千の顔をもつ英雄〔新訳版〕下 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150504533

作品紹介・あらすじ

古今東西の神話・民話に登場する英雄たちの冒険を比較・分析し、その基本構造と共通性から人間の心の深層に迫る神話論の決定版

感想・レビュー・書評

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  • 神話などに登場する英雄について、宗教を横串にして解説した本。ひとつの宗教だけでも大勢の英雄がおり、エピソードも多い。それを、西洋から東洋まで、日本の古事記なども含めて、共通点を明らかにする。大勢の英雄の共通点について語る都合上、個々の英雄については、読者が前提知識を持っていることが前提になっているようで、宗教や神話のエピソードに明るくない人は読むのに苦労するかもしれない。私は、まずディテールは横において、横串で英雄を知り、詳細は類書を読むことで、古代から人間の心を揺さぶる英雄について知ろうと思う。これからの読書の出発点にもなり得る本である。

  • 2024/1/8 読了

  • TRPGをやらなくなってほどなく落描きをしなくなり、妄想力(ちから)が枯れてゆくのを自覚しながら止めもしなかった。以来二十余年、もはや妄想力は容易に発動せざるものと成り果てていた。
    MtGはマナという行動ポイントがあり、マナは土地などのマナソースから生産される。本書はマナソースである。読むそばからマナ(妄想)が湧いてくる。枯渇したと思っていたマナは、失われてはいなかった。活性化するための刺激が足りなかったのだ。

    第一部四章の冒頭の図。神話解釈の書を創作技法へと飛躍させたのはこの図であろうか。

    ル=グウィンも読んだのだろうかと、ふと。

  • 原文が難しいのか翻訳の問題なのか、抽象的で僕のレベルでは理解できない箇所が多数でしたが、神話の英雄は旅に出て何かを手に入れて帰還するものだということは分かりました。
    クーフーリン、イシュタル、マルタ、アルジュナ等、FGOで知ったキャラが沢山出てきます。

    ジョージルーカスは『千の顔をもつ英雄』からインスピレーションを受けてスターウォーズの脚本を書いたということですが、この本は分かりやすいマニュアル本ではないので、やっぱりジョージルーカスの想像力(創造力)が凄いんじゃねえかということを思いました。

  • かのスターウォーズの製作に影響を与えた本。
    確かに英雄の神話のプロットを丁寧になぞっている。というか、世界のファンタジー作品は底流として、この本に解説される英雄伝説に擬えて描かれているのでは、と錯覚を覚えてしまった。

  • 20世紀のSF作品に多大なる影響を与えたという著書。
    面白いが難しい。

  • 英雄のサイクルにはバリエーションがあり、時間の混乱、死との遭遇・逃亡、神との結合、父との確執・克服、当時流行していたユングなどの夢分析の援用が多い。

  • 神話のパターン・ランゲージを分析により抽出した力作。

  • 1949年初版刊行
    比較神話学の古典
    世界各地の英雄伝説を収集し研究
    その中に繰り返し現れる共通の構造
    「英雄はごく日常の世界から、自然を超越した不思議の領域へ冒険に出る(出立)。そこでは途方もない力に出会い、決定的な勝利を手にする(イニシエーション、通過儀礼)。そして仲間に恵みをもたらす力を手に、この不可思議な冒険から戻ってくる(帰還)。」「生きて帰りし物語」

    神話の解釈
    自然現象を説明しようとする未開の不器用な試み(フレイザー)
    先史時代から受け継がれた詩的空想の所産であり、後代に意味を取り違えられたもの(ミュラー)
    個人を集団に適応させるために使われる寓意的教えの貯蔵庫(デュルケーム)
    心の深層にある衝動の元型を示す一群の夢(ユング)
    人間の深遠な知的洞察を運ぶ媒体(クーマウスワミー)
    神の子たる信徒に対する神の啓示(キリスト教会)

    ジャイナ教
    AUM(オーム)
    A 覚醒した意識
    U 夢の意識
    M 深い眠り

    4 帰還の境界超え(抜粋)
    天界と人間界は互いにまったく異なったもの
    ──────
    英雄は、私たちの知る世界から暗黒の世界へと旅立つ
    ──────
    英雄の帰郷は、彼岸からの帰還として描写される
    ──────
    しかしながら、二つの世界は実は一つなのである。
    神々の世界は、私たちの知るこの世界の忘れられた次元である。

    聖トマス・アクィナスのことば
    「賢いと呼べるのは、宇宙の終わりに思いをめぐらせる者だけである。宇宙の終わりは、宇宙のはじまりでもある」

    宇宙創成サイクルの第一段階は、形ないものが形あるものに様変わりするところを描いている。
    ニュージーランドのマオリ族の創成の詠唱に出てくることば
    テ・コレ (虚空)
    テ・ポ (夜)
    ヒネ・ナケ-モエ(乱された眠りの娘)
    テ・アタ(暁)
    テ・アウ-トゥ-ロア(ずっと続く昼)
    テ・アオ-マラマ(輝く昼)
    ファイ-トゥア(空間)

  • 原書名:THE HERO WITH A THOUSAND FACES

    第1部 英雄の旅(承前)(帰還;鍵)
    第2部 宇宙創成の円環(流出;処女出産;英雄の変貌;消滅)
    エピローグ 神話と社会

    著者:ジョーゼフ・キャンベル(Campbell, Joseph, 1904-1987、アメリカ、神話学)
    訳者:倉田真木(翻訳家)、斎藤静代(1957-、翻訳家)、関根光宏(翻訳家)

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著者プロフィール

【著者】ジョーゼフ・キャンベル
Joseph Campbell/1904年-1987年。アメリカ生まれの神話学者。比較神話学や比較宗教学で知られる。1934年よりサラ・ローレンス大学教授を務めた。著書に『千の顔をもつ英雄』上下(平田武靖・浅輪幸夫監訳、伊藤治雄・春日恒男・高橋進訳、人文書院)、『宇宙意識 神話的アプローチ』(鈴木晶・入江良平訳、人文書院)、ビル・モイヤーズとの共著『神話の力』(飛田茂雄訳、ハヤカワ文庫)、『ジョーゼフ・キャンベルの神話と女神』(倉田真木訳、原書房)など。

「2023年 『聖杯の神話 アーサー王神話の魔法と謎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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