    171
    無意識の世界は多数の衝動が支配権を巡って戦う競争場。同じ状況でも、同じ衝動が勝つとは限らない

    いつも道徳的に行動するわけじゃない。他人から道徳的に思われたい、自分は道徳的だと思えれば良い。(心当たりありまくりマン)

  • 下巻では、登場人物達が成熟し、社会的地位の向上、精神的苦難とその克服、死、といったテーマが扱われています。政治信条や世界観についてもかなりの部分が費やされています。やはり、作者はジャーナリストなんだな、と思いました。

    作中で引用されている、ブルース・ウェクスラーの「人間は、人生の前半のほとんどを、現実世界の脳内モデルの構築に費やし、残りの後半生のほとんどをそのモデルに調和するように現実世界の方を調整することに費やす」という言葉に、はっ、と気づかされる思いがしました。

    フランスの合理主義、理性第一主義に対して、ヒュームに代表されるイギリス啓蒙主義が人間を社会的動物ととらえ、情念や無意識の果たす役割の大きさに注目していた点。近年の研究で、動物には脳内にミラーニューロンがあり、他社と協調する志向を元来兼ね備えていることが、道徳やモラルの源泉であることなど、興味深く読みました。

    個人的には、作中の架空の登場人物、ハロルドが直面する中年の危機とでも言うのでしょうか。自分が人生の後半に差し掛かり、大きな苦悩に直面する描写にはとても共感しました。自分の失敗を直視すること、負の感情に正面から向き合うこと。自分にも必要なプロセスなのだ、と思いました。

  • 下巻、あっという間に読み終わりました。
    僕らは「確固たる自分の存在」をイメージするけれど「精神面における確固たる自分の存在」などない、と理解できる。そして、自己は無意識によって確立しているのかもしれないことにも気付かされた。
    「自分とは何か」という哲学的な問いに対する科学からの回答になっていると感じました。
    おもしろかった~。

    物語の随所に登場する膨大な科学の知識の中に少し難しい部分もあるけれど、敷石の上をトントンと歩くがごとく読み進めることができたので、これも面白さの一員。訳者にも感謝です。

  • あなたの人生の科学
     13章 他者との調和 二人の間の境界
      ソナーのはたらき
      報酬系
      調和への願望
      至上の喜び
      エロス再考

     14章 合理主義の限界 世の中は感情で動く
      過信
      合理主義
      迷走

     15章 科学と知恵 「メティス」という境地
      古い議論
      第六の感覚
      認識論的謙虚

     16章 反乱 組織の改革
      公開首脳会議

     17章 すれ違い 恋愛から友愛へ
      孤独
      離婚宣言
      アルコール依存
      インカネーションキャンプ

     18章 道徳心 無意識の教育
      心の痛み
      理性と欲望の葛藤?
      道徳と無意識
      生まれつきの道徳心
      衝動の競技場
      道徳の教育
      個人の責任
      針路の修正

     19章 リーダー 選挙の心理学
      プライベートな演説
      選挙アドバイザー
      暗黙の論争
      無理な二極化

     20章 真の「社会」主義 階層の流動化
      唯物論的な価値観
      誤った政策
      発想の転換
      「社会」主義
      エッセイの連載
      社会的流動性
      第三の政策

     21章 新たな学び 過去との対話
      瞑想
      第二の教育
      脳の創作
      創造活動
      幸せな新事業

     22章 人生の意味 最期の時
      瞑想的生活
      意味の追究
      最期の時
    Random House「The Social Animal: The Hidden Sources of Love, Character, and Achievemet」 2011年3月

    訳者あとがき 夏目大

    文庫版訳者あとがき 夏目大

    解説 松原隆一郎
    「認知革命」が人生の局面にもたらすインパクト

  • p.2016/1/8

  • ハロルドとエリカという夫婦の「生まれ~出会い~結婚~死」を通じ、人間に対する考察を行なっている。哲学、心理学、行動経済学、脳科学、行動科学など広範な分野をカバーしているが、ジャーナリストが書いたものだけあって、とても分りやすい。「人間」について、幅広く知りたい方にお薦め。これをコンパクトにまとめた続編的なものとして、「あなたの人生の意味」というものもあるが、どちらも著者の豊富な知識には圧倒される。知的刺激を大いにかきたてる一冊。

  • 上巻と同様に、ハロルドとエリカの人生の展開に合わせて、社会心理学や経済心理学などをベースに、我々が直面する様々な認知的な感情を掘り下げて説明してくれる。

    社会のそれぞれのシーンをうまく題材にしているのはいいが、ホワイトハウス入りしてからの政治(大統領選)についての話は2党制度のアメリカと日本は大きく状況が違うので、ここは長いだけに少し話がダレてしまった。

    今まで社会心理学や経済心理学、大脳科学の本を読んだが、何よりストーリー仕立てにすることでずっと身近になるし、それが人生の各フェイズに起きうることをテーマに描いているだけに、感情移入するだけでなく色々納得できることも多く楽しく読めた。

    多くの人に読んでもらいたい一冊。

  • 請求記号 145.1/B 76

全32件中 1 - 10件を表示

デイヴィッド・ブルックスの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
トマ・ピケティ
シーナ・アイエン...
マーカス デュ・...
ジャレド・ダイア...
リンダ グラット...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×