ポケットにライ麦を (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-17)

  • 早川書房
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本棚登録 : 198
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150700171

感想・レビュー・書評

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  • ミス・マープルもの。
    投資信託会社社長が急死。そのポケットには何故かライ麦が詰め込まれていて・・。
    マザーグースの唄に見立てた連続殺人の謎を、ミス・マープルが解き明かします。
    一見、編み物をしながら世間話をしているだけっぽいのに、おそるべし、ミス・マープル。
    ラストの手紙が何とも切なく、そしてオチとして秀逸だと思いました。

  •  改訂版再読後、感想を共有。
     クリスティの長編ミステリー。マープルシリーズ。マープルが積極的に事件に乗り出す作品は珍しいが、今作では彼女が以前育てたメイドが鼻を洗濯バサミでつままれて殺害されるという事に義憤を持ち、事件が起きたフォレスキュー一族の住む屋敷に乗り込んでいく。初めに殺害された人物のポケットにはライ麦が入れられており、第二、第三の殺人と立て続けに事件が起きるが第三の事件までの異様性により、全く脈絡のない様な事件に見え、警察も手を焼いている所、マープルがマザーグースの見たてでである事を見抜き、捜査が進展していく。
     マープルは安楽椅子探偵のイメージなのだが、今回は自身の知り合いの若いお手伝いへの余りにも惨い殺人の為、彼女本人が現場に乗り出す。マープルに対していつも警察は協力的で、ニール警部もマープルと会話する中で彼女の鋭さや賢さに気がつき、ある意味で協力者となり事件の捜査に助太刀される格好だ(後からマープルの噂を聞いた様で(あれだけ事件を解いていれば当然)更に協力的になっていく)
    マープルはいちいの毒がマーマレードジャムの壺に仕掛けられていた状況からとある道筋を推測し、ニールに告げる。それまで、殺されたレックスフォレスキューが過去に起こしたとある事柄について復讐心のある人物が事件の犯人と思われていたが、実は該当者は確かに存在するが殺人とは関係なく、真犯人は別に存在する事がわかる。
     マープルが出来た事は事件の推測であり、ニールはそれらに対しての事実確認と証拠集めを約束する。
     最後、この作品の最も優れている部分だが、マープル宛の手紙が間違えた住所に送られており、更に相手が不在だった為、転送に時間がかかった手紙が到着する。実は殺されたメイドがどうして良いか分からずにマープルへ手紙を書いており、メイドを唆した男と共に撮った写真も収められている。この手紙が正しく届いていればというやるせなさや、写真に写る幼い娘の表情など、なんとも言えない描写であり、当然、後味は良くないはずなのだが、マープルの推理が正しかったと証明されるものだ。
     今作は起承転結がはっきりしており、マープルが感情豊かに活躍する。登場のシーンは少なめだが、その裏で沢山の人とおしゃべりをし、彼女なりにパズルのピースを組み立て事件の真相を組み上げている。マープルシリーズのなかでも上位に入るほど好きな作品の一つだ。
     昔のイギリスの生活イメージがわかりやすく描写されている。木曜は〇〇の日の様な地域特定のお約束や行事は知らないが、ある意味で当時の生活の様子や約束事、家族の考え方についてもとても面白い描写だ。
     物悲しい作品であるが最後ぜひ華やかな気分になってほしい言われた。

  • 再読
    犯人の仕掛けがミステリならではすぎるのはともかく
    登場人物の的確な描写も構成展開も簡潔明瞭まこと要を得た見事な作品
    娯楽としてのミステリとして女王と称されるに相応しい力量

  • ミスマープルものは好きだ!犯人探しがgood!
    ニール警部の登場人物の描写も、犯人を思わせて皆怪しくなる。単純な経緯、結末、動機だけど
    アガサクリスティーすごい!

  • #赤背表紙のクリスティーを再読するプロジェクト 014

    毒殺された被害者のポケットに、麦粒が詰め込まれているというありえないシチュエーションから始まる連続殺人が、マザーグーズの唄に乗って筋道付いていく話。ミス・マープルには最高の舞台装置が整っている。

  • マープルが躾をした小間使いが残忍非道に殺され、怒りに燃えるマープルおばあちゃんが犯人を突き止める。

    マープルかっこいいなあ〜。ポアロよりマープル派です。

  • ミス・マープルの作品はあまり読まないのに、
    これは面白い、引き込まれる。

    マープルさんの登場が遅いことと、
    おしゃべり、でしゃばり感がいつもより
    少ないのが、自分にとって良かったのか。

    マザーグースの童謡に従って
    殺人事件が起こるが、
    それと過去に起こった出来事の
    絡ませ方が上手い。
    それに加え、相変わらずの容疑者達の
    あくの強さで、
    私達読者を見事なまでに翻弄してくれる。
    今回は最後まで犯人が予想つかなかった。

    ポワロさんだけでなく、マープルさんも
    これからは読もうかな。
    最後に明かした、彼女が
    犯人を怪しみだした理由も、
    ちょっと女の勘頼みでどんなもんだろう、
    といった気もするが、
    しかし実にお見事な推理。
    お婆ちゃんのおしゃべりや知恵袋も
    大いに役立つ時もあるんだよね、
    って作品。

  • いやー、騙された騙された。
    ワンツーパンチで騙された。
    あっちもこっちも大ハズレ。
    それでも心地よい。
    真相を聞かされ、そいつが犯人なら、物語的に破綻するだろ!
    と、言ってみても、なんの無理もない。
    説明がある事はあるが、ポケットに何故ライ麦を入れたか。という説明が納得する形で完璧に説明されればパーフェクト。そこが弱い気がする。

  • やはり名作は違いますね♪
    ホント面白い。

  • クリスティのマザーグースものの中でも有名な作品の一つだと思います。
    資産家(成金趣味的)の屋敷の中で
    マザーグースの歌の通りに連続殺人が起こっていく…。
    トリックはすごく凝ってるというわけではないので、
    人によっては物足りないと思うかもしれませんが、
    クリスティらしい登場人物たちの様々な個性が
    読んでいて興味を引き起こしてくれます。
    1950年代の作品という、今から見るとレトロな時代も、
    雰囲気作りに貢献していて、
    クリスティ作品の個性になっていると思います。

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