九尾の猫〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ク 3-52)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (505ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150701529

作品紹介・あらすじ

ニューヨークを震撼させた連続絞殺魔〈猫〉事件。不可解な謎にエラリイが立ち向かう。

感想・レビュー・書評

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  • 『十日間〜』の次作として予備知識無しに読んだら舞台がニューヨークで内容も全く違うので戸惑った。ミステリとしては『十日間〜』の方が面白かったが、パニックものとしてはデマから起こる狂騒や都市の雰囲気が現在とオーバーラップするのが興味深い。

  • 共通点の無い連続殺人事件の被害者たちの深まる謎の数々。姉が殺されたことにより財産分与が多くなる二人の人物の事件への関わりでまたもや深まる謎。
    エラリー・クイーンの推理力と洞察力により微かな手がかりを見つけるが、おとり捜査による失敗。
    真犯人と思われる人間を拘束した後のエラリー・クイーンの懊悩…
    古典とも言われるこの一冊だけれど、何故だか犯人の異常性に現代も納得させられる一面もあり、長編なのにページを捲る手が止まらなかった。

  • ライツヴィルシリーズの「十日間~」の次にエラリーが取り組んだ事件。いやあどこをとってもお見事。
    ライツヴィルでの苦い挫折の経験を経て、探偵の真似事を辞めると宣言したエラリー。彼を再び事件の現場へと引き戻したのは、ニューヨークでの無差別連続殺人事件だった。

    郊外の都市で起こったライツヴィルの事件とは異なり、大都会NYでの事件の描写、特に市民が自警団を編成してパニックから暴動へと至る流れが、ここ2年のコロナでのパニックを見ていると頷ける所が多くて面白い。そしてさらに、探偵の背負う「業」について、精神科医と語り合うところ、シビれました…。

  • うだるように暑い夏。「日中の外出は避けたほうがいい」という天気予報を盾に、コーヒーとエラリー・クイーンを片手にゴロゴロする週末。

    登場人物表に被害者がずらりと並ぶ異色の展開。なかなか手がかりがなく、クイーン父子の苦境が続く前半。世論が形成され、暴発する様は現代にも通ずる肌ざわりでザワザワする。サイコサスペンスの様相をおびる後半。ただでは終わらない結末。
    好みでいうと国名シリーズの頃の明るい感じのほうが好きだけれど、さすが、エラリー・クイーン。引きこもりのお供として安定感ある。

  • 面白かった!!
    表現が詩的なところもあり、皮肉たっぷりのところもあり、読み物としても楽しい。悩めるエラリィを応援したくなる。
    犯人は途中でそうかなぁと思ったけれど、分かっても最後まで一気読みさせる。

  • エラリークイーンの国名シリーズを読み終えたので、他の作品もと読んでみた。連続殺人。混乱する市民。犯人を特定するにあたった推理。ミステリーファンにはたまらない作品だった。

  • 『十日間の不思議』で辛い挫折を味わったエラリイが、NYに帰ってきて、父クイーン警視や市長たちに請われて連続絞殺魔と戦う。
    ライツヴィルという田舎でのじっとりした人間関係の中の殺人と、ニューヨークという世界屈指の大都会で、被害者同士の繋がりさえ見えてこない連続殺人。
    一人で推理し戦ったライツヴィルと、警察組織がバックにつき、警視やヴェリーや、途中からは被害者遺族まで加わって捜査にあたるニューヨーク。
    いろんなことが対照的でとても面白かった。

    ミッシングリンクものは、たくさん死ぬ割にその繋がりを探すというところでどうしても足踏みしがちで、読んでいて途中だれてしまった。
    被害者の数もちょっと多すぎるような…でもだからこそ面白い真相でもあり…。
    最後の事件のあとは息もつかせぬ面白さで、やっぱり論理的な解決、伏線が綺麗に回収されていく爽快さは素晴らしかった。

    エラリイの挫折と癒しについては、うーん、どうなのかなぁ、という気持ちも少し。
    このあとは何に繋がるのかな

  • レーンシリーズより面白かったと思う。
    カザリス逮捕の時点で7割ほどの進捗だったのでこの後どんな展開かと思ったら、セレストとジミーの結婚、動機の追求、そして真犯人解明と最後の最後まで楽しめた。

    ただ、犯人が女性だったが、細い紐で抵抗されず男を殺せるものだろうか?そう考えてカザリス夫人を犯人候補から退けていたので、やや疑問が残った。

  • ニューヨークを舞台に連続絞殺事件が起こる。手がかりもなく、目撃者も容疑者もまったくいない。“猫”と呼ばれる犯人が残したものは死体とその首に巻きつけたタッサーシルクの紐だけだった。前の事件で自信を無くしたエラリーは、関わり合いになりたくないと思うが、周囲の勧めもあって調査に乗り出す。
    エラリーの落ち込み具合がひどく、事件解明も遅々として進まずもどかしい。
    次に誰が殺されるのか、被害者の共通点がわからずパニックを引き起こすような連続殺人事件。そして殺害動機。昔の作品なのに、古さを全然感じない。

  • エラリークイーン創作の秘密を読むために、本の中で言及される本書を読んだ。特別クイーンが好きってわけではないので作品自体の評価はうーんってかんじ。変にもったいぶらずに、もう少し周りと意見のすり合わせをすれば防げた事件もあったのではと思ってしまう。作家が自問自答しながら書いている印象を受けたので、創作の秘密を知るともっと評価が変わるのだろうか。

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